異世界利用して金儲け
俺は月城 悠人。
俺はさっきまで異世界にいたんだ。
二年前、急に異世界に勇者として召喚され、俺はその世界で何度も戦うことになった。
チートだからよかったものの、もし、力がそのままだったらあっけなく死んでたと思う。
魔王を倒すと、強制帰還によって、この世界に返された。
ちなみに服装は異世界に召喚された当時の服だ。
白シャツに黒い長ズボン。
スマホも持ってる。
写真のアイコンをタップし、写真を確認する。
ちゃんと残ってるな。
俺が異世界にいたときに撮った写真だ。
風景や城、その世界の魔物とかを撮ったんだ。
動画も撮影した。
うん、ちゃんと撮れてる。
それはいいけど、ここはどこだっけ?
見たことはあるんだけどな。
ちなみに今は夜だ。
召喚された当時は十八歳だったから、今は二十歳か。
少し街を歩くと、だんだん道を思い出してきた。
俺は自分の家に向かった。
玄関のインターフォンを押す。
すると、母さんが扉を開けてきた。
母さんの顔を見て妙に懐かしさを感じていた。
「ただいま、母さん」
だが、母さんは黙ったまま俺を見つめている。
「ん?母さん?」
「………はっ!あんた、もしかして悠人…?」
「え、そうだけど」
すると、いきなり涙を流して俺に抱き着いてきた。
「今までどこ行ってたのよ!もうこの世にいないと思ったじゃない!」
母さんは泣いていた。
どうやら、この世界とあの世界の時間軸は同じらしい。
「どうした!」
父さんが部屋から姿を現した。
父さんも俺を見た瞬間、唖然とする。
「悠人、生きてたのか……?」
「ああ、ちゃんと生きてるよ。ごめんな。今まで帰れなくて」
俺はとりあえず家に上がり、両親に事情を説明した。
「信じられないってことはわかってる。俺も普通ならバカげてると思う。でも、事実なんだ。証拠だってある」
俺はスマホに撮ってある写真を表示し、母さんと父さんに見せた。
どうやら信じてくれたようだ。
俺は少しの間、実家で過ごすことにした。
多分、高校は退学だろうな。
これからどうしようかな。
ずっとここにいるわけにもいかないし……。
俺はベッドの横になりながら、そんなことを考えていた。
「そうだ!」
思わず言葉に出してしまう。
この体験談で金儲けしよう。
動画も写真も撮ってあるし、これを使えば儲かるかもしれない。
動画投稿サイトにこの動画を投稿しよう。
そして、俺の体験談を話そう。
公式アカウントもつくって体験談を書いて、画像も貼ろう。
俺はそれを実行し、一気にネットで有名になった。
コメント欄を見ると、『フェイクじゃないの?』
とか『偽物だろ』
とかほざいてる奴もいる。
異世界が存在しないという証拠もないのに、何を偉そうに言ってるんだか。
アンチは無視すればいいだけだ。
俺は次に小説投稿サイトに、自分が体験したことを書いた。
事実をもとにして書いたのだから、小説の投稿頻度は高かった。
事実小説より奇なり、ということわざがある。
事実だからなのか、書き始めてから数カ月で書籍化と漫画化した。
アニメ化もした。
もちろん、金は結構入った。
数十億は儲かったかな。
この件は大発見となり、世間ではたちまち話題になった。
これだけの大金が入るのは当然だろう。
これだけあれば働かなくても人生楽しめるな。
俺は今、家を購入して、妻を持ち、最高に楽しい人生を送っている。