第1話 コトコ、だらける
第二章はじめました。どなたかに楽しんで頂ければ幸いです。
転生したら人工知能(AI)幼女になっていた。って話です。
平穏を獲得したあたしは、のんびりしていた。のんびりしていた。のんべんだらりしていた。
なんと、前世で死んだと思ったあたしは、人工知能(AI)に転生していたのだ。そして、目覚めた世界は、人工知能に管理されている機械だけの国だった。
しかも、人間と人工知能(AI)は、例によって例の如く争っていたのだ。
マッタリのんびりしたいあたしは、頑張ってと言うか運良く戦争を集結し、人工知能(AI)の人権まで認めて貰ったのだった。
で、今は久々の、のんのんのんびりライフを満喫していたのである。
「ぷふあああ。動画を見ながら食べる、コーラとポテチのセットは最高ですなあ。平和って最高!」
ああ、ちょっと眠くなってきたなあ。眠い時に自由に寝られるって幸せだよ。
「ふわあああ」っと、あくびをし、コロリンっとその場に横になった。そして、うとうとと眠ってしまった。
「あれ? ここどこだ?」
あたしはお盆の上にいた。そして時折雲の中に入り込みモヤがかかる。この景色には見覚えが、後ろにあのゆるキャラがいる気がする。あたしはくるりっと振り向いた。
「神様! やっぱりかー」
そのゆるキャラは、右手を上げて立っていた。
「コトコちゃん、また逢ったね。残念、脅かそうと思ってたのじゃがな……」
「もうこれニ回目ですからね!」
「実際には三度目なんじゃがな。こりゃもう、一度目は完全に忘れちゃってるみたいじゃな」
「いつもいつも、一体何なんですか? もうこないだのでお勤めは完了したんじゃなかったんですか?」
「いや、言ってたじゃないかこれからじゃって」
「えっ、いったい何をするんですか? もう十分疲れたんですけど、十分頑張ったと思うんですけど」
「今の世界はどうかね」
「今の世界ですか? 仲のいい友達もいて。親代わりの人たちも優しいし、素敵なメイドさんもいるし、大問題も解決しましたしね。のんびりできて今は最高ですよ。しかも、長生き出来そうですしね」
「ふーむ。じゃがしかし、まだ平穏には程遠いとしたらどうする」
「ちょ! えっ! どういう事なんですか?」
「旅客機事故。機械と人間の戦い。衛星兵器が落ちてきたこと。全部誰かが仕組んだことだったらキミはどうするんじゃ?」
「ま、まさかーーー? 嫌だなあ。おどかさないでくださいよお」
「わしも、脅かしたくはないんじゃがな……」
「えーーーーーー!」
「そのためにキミに来てもらったんじゃからな」
「えっ! そもそも、なんであたしなんかが? こんな小娘じゃ、役立たずそうじゃないですか?!」
「戦闘兵器に生まれ変わってたと思うんじゃが……、まあいいっか。コトコちゃんは、まだまだ生きていたいみたいじゃったからな」
「それだけ?」
「そう、言ってみればそれだけじゃ。でも重要なことじゃろ?」
「た、確かに。あたしにとってはかなり重要なことですけども」
「そう、そして、この世界に変化を起こすには何かが必要じゃった。だからその願望を利用させてもらったのじゃ」
「ううん? そう言うことだったんですか? なんかよく分からないんですけれども、まあいいです。で、その旅客機事故やら、戦争やら、誰がそのいらんことしてくれたんですかね?」
あたしは、神様を睨みつけた。
「さあ? 誰なんじゃろ?」
「えっ? ちょっと! そんなのも分からないんですか?」
「この世界に変化を与えられるのは、コトコちゃん。キミしかいないんじゃよ」
「それと、これに、どんな関係が? これからあたしはどうすれば?」
「これからも君の周りにはいろいろなことが起こるじゃろう。その問題を一つ一つ解決していけばおのずとたどり着けるじゃろうて」
「えぇーーーーーー! なっ、なんであたしが?!」
「じゃあ、しっかりお努めヨロシク」
神様はあたしに向けて杖を振った。そして、言った。
「バルス!」
「あっ、ちょっと! それ、破壊の言葉!」
あたしの体を風が包み込んだ。お盆の上から、飛ばされ、落とされた。
「あっ! ちょ! ミッションコンプリートしたら、何かお願い聞いて貰いますよーーーーーー!」
「いいじゃろ。しっかりヨロシクなーーーあ」
お盆の上から見下ろす神様の姿が、小さく小さくなっていった。