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第8話 オニール家訪問

「ヒナちゃんの家はあれかな?」

 それは暮れてきた夕闇の丘の上に明るく浮かび上がっていた。遠目で見ただけで大きなお屋敷だと分かる。あたしが驚いている間に車はアーチを通過し、路面の状態は石畳に変わった。

「ここからが敷地なのかな?」

「そうみたいだねぇえ」っとクリスティちゃんが答えた。

「うわぁー、ヒナちゃんの家も相当な大きさだね」

 この世界の住民は一体どうなってるんだ。ここの人たちと比べると、前世のあたしの家なんて犬小屋だよ。

「何言ってるんだよ。コトコの家のほうが広いんじゃないか?」っとマリアちゃんが言った。

「あそこはあたしの家っていうよりもペンデルトンの家なんだけど……」

「コトコはペンデルトン家の娘なんだろ?」

「うん、まあ、そう思ってくれてるみたいだけど」

「今のコトコの言葉を聞いたらみんな悲しむぞ」

「ごめん、そうだね。気をつけるよ」

 エドナ家のリムジンが車寄せに入った。

「ようこそおいでくださいました」っと、オニール家の執事が案内してくれる。

 豪華な玄関を抜けてエントランスに入るとヒナちゃんが駆け寄ってきた。

「コトコお姉様、こちらです」

 あたしの手を取り奥へ奥へと引いていく。

 客間に入るとオニール大佐があたしたちを出迎えてくれた。

「コトコくん、この前は迷惑をかけてしまったね」

「いえもう、丸く納まったからいいんですけど」

「今になって考えると、あの頃の記憶に曖昧なところがあるんだよ。何かに盲信してたような、操られていたような……」

「それは何ですか。言い訳ですか」

「ハハハハハ、そう言われても仕方がないね」

「今日はキミたちの好きなものや、美味しいものを用意しておいたからゆっくりしていってくれたまえ。コトコくんにもゆっくりしていってもらうつもりなんだが、その前に、ちょつと国防省まで私と一緒に来てもらえないかな」

「えっ、なんでですか? 嫌な予感しかしないんですけど……。なんかちょっと怖いんですけど……」

「大丈夫ジャックくんも来てるから」

「えっ! 余計に嫌な予感がしますよ。もともと、これが目的だったんですか?」

「いやいや、ついでだよついで」

「ホントかなあ」

 みんなは、あたしと大佐のやり取りを見て気を利かせてくれた。

「今日はお泊り予定だから大丈夫だよ。しかも明日は休みだしね。ゆっくり御用を済ましてきて」

「いや、ゆっくりしたくないよ。素早く済ませてくるよ。では、気が進まないけどちょっといってきます」

 あたしはずんずん玄関へ向けて歩きだした。みんなと何か話している大佐に振り返って言った。

「もー、何してるんですか! ちゃっちゃと行きましょう」


 あたしたちは国防省に到着した。司令室に入ると、そこにはアニーさんとジャックがいた。

 さっそくあたしは話し出した。さっさと帰りたかったからだ。

「でっ、なんで呼ばれたんでしょうか?」

 アニーさんが話し出した。

「コトコちゃんの量子の体は、量子レーダーに大きな反応として現れるの。情報収集班はその表示を見るたび戦々恐々としている状態なの」

「なるほどわかりました。しかし、いったいあたしはどうすれば?」

「ひとつ提案があるの。まず見て欲しいものがあるから私たちについてきて」

 そう言って四人は指令室を出た。指令室を出ると、通路の奥へと歩き始めた。

「いったい何処へ行くんですか?」

「行けばわかるよ。見てもらった方が理解してもらいやすいのでね」っとオニール大佐が答えた。

 そこには、円柱形の水槽が何本も立ち上がっていた。――このような景色には見覚えが……。

 その水槽の一つ一つに人型が入っていた。

「なんじゃこりゃ! 何で国防省にもこんなものが!」

「アメリア連邦軍では、AI兵士対策として、色々な実験や試みを行っていた。その一つの結果がこれだ、クローン兵団を作ろうと、様々な実験を行ってきた施設だ。ここには色々なタイプの種族や人間のクローンが保存されている」

「この世の中はマッドサイエンテストばっかりかーーー!」

「コトコちゃんは、ニューロリンク処置してある人体なら、接続し操ることができると聞いたから」

 あたしはジャックをギロリと睨みつけた。

「いやー、コトコも常時居場所を監視されるのは嫌かなーっと思って」

「そりゃ、嫌と言えば嫌だけど……。ちょっと待って、よく考えたらもうそれ違う人間じゃないですか!」

「あっ、ほんとだ」

「今あたしペンデルトン家の人間なんです。養女なんです。どう説明すればいいんですか!」

「わ、忘れてた」

「賢い人が大勢集まって何やってるんですか!」

「こまったなあ、どうすればいいかな」

 ジャックが何か思いついたのか話し始めた。

「コトコ位置情報をオンにして」

「えっ、なんで?」

「いいから、ちょっとオンにしてよ」

 そうして何やらプログラミングを始めた。

 ぶつぶつ言いながら作業を進める。

「コトコの位置情報を量子レーダーに反映させてっと。できました。ちょっとこれを見てください」

 量子レーダーの大きな反応の横に、矢印が表示されていた。そしてその横にコトコっとあたしの名前が入っていた。

「これで大きな反応を確認するたび驚くのは防止できるんじゃないでしょうか?」

「なるほど仕方がない、しばらくはこれでいこうか」


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