#10 黒と私の間に
私との距離を、彼はいつも少しだけ空けていて、黒板の高さの幅ほどの心の距離をいつも感じています。
私の黒しか見えない気持ちに、彼は意図的に近づかないようにしているみたいに思えて、仕方ありません。
私と友達はくっつきそうなほどの距離にいるのに、他の黒がどうしても離れていってしまっています。
私と彼と友達の三人で歩くショッピングモールは、黒い人々で敷き詰められているものの、楽しさがたくさん溢れていました。
私たちは周りから見ると、彼の恋人がどちらで、その友達がどちらなのかも分からないほど、黒々とした複雑さに溢れていることでしょう。
私だけかもしれませんが、黒や統一性を勝手に作り出してしまう、この瞳を持ってしても、個性を発揮する友達が、たまにウミイグアナの泳ぎみたいな動きをしていると感じる時があります。
私たち三人がもしも周りから、私の目で見るように黒に変換されて見えているのならば、ペアは友達と彼の方だと断定する人が多くいることでしょう。
私の友達は、恋愛感情に達しづらく、黒でも赤でも青でも黄色でも、どんな色を持つ人でも仲良くなれる、みんなが友達みたいなタイプなのです。
私の友達の特徴は、平気で男女関係なくベタベタ触りまくって、一切黒い心は持たず、特に一番私をベタベタ触ってくる女性なのです。
私が色々なものを巡らせて考え事をしていると、いつの間にか彼と手が離れ、黒い波という名の沢山の人々のなかに二人が消えてしまい、気付けばひとりぼっちになっていました。