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第6話 妹ができちゃった!

誰かに楽しんで頂ければ幸いです。

 お昼のチャイムが鳴ると、あたしたちは食堂へ向かった。

「あ、本当だヒナちゃんがいる」

「マリアお姉さま、クリスティお姉さまこんにちは」

「コトコ、ヒロト先輩に見つからないようにしないと。また逸材が見つかったとか言って。ヒナちゃんまで、えらい目にあうかもよ」

「ほんとだね気をつけないと」キョロキョロと周囲を警戒する。

「誰ですかヒロト先輩って?」

「企画研究クラブのクラブ長だよ。とにかく目立つ人だから、そのうち目にすると思うよ」

「誰かこの可愛いヒナちゃんのお姉様になって守ってあげなよ」

「お姉さまになるならぁあ、やっぱりことこちゃんでしょぉお」っと、クリスティちゃんが言った。

「あっ! お姉さまってもしやあれですか?」

「そう、アメリア学院伝統の学院内兄弟のことです」っと、あたし。

「上級生が下級生をサポートするやつですよね。ウフフ、コトコお姉さまお願いします」

 ヒナちゃんにお願いされ、あたしは照れた。

「コトコ、顔が緩みまくってるよ」

 あたしとヒナちゃんは、バッチを交換することになった。

「あたしがお姉様かーーー」

「しまりのない顔のお姉様だな」っと、マリアちゃんが失礼なことを言う。

「マリアちゃん、コトコちゃんをあんまりからかわないであげてよぉお。早く緩んだ顔を直さないと。コトコちゃんのアイドル活動に支障が出るよぉお」

 結構クリスティちゃんの一言のほうが厳しいんですけど……。

「あっ、ヒナちゃん、学院内を案内してあげるよ」

「でた、案内人マリア」

「…………いいんですか? せっかくだから案内してもらおうかな」

 なんとなく、ヒナちゃんの返事が歯切れ悪かった。

「ヒナちゃん嫌だったら、いやって言ったらいいんだよ。マリアちゃんの案内なんて必要ないってはっきり言ったらいいんだよ」

「あっ、コトコ。ちょっとそのいいかたはひどいんじゃないかなあ」っと、マリアちゃん。

「確かに、ちょっと言い方ひどかったかもしれない、ごめんね。ヒナちゃん、別の人と約束とかあったらそっちを優先してくれたらいいんだよ」

「なるほどそういうことか、最初からそう言ってくれればいいんだよ」

 マリアちゃんは、あたしの方をギロリと睨んだ。

「マリアお姉様の案内がいいです。お願いします」

「いい子だねヒナちゃんは、コトコと同じ顔とは思えないよ」

「さっきの仕返しですか?」

 マリアちゃんは不敵な笑みをこちらへ向けてきた。

「お、お姉さま方仲良くしてください!」

「ヒナちゃん大丈夫だよぉお。二人でじゃれついてるだけだからぁあ」

 マリアちゃんが、あたしを案内してくれたときのルートを辿って行く。

「あれ、こんなところに像なんてあった?」

「前からあったよ」

「前は気づかなかったな」

「像よりも見ておく場所、気になる場所があったんでしょ」

「そうかも、でっ、これ何の像? 女神様? 勉学の女神とか?」

「これは、伝説の歌姫だよぉお」っと、クリスティちゃんが言った。

「歌姫?」

「歌姫エリオノールですね」

「ヒナちゃん、詳しいね」っと、あたし。

「私ファンなんです」

「この学院には、歌姫像はかなりあるぞ。エリオノールは、叡智の女神でもあるからな」

 などと話しながら、各施設を紹介していくマリアちゃん。

「ここが図書館だぞ」

「ここにもエリオノールの像があったんだ。図書館のは人間位の大きさだね。そしてまた、精巧にできてるね。有名な彫刻家が作ったのかな?」っと、あたし。

「彫刻家まではちょっと知らないぞ」

「学院長とか理事長とかそういう人に聞いたらわかるんじゃないかなぁあ」っとクリスティちゃん。

「この像は、楽器を演奏しているんだね」

「本当ですね」っと、ヒナちゃん。

「楽器は本物なんだ。しかも高価そうだよ。盗まれたりするんじゃない?」

「この学院で盗んだりするようなやつはいないと思うぞ」

「そうかおぼっちゃまお嬢ちゃまばっかりだから……」

 あたしの下世話な考えに、自分でちょっとがっかりした。

「ん? でも、これって手抜きじゃない? 楽器もちゃんと彫刻するべきじゃないのかな」

「そう言えば彫刻としてはそうかも知れませんね」

「マリアちゃん、じゃあ次行こう!」

「で、僕のおすすめの施設はここだよ。おばさんカレー1人前!」

「やっぱり最後は食堂か」

 食堂のおばさん達は、ビックリした顔でこちらを見ていた。

「またカレー食べるのか? さっき昼ご飯食べたとこじゃないか」っと、あたし。

「いやなんか思わずつい」

「マリアちゃん、しかも食堂から出発したんだよぉお。もうこれで戻ってきたんだよぉお」っと、クリスティちゃん。

「ほんとだ。コトコを案内した時、最後が食堂だったからつい」

「あっ、そろそろ時間だよ。教室戻らないと」

「本当だ!」

「お姉さま方ちょっといいですか? 週末私の家に遊びに来て頂けませんか? 以前のお礼がしたいと思ってたんです。それにゆっくりお話もしてみたいですし、お父様からも、是非皆さんを家に招待するようにと言われてまして」

「えっ! いいの? ヒナちゃんの家かーーー! うへへへへへーーー」

「コトコちゃん、顔が、よだれが」

「ヒナちゃん、ちょっとお姉さま考え直した ほうがいいんじゃない」

「いえいえ、そんな些細なことで私の思いは変わりません」

 あたしは、ヒナちゃんに抱きついていた。

「あわわ。じゃ、じゃあまた細かいことは携帯端末にメッセージを送っておきますので、お姉さま方のアドレスを教えてもらえますか?」

「了解!」みんなでアドレスを交換しあった。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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