第36話 封印のアイテム
転生したら人工知能AI幼女になっていた。って話です。 こちらは続編、第2部となっております。
<a href="https://ncode.syosetu.com/n9155ge/">こちらが前作になります</a>
「ヒナちゃん、これは一体全体どんな状況?」っと声がした。あれ? マリアちゃんは儀式を行ってるはずなのに……。
「ほんとだよお。酷いねえ」っと、今度はクリスティちゃんの声が聞こえる。
「こ、これは……。お姉様が頑張った結果です」
っと、あたしをかばうヒナちゃんの声がする。優しい。
「さすがヒナちゃん。上手いことフォローするな」っと、またマリアちゃんの声が聞こえる。
「なんだろう、幻聴が聞こえる……」
「幻聴じゃない。本物だぞ」
あたしを見下ろす、マリアちゃんの顔が見えた。
「今度は幻覚が見える……」
「幻覚でもないよお」
っと、その脇からヒョッコリとクリスティちゃんが顔を覗かせた。
「ほら、コトコ、やったよ!」っと言って、マリアちゃんは繊細な装飾で彩られた、小さな鳥籠を見せてくれた。それは、光が当たってキラキラと輝いていた。
「なにそれ、奇麗な鳥籠だね」
「何寝ぼけたこと言ってるんだよ。これが、封印のアイテムだぞ」
「そうなんだ、儀式成功したんだね。思ったより早かったね」
あれ? あれれ?? あたしはいったい???
あたしは、書庫の床にぶっ倒れていた。焦って起き上がる。
「ヒナちゃん。あたしは、魔法はどうなったの?」
「お姉様は、書庫の本を次々と読み始め。エデュラン様、リサさんの静止も物ともせず。最終的には、書庫はこの有様です」
あたしは、周囲を見渡した。
アチラコチラに開かれた本が落ちている。泥棒にでも荒らされたような状況だ。
「ひょっとして何日か経った? はい、3日が過ぎています」
「魔法は?」
ヒナちゃんは、暗い表情をした。それから一度うつむいて、そして、顔を上げて言った。
「結局実技は見ていません。ただお姉様は、これであたしは完璧だ! っと、倒れる前に言ってました」
「あれ!? みんなは?」
あたしは、周囲を見回す。……確かジャックは、あたしを診断したあと帰ったんだったな。
「エデュランと、リサさんは?」
「エデュラン様は、コトコが落ち着いたら呼んでくれ、っと言って用意されたお部屋の方へ行かれました。リサさんは、城内のお仕事をされています」
「ひょっとして、結局なんの魔法も使えるようになってないってこと?」
「そ、それは……」っと言ってヒナちゃんはうつむいてしまった。
「ヒナちゃん! あたしは、これで完璧だって言ってたんだよね」
「はい、言ってました。間違いありません」
「あたしは、自分の言葉を信じるよ」
そして自分のライブラリを検索した。確かに魔法のデータベースが出来上がっていた。だけど、どれも実行したことがない、ただ知ってるだけのデータだ。
「ヒナちゃん、エデュランを呼んでくれない」
「はい、わかりましたお姉様」
あたしはぶっ倒れている間に、戦闘についても考えを巡らしていたようだ。ヒッポちゃんと対決するには、巨大化するとか、飛ぶとかしないといけない。だってヒッポちゃんは、大きくて飛ぶのだから。
構築した魔法のライブラリには、巨大化する魔法はなかった。変身の魔法も人間の範囲を超えることはできないようだ。
すると選択肢は一つ空を飛ぶこと。
エデュランは空を飛んでいた。あたしは、まず空を飛ぶ魔法を獲得しなければいけない。
エデュランが来る間に、構築した魔法ライブラリを確認する。飛行法には詠唱がないようだ。飛行は戦闘とは違うからかな?
「コトコ、座学の方はもう済んだのか?」
「うん、準備は万端だよ。早速でごめんなんだけど飛行の魔法を手ほどきしてくれないかな。ヒッポちゃんに対抗するのには必要だと思うんだよ」
「確かにな。では場所を変えるか」
「あっ、ここどうしよう」
散らかった書庫を見渡す。
みんなから「あーーー」っという声が漏れる。
「書庫は私の方で片付けておきます。コトコ様は訓練を進めてください」っと、後ろから声がした。
「リサさん、戻ってきたんですね。すみませんが、よろしくお願いします」
「よし、また中庭を使おう。ついてきて」っと、マリアちゃんがエレベーターに乗り込んだ。
「マリアちゃんは体調大丈夫なの? 僕は儀式の後に休息を取ったから大丈夫だぞ。それよりコトコは大丈夫?」
そう聞いて体のアチコチに目線と意識を集中させる。睡眠はぶっ倒れてた間だけだし、お風呂も入ってない。アイドルとして……、いや、女の子としてあるまじき状態だ。
「いろいろと大丈夫じゃないかも。後で時間があったら休息をもらうよ」
「了解」
あたしは、中庭まで来ると飛行魔法ライブラリをスタンバイ状態にする。
「とりあえずやってみるから見ていて」
っと飛行魔法を実行した。
イメージしただけでフワリと体が持ち上がる。
この手のイメトレはゲームやアニメで完璧だ。
「凄い!」「凄いょお」「お姉様!」みんなの言葉で集中を乱し、姿勢を乱し、地面にベチャっとなる。
「ああーーー」っと、残念な感想が漏れる。
「余の飛行魔術とは、理論が違うものらしいな」
地面から起き上がろうとするあたしに、エデュランが手を貸してくれる。
「あ、ありがとう」
そして、砂を払ってくれる……。
「こ、こら!」
「どうしたんだ?」
「触れていいとこと、だめなとこがあるんだよ!」
「すまない」
「うーん、バランスが上手く取れないなあ」
あたしは、指先をおでこにあてて考えを巡らせる。
「余が補助しようか? ……」
っと言ってエデュランは、コチラの様子を見る。
「触れては駄目なとこに触れるかもしれんが……」
っと言って、また、こちらを見る。あたしは、ジトーっとした目で見返す。
「はぁあああああ」っとため息を吐く。
「お願いできるかな、でも触れるのは大丈夫なとこにしてよ」
あたしの背後にやってくる。そして、脇腹に手を添える。
「コトコ、泳ぎはできるのか?」
「うん、まあ一応」
っと言っておく。小学校の頃、飛び魚のコトコと呼ばれたことは黙っておく。
「なら大丈夫だ。すぐ飛べるようになる。基本通りにやっていこう」
「うん、わかったよ」
お楽しみ頂けたら幸いです。まだ続きます。気に入ったら次話もよろしくお願いします。




