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答え

二限前にクラスに戻るといつもの雰囲気に戻っていた。ただ、愛那はこちらを心配そうに見つめており

、秋也に関しては少しこちらを見ただけで何も言ってこない。


「よ~し。全員いるな。席に着け。始めるぞ~」


教室に来たマコちゃん先生の声が響き渡る。それに倣いみんな席に戻る。そこでようやく俺のいつも通りの日常が始まっていく。

あれよこれよと過ごしているうちに放課後になる。結局俺は授業中全く集中できず、ひたすらに貰った言葉の意味を考えていた。しかしいくら考えても明確な答えは出なかった。それでも秋也が言わんとしてたこと、本宮さんが俺に伝えたかったこと、楓さんがくれた言葉の持つ意味は少しだけわかった気がする。


「あの!浩太君…」


来た。きっとこのあとの展開はクラスの誰もが想像してる通りなのだろう。


「なに?愛那」

「今……話したいことがあるんだけど…いい?」

「ああ」


お互い短い言葉だけ交わして教室を出ていく。クラスの面々はいくらか残っているが、俺たちが教室を出ると同時にほとんどの生徒が帰り準備をはじめる。

俺は前を行く愛那の背中を追う。

(どこまで行く気なんだ?)

自分の中で出した曖昧模糊とした答えを反芻しながら愛那についていくととある扉の前まできた。

(ここって……)

愛那は躊躇うことなく戸を引き中に入っていく。俺もそれに続く。無数もの本が並ぶ中、棚の前で立ち止まる。俺も一定の距離で止まる。




「あの…あのね!浩太君」

「うん…」

「ずっと前から好きでした!私と付き合ってください!!」




とうとうこの時が来てしまった……。きっと明日からまたあの日と同じようなことになってるのかもしれない。それでも俺は言葉にしなければいけないと思い愛那の方を見る。そして気づいてしまう。

(ああ。この子は真剣なんだ。)

そういえば前回は俺は相手を見て伝えられただろうか?向こうの真剣さに気付いていただろうか?そんな思考が頭をよぎる。こんなに真剣な気持ちをぶつけてくれているんだ。俺はこの子の気持ちを汲み取らなきゃいけないのではないか。

返事に答えようと息を吸った瞬間、風につられて金木犀の香りを感じる。それと同時に彼女の声が頭によぎる

(誰かに嫌われることを受け入れて)

そうだ。そうだった。その場の空気に押されるところだった。俺が出した答えはそうじゃないだろ。そう頭に言い聞かせて言葉を紡ぐ


「ごめん!愛那と付き合うことはできない。俺、好きな人ができたんだ!だから……愛那とは付き合えない」


そういうと彼女の頬に大きな涙が零れ落ちる。きっと彼女自体確実に成功するとは思ってなかったと思う。だからフラれる覚悟もしていただろう。それでもやはりショックは大きかったのだとその涙を見て思う。


「そう…なんだ。ごめんね…。私なんかに告白されて迷惑だったよね。」

「そんなことはない。愛那の気持ちは素直に嬉しかった。けど…俺はその子と一緒にいたいと思ってるから」

「そっか。ごめん。私もう帰るね」


そういうと愛那は右手で口元を隠してうつむきながら図書室を出ていく。

俺はその場を動かずにただただ自分のとった行動を振り返っていた。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

次回から過去編突入です。

浩太の過去が明らかになります。

良ければ感想お待ちしてます。

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