#08 黒に近いが黒くない
私は瞳に映った彼を、黒いシルエットが映り込んだ瞬間に、彼だとすぐに断定出来るようになりたいのです。
私が彼のことを大好きで、一番に考えているとしたら、全員が黒く見えてしまう症状抜きにしても、すぐに分からなくてはいけないのだと思います。
私みたいな人間と、何の壁も作らず、腹黒さの欠片も感じない友達と、今日は会うことになったので、色々と相談する予定です。
私は色々と相談したいタイプなので、前からずっと、その友達には相談を続けていて、その黒々とした瞳にかなりの信用を抱いています。
私の唯一の友達であるその友達が、黒が溢れる私の特殊な瞳に掛かっても、補正出来ないほど独特なステップで今、私の前に現れてきて、すぐにそうだと分かりました。
私の中で、友達が一番信用できている時点で、彼への気持ちに黒いものが混じり、気持ちが満ちていないことになります。
私的にも、黒くない人が見えている一般の人間的にも、友達は彼よりも気持ちの面では深いものなのかもしれません。
私の友達は、一緒に歩いている間にも、黒を突き破るくらいの、唯一無二の鼻唄のリズムと音声を鳴らしています。
私が友達に、もっと彼のことを分かりたいと相談すると、この怯えている黒い心から変えていく必要があると、言ってきました。
私は、確かにそうだなと思い、黒いシルエットの奥の奥にいる彼を、隅から隅まで観察して、細かな特徴を見つけていきたいと感じました。
私が本来の楽しさを放つことの出来る、別の黒によるなりすましに用心する必要の無い友達とのショッピングは、だいぶリラックス出来るものになりました。