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【3巻4/7発売】婚約破棄されたのに元婚約者の結婚式に招待されました。断れないので兄の友人に同行してもらいます【コミカライズ】  作者: 藍野ナナカ
本編

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(14)助っ人



 一週間後。


 休暇を終える前のフィルさんが言ってくれた通り、畑仕事をしてくれる人たちが派遣されてきました。

 いつ来てもいいようにと、長期滞在用に部屋を用意していたのですが。

 フィルさんの手紙を持ってラグーレン領を訪れたのは、思っていたのとは全く異なるタイプの人たちでした。



「……あいつ、何を考えているんだ」


 フィルさんからの手紙を読んで、アルベス兄様はうなっていました。

 何と声をかけていいのか迷っていたら、私にも手紙を見せてくれました。



『もっとまともな人材を派遣するつもりだったが、どこかで情報が漏れて、希望者が殺到してしまった。それなりにましな部類ではあるから、こき使ってほしい』



 はね方に特徴のある文字で綴られた手紙は、だいたいこんなことが書いてありました。

 読み終えて、私は途方に暮れながらお兄様を見ました。

 アルベス兄様は、もう諦めたのでしょうか。気の抜けたようなため息をついています。



 私は、派遣された人たちをそっと見ました。

 三人とも背が高くて、がっしりとした体型で、見るからに頑丈そうです。

 日焼けしていますし、知的な目をしていますし、最高の人材なのは間違いありません。


 ただ……三人とも、ここまで立派な馬に乗ってきて、腰には剣を下げています。

 どう見ても騎士です。


 うーん……。

 警備の仕事を頼むならまだわかりますが、私たちが頼むのは農作業とか土木作業とか、そういうものなんですよね……。



「まさか、お前たちが来るとは思わなかったぞ」

「おう、久しぶりだな! アルベス。すっかり領主ぶりが板に付いているじゃないか」


 あれ?

 もしかして、お兄様とこの騎士たちは知り合い?


「おっ、こちらが噂の妹ちゃんか。俺たちはアルベスの同期なんだよ。よろしくな」

「アルベスが急に騎士を辞めてしまって、寂しく思っていたんだ。いつまでも声をかけてくれないから、この機会に押しかけさせてもらったよ!」


 なるほど。

 そういう関係でしたか。

 しかし……つまり王国軍の騎士ということですよね?

 ほとんどが貴族出身と言われている王国軍の現役騎士たちに、農夫の仕事を押し付けていいものか……。


「俺とこいつは北部で開墾をやっていたんだ。繊細な管理は難しいかもしれんが、それなりに役に立つと思うぞ」

「私の実家もここと似たような感じでね。農作業は子供の頃からやっているよ」


 ありがたいことに、騎士たちはそう言ってくれました。

 ならば、少し安心……いや、待って。

 まだ問題がありました。


「あの、まさか王国軍の騎士が来るとは思わなかったので、部屋は昔の使用人用の建物に準備してしまったんですが」

「屋根がついているだけで十分ですよ」

「この辺りはそのまま寝ていても凍死はしないから、平気平気」


 ……似たようなことを聞いたことがあります。

 フィルさん特有の冗談かと思っていたら、王国軍騎士の常識だったのでしょうか?



「それから……あの……お食事はどうしましょう?」

「大丈夫だよ。俺たちの世代は自炊が必須で、こいつらはそこそこ料理がうまい。ルシアが指示を出せば、その通りに実行することもできるだろう」


 へぇ、そうなんだ。

 そういえば、お兄様も騎士になってからは、時々料理をしてくれるようになっていましたね。


「ということなんで、食事は気にしなくていい。食材もこいつらが勝手に入手するだろう。バカンス気分で来ているからな。もちろん警備関連は完璧だ。……くそっ、あいつ、確かにいい人選しやがった!」


 え? そうかなぁ?

 ……これ、いい人選なの?

 アルベス兄様がそう思うなら、私はそれでもいいんですが。


 まあ、頼もしいのは確かですね。

 この上なく。





 なお、この数日後に、ものすごく美人なメイドさんが来ました。

 美人だ!と素直に喜んでいたら、私の肌と手を見た瞬間に表情を変えられてしまって、レディーとは如何なるものかを延々と説教されてしまいました。

 レディーへの道は厳しいです。


 落ち込んでいたら、騎士さんたちが豆入りパンケーキを作って慰めてくれました。見た目は厳ついですが、優しい人たちですね。



 決戦の日まであと一ヶ月。

 がんばりましょう。




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― 新着の感想 ―
[一言] 屋根がついているだけで十分ですよって、自衛隊のあるある動画を彷彿させてしまった笑
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