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葛藤とヒント

(なんで俺はあんなことを言っちまったんだ)

教室に戻る秋也は浩太に対するイラつきと自分が言ってしまった言葉に対する後悔で頭がいっぱいになっていた。


(浩が中学の時辛い思いをしてたの知ってるのは俺だけなのに…それなのに!それなのに俺は!)


思わず壁に拳を叩きつける。拳に鈍い痛みが走るが、骨折するくらい強く叩きつけてないため数秒もたてば痛みは引いてしまう。


(なにか…なにか俺にできることはねぇのか…)


そんなことを考えながら教室に戻る。すると聞き馴染みのある声が俺に話かけてくる。

「アキ、おはよう!」

「おはよ~ってどうしたの?顔暗いよ?」


話しかけてきたのはいつも話している二人、新垣と火乃宮だった。


「ああ…おはよ。大丈夫だから気にすんな」


思わず素っ気なく返してしまう。しかし今は二人に構っている余裕はない。一刻も早く俺にできることを探さなくてはいけないのだ。

そう思い自席に行こうとすると前に新垣が立ちはだかる。


「そんな顔して大丈夫なわけねぇだろ。何があったんだ?」

「進には関係ない話だ」

「それで俺が納得すると思ってんのか?逃げるならもっとうまくやれよ」

「るっせ…」


バツが悪くなり思わず目を背けてしまう。


「入ってきた時の教室の雰囲気、アキの態度、加えていつもと違うメイクの愛…なるほど話の方向性が見えてきたぞ」

「お前怖いわ…でも分かったろ?お前にできることは何もない。さっさとそこどいてくれ」

「それを決めるのはアキじゃない。俺だ。とりあえず何があったか話してみ?」


(クッソこいつにはかなわねぇ…)


俺は諦めて進に話すことにする。





落ち込んでいるうちに授業が始まってしまい、戻るタイミングを逃してしまった。ある意味ではよかったのかもしれない。今戻ったところで、秋也との関係も気まずいままだし、何より頭を整理する時間が欲しかった。屋上の踊り場は煙草を吸いに先生が来るらしいのでその場を去り、とりあえず図書室に向かうことにする。図書室に着き、戸を引いて中に入る。幸いなことに誰もいなかったため早速適当な椅子に腰掛けて情報を整理することにする。


「………」


深い思考に入る。これまで自分が言われたことから過去の経験。全てを今一度思い出す。そのうえで自分がどうするべきかを考える。しかし解決策は何も浮かんでこない。


「えい!」

「ったぁ!」


もう一度最初から考え直そうと思っていた矢先眉間が強烈な痛みに襲われる。結構痛い。マジ痛い……。

痛みに悶絶しながらもその方向に目をやると、そこには楓さんが立っていた。


「こら~!授業さぼって図書室で暇つぶししてるんじゃありません!」

「日頃人に仕事を丸投げしてるあんたにだけは言われたくないわ!それと暇つぶしならここには来ないわ!」

「栞梨ちゃんといい、浩太君といい、人の扱いが雑なのは関心しないよ!私のことをもっと崇めなさいな!図書室の王はこの私なんだから!」

「そんな王国即滅亡でしょ……」

などと普通に話してしまう。この人はほんとに自分のペースに持ち込むのがうまい。

「それでどうしたの?」

「え?」

「真面目な君が授業をさぼってまでここに足を運んだんだ。何にもないとは言わせないよ?」


俺は気恥ずかしくなる。そういえば前回もこの人は感づいて声をかけてくれたんだった。少し話すか悩んだが、相談してみることにする。


「実は…………」



俺は今日までに起こったこと、言われたことを事細かに楓さんに話した。いつもは生徒に仕事をやらせたり、さぼって寝ているようなろくでなしなのにこの時ばかりは非常に頼もしく感じた。


「な~るほどねぇ~。実に君らしい悩みだ」


そういって楓さんは軽く伸びをする。二つの大きな胸が自分の目の前で揺れるもんだから思わず目をそらす。


「俺は…どうすればいいんですかね?」


今自分で話しながらも解決策が見つからないことに絶望して思わずそんなことを口にしてしまう。


「そうだね~。私が答えを言うわけにはいかないからね~。ヒントだけ教えよう」

「ヒント……ですか」

「そう!ヒント。この問題はいたってシンプルで単純だとも。けど、君はそれに気づいていないだけ。栞梨ちゃんと嶺山君に言われたことを思い出して。この二人の言葉を深く、重く受け止めるんだ。そうすれば答えはきっと見つかる」

「それが……ヒント」

「うむ!これ以上私からは何も言わぬ」


楓さんは立ち上がり、机の上においてある数冊の本を手に持ち、その場を去ろうとする


「一限の間だけはここにいてもいいけど、二限からはちゃんと授業にでるんだよ~」


最後にそれだけ伝えて楓さんは司書室に戻ってしまう。

取り残された俺は今楓さんに言われたことを思い出す。そして時計を確認する。

(よし。あと二十分ある)

俺は授業が終わるまで図書室でただひたすらに楓さんからもらったヒントから解決策を考え続けた。


皆様新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

今年一発目の投稿になります。少しずつ進んでいるのですが、まだまだ全然長いです。


ひとまず本年の目標はもっと多くの方に見てもらうことです。ユニークの累計が現在200名前後なので600名の方に見ておらえるよう頑張ります。投稿頻度は多くありませんが、今後とも応援していただけると助かります。それと感想を10件もらえるように頑張ります。


来週も更新する予定ですので今後ともよろしくお願いします。感想もお待ちしております。

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