表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゆきんこの手ぶくろ  作者: ハシバミの花
1/4

その1

たーくんは、元気いっぱいの男の子。

まだ赤ん坊のりーちゃんと、遊びたくて仕方ありません。

     (1)


 きのうの夜から雪がふったので、窓のそとは雪がつもっていました。

「おそとまっしろだ」

 たーくんが言いました。

「はーっ」

ってガラスにいきをはくと、窓ガラスも白くくもります。

「れっどー、ぶれいくん!」

 たーくんは、お気に入りのヒーローを指でかきました。


 レッドブレイクンは五人組ヒーローのリーダーです。

 強くてカッコいいから、たーくんはレッドブレイクンが大好きなのです。

 赤い手ぶくろをおねだりしたのだって、レッドブレイクンみたいになりたいからなんですよ。


「たあっ、たあたあっ、たあああ!」

 そのままブレイクンファイブごっこです。

 手足をふり回して、おそいかかる敵たちを次々にやっつけます。

「みんな! ぼくのもとにあつまるんだ! ふぁいぶーあろー!」

 部屋にいるのはたーくんとまだあかんぼうの妹だけ。ベッドで天井を見上げてる妹は、もちろんいっしょにあそんではくれません。

「りーちゃんはやくおーきくなってあそぼーねー」

 ベビーベッドのさくにもたれ、妹のりーちゃんの顔をのぞきながらたーくんは言いました。

「ぼく、れっどがいちばんすきだけど、りーちゃんなられっどさせてあげてもいいよー」

 りーちゃんは、キラキラした目でたーくんを見ています。

「ほら、れっどのじゃすてぃーふぃすと!」

 お気にいりの赤いてぶくろを、りーちゃんに見せてあげます。

「ほら、ここに、ぼくのなまえがかいてあるでしょ。おとうさんが、マジックでかいてくれたんだよ」

 りーちゃんはきゃらきゃらとわらって「んまんまうー」と言いました。

 まっ赤な手ぶくろは、手のこうのところに大きな雪のがらがぬいこまれていて、かわいくてかっこいいのです。

 りーちゃんもたーくんの手ぶくろが気にいったらしくて、小さな手でつかんで、そのまま口にいれてしまいました。

「あーあだめだよりーちゃん。手ぶくろは食べられないよ」

 手ぶくろをとり上げようと引っぱってみましたが、りーちゃん、ぎゅっとつかんではなきません。

 つよく引っぱったら、りーちゃんの生えかけの小さな歯がぬけそうでこわいので、たーくんは

「しかたないなー、ちょっとだけかしてあげるよ」

と、あきらめてそのままにしてあげました。


 そこにお父さんがやってきて言いました。

「たーくん、雪だるまつくろうか!」

「つくる!」

「雪いっぱいふったから、大きいのつくれるぞ!」

「こんなのつくろうよ! こーんなこーんな、ぼくよりもおおきいの!」

 お父さんはたーくんに上着をきせながら、

「たーくん、赤い手ぶくろは?」

「りーちゃんに、かしてあげてる」

「いいのかい?」

 たーくんは少しかんがえて言いました。

「うーん、りーちゃんだからいいよ」

「そうかい。えらいぞお兄ちゃん」

「うん!」


 二人が部屋をでてゆき、りーちゃんだけがのこされました。

 キラキラした目で、たーくんの手ぶくろをしっかりとにぎりしめていました。

次回は赤い手ぶくろの女の子が出てきます。

お楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ