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ゆきんこの手ぶくろ  作者: ハシバミの花
3/4

その3

あらわれた赤い女の子。

たーくんにもまして元気いっぱいです。

 たーくんはキョトンとしています。

「きみはだれ?」

「まっ!」

 女の子がぴょんとはねます。

 その赤いニットのぼうしと手ぶくろは、どこかで見たおぼえがあります。

 たーくんはかんがえました。

「きみは、まだしゃべれないの?」

「んっ!」

 女の子がまたぴょんとはねます。

 たーくんはまたかんがえます。

 こんなちいさくてかわいい女の子なら、いっしょにあそんだら、どれだけ楽しいだろう。

「ねえ、いっしょに雪だるま、つくる?」

「んま!」

 女の子がとびはねました。

 つくる!

 って言ったのです。


 ふたりは雪だるまをつくりました。

 雪玉をころころころころ、いっしょにおします。

 たーくんはきづいてました。

「その手ぶくろ、ぼくのとおんなじだ」

「んー?」

 女の子はふしぎそうにたーくんを見ます。

 真っ赤な手ぶくろ。

 それには、手のこうのところにおおきな雪のがらがぬいこまれていて、かっこいいのです。

 女の子の手にはちょっと大きくて、ぶかぶかになっています。

「ぼくの手ぶくろは、いまは、ないの」

 雪玉をおすたーくんの手は、冷たくてまっ赤になってます。

「いもうとの、りーちゃんにかしてあげたんだよ」

「んー?」

「りーちゃんはねー、かわいいんだよ。まだちっちゃくて、いっしょにあそべないけど、あそべるようになったら、いろいろなことをね、いっぱいね、おしえてあげるんだ」

「ま!」

 そうして、たくさん雪玉をおして、おおきな雪玉がみっつもできました。

 それをふたりでえっちらえっちら、おうちのげんかんに、みっつかさねて、ついに雪だるまができました!

「できた!」

「んーま!」

 ふたりの雪だるまは、目のところにきれいな黒い石がついてて、はなと口はほそい木のえだ、頭にはまっ赤なバケツがのっていて、ニコニコしてておしゃれです。

「うでをつけなきゃ!」

「ん!」

 マキおきばから、ちょうどいい太さの木を二つもってきて、それを体につけると、雪だるまは今にも元気いっぱいでうごきだしそうです。

「かんせー!」

「まんまー!」

 ふたりはうれしくなって、こえをあげました。

 そこでたーくんはいいことを思いつきます。

「そうだ、うでにぼくの手ぶくろをつけてあげよう! そうしたら、赤いバケツと赤い手ぶくろで、この雪だるまはすごくかっこよくなるよ!」

「ん!」

「ほら、きみのぼうしと手ぶくろと、おんなじ色になる!」

「ま!」

 ふたりは大よろこびです。

「じゃあ、とってくるね。ここでまっててね!」

「ん!」


 たーくんが家にはいり、りーちゃんのいる子ども部屋にはいります。

「りーちゃん手ぶくろかえしてね」

 ですが、そうしてベッドをのぞくと、そこにりーちゃんはいませんでした。

「りーちゃん?」

 りーちゃんは赤ちゃんなので、自分ではまだうごけません。

「あれ?」

 たーくんはかんがえました。

「りーちゃんがいないし、手ぶくろもない」

 お父さん、言ってましたよね。

 そうです、赤んぼうは、きゅうに動きだすのです。

 だからりーちゃんも、きゅうにどこかへ行ったにちがいありません。

 たーくんは家じゅうをさがしたけれど、りーちゃんは見つかりませんでした。

「あれえ? りーちゃんどこ?」

 とびらはしまったままなので、お外には出てないはずです。

 たーくんはげんかんの前の、雪だるまを作ったとこにもどって、女の子に言いました。

「ごめんね、りーちゃんがいないんだ。手ぶくろも、なくなっちゃった」

 ところが、そこには女の子もいなくなっています。

「あ、手ぶくろ」

 雪だるまには、女の子がしていた手ぶくろがつけられていました。

 それは、まっ赤なバケツとよく似合ってて、雪だるまを今にも動きそうに見せています。

「あの子は、どこにいっちゃったんだろう」

 たーくんは、ふしぎそうに、くびをかしげました。


消えてしまった女の子。

さて、彼女の正体は?

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