勉強が出来る
少年院と言う施設は、少年犯罪を犯してしまった少年少女を世の中から隔離して閉じ込めておく為の施設です。それはどう取り繕うと間違いようの無い事実です。
しかし、少年院にはそれだけの役目だけでは無く【更正】を目的とした役目。こちらの方がより強い施設です。
少年院には私が送致されていた時点で、大きく分けて3つの選択肢が少年達に用意されていました。
少年達の普段の素行や性格、適正等をプロフェッショナルな専門の方々の先生達(所謂、看守と言う意味の先生ではありません)が見極め、太鼓判が押されるとその希望する選択肢を学ぶ事が可能になります。
ここで話の筋からは逸脱しますが、軽く説明を。
成人や成人間近の犯罪者達を収監して懲役・禁固する為の刑務所では犯罪者以外の全ての人達(看守等)を【親父】と呼びます。
少年院ではそう言う人達全てを【先生】と呼びます。このさきも先生と言う単語は出てきますので、ここで説明しておきます。
話を本筋に戻しますと。与えられる3つの選択肢の中の1つは【職業訓練】少年院を卒院した後に働ける為の訓練です。【溶接】【木工】【パソコン】【サービス業】【運送】確かこれだけの種類があったと思います。溶接や木工やパソコンではそれらを使う為に必要な資格をサービス業では敬語や丁寧語の指導、そして運送では車の免許を取るために必要な学科を教えてくれます(さすがに院内に車を走らせるコースは無いですが)。
もう1つの選択肢は【クラブ活動】これは幅が広すぎて上手く説明出来るか分かりませんが伝わらなかったらすみません。このクラブ活動に所属する院生達は、それなりに学力もありそれなりの社会経験もある人達が多く所属します。そこでは【絵画】をしたり【写経】をしたり、要するに普通に育ったはずなのに、犯罪に手を染めてしまった自分の弱い心を見つめ直す情緒教育に主眼を置いている訳です。
最後の3つめは既にみなさんも想像が付いているとは思いますが、私自身も所属する事になる【学力指導】です。な……なんと!勉強を教えてくれるのです!
それも学校のような一律で授業が進み、出来ない子供を置いてきぼりにするような冷たい授業ではなく、解らない事は理解するまで、ちゃんと先生が院生に向かい合い教えてくれる、そんな最高な勉強です。
その学力指導では【義務教育修了程度】の学力が身に付くようになるまで勉強を教えてくれるのです。
(院生個々の卒院までの期間により中途半端になる事もありますが、それは仕方ない事です)
そして、なんと!なんと!なんと!義務教育修了程度までの学力を身に付ける事が出来た院生の先には【高等教育修了過程程度】と言う高卒の資格を得られるまで勉強を続けて教えて貰えるのです。
誰かに学校に来る事自体を邪魔されたり、授業中に悪口が聞こえてくる事も無く、休憩時間に呼び出され暴力を振るわれる事も無く、無料で親切に教えてくれるのです。私がそれを選択するのは自明の理だったのです。
☆☆☆☆☆を★★★★★にするだけで作者のやる気が変わるらしい本当だろうか?