脱出(改)
内容を変更しました
タメコミは事務所で散々文句を言った挙句、病院のロビーに座ってブツブツ文句を言っている
診察時間も終わりロビーには人はいない
しかし、タメコミの目にはなぜかたくさんの人が写っている
ここにいる全員を殺せ、もっと吸わせろ
そう心の中から声が聞こえてくる
タメコミは病院の玄関から外に出て、病院の脇の方へと消えていった
しばらくしてタメコミが何かを手に病院のロビーへと戻ってくる
手には古びた日本刀が握られており
目も虚ろではた目から見ても危険な状態だ
途中それを目撃した人が慌てて警備員を呼んできた
タメコミはロビーで何かを切り付けるかのように暴れていてすでに手が付けられない状態だ
何に対して刀を振ってるのか、周囲の人間にはタメコミの刀が空を切っていようにしか見えない
狂気の沙汰としか思えない姿に警備員は付近に人が近づかないように閉鎖し、警察へと通報していた
タメコミは一心不乱に刀で切り付けていく、タメコミの目には目の前にいる人々が血しぶきをあげて絶命していく姿が見えている
ここにいる人間の人生は自分が握っている、自分の気分次第でこいつらの人生を変えることができる
「さあ、俺に従え、命乞いをしろ」
命乞いをする人々も容赦なく串刺しにしていく
◇
夕凪が飛ばされた場所は病院のロビーだった
ロビーには沢山の人がいて日常的な光景が広がっている
しかしその人々からは人の感じ共霊の感じ共取れない不思議な気配を感じていた
体が痛い、転んだ時に足を挫いたのと吹き飛ばされた衝撃で腕や体が痛い
部屋の隅で少し休んむことにした
すると病院の入口からさっきの浪人風の大男が入ってきた
イケイケな感じの若い男性がイライラしながら周りを押しのけ、入口のドアを蹴飛ばしながら
病院を出ていこうとしていた
浪人風の大男は入口の2重扉の真ん中に止まり、辺りを見渡している
若い男性と大男はぶつかり文句を言いながら大男に掴みかかろうとした
《あ、ダメ》っと心で思った瞬間
瞬間に首が飛んだ
血が噴き出ると同時に周りはパニックになった、
大男は周りに居る者がすべて邪魔だと言わんばかりに、次々と周囲の人を切り付け周囲が血の海と化していく
夕凪はここに居ては危険だと感じ痛めた体を起こそうとした時に自分より小さな手が差し伸べられた
手を握られた瞬間に感じた
「おじいちゃん?」
と思わず声を漏らしてしまった
「シー、静かにとにかくこっちへ」
祖父に手を引っ張られその場から離れる
しかし、手を引っ張る祖父の姿がどうしても子供にしか見えない
近くの部屋の扉を開ける
誰も居ない診察室に2人は隠れた
「おじちゃんどうしてここに?」
「お前を探して階段を降りてきたらいつの間にロビーに出ていたのじゃよ」
「そして目の前の惨状に驚いて、ふと横を見るとお前が座ってるのが見えたのでな近づいた次第じゃ」
「でもよりによって、どうしてこんな場所に・・・」
「さあ、儂にもわからん、兎に角お前に会えてよかったよ」
夕凪は祖父に会えた安心感もあるがここからどうして逃げればよいのか考えても分からない
しかも隣には子供姿の祖父まで
ここを出るにしてもあの男が居る
もしかしたら病院の外へ出ると元に戻れるとか、すべての行動が掛けになる
行動するにしても慎重にならないといけない、ますます悩んでしまっていた
◇
篤は気が付くといつの間に地面に落ちていた、地面に落ちていても辺りは真っ暗な闇が広がる
立ち上がってみるが、不思議と痛みがない、どの位落ちたのだろうか上を見上げても真っ暗な闇しかない
足元が暗いな中あてどなく歩き続ける、歩いていて不思議に思うのが足元には障害になるような物もなく何かに躓く様子もなさそうだ
真っ暗な中時間の経過も分からない、その不安が足を止め、その場で座り込んでしまった
体育すわりをしたまま突っ伏していると、地面にかすかな光を感じた
顔を上げてみると1人の女性が立っていた
女性は光輝いており容姿など眩しくて見ることができない
その女性はおもむろに石を取り出し目の前に差し出された
そして、横の方に指を示した
示された方を見ると、1人の少女と子供の姿が見えた
言葉は無いがこの石を少女に届けるのかと問いただすとうなずいたように見えた
篤は石を手に取り、その場に走る
◇
夕凪が思案していると、目の前に新たな子供が滑りこんできた
その子供は夕凪に透明な小さな石を差し出す
「これは?」
夕凪が訪ねると子供は
「頼まれた」
と一言告げるだけだった
「なんとも不愛想な子供じゃな」
祖父が思わず噛みついた
「俺は、子供じゃない」
「若造お主、歳はいくつじゃ」
「なんで子供のお前に歳を言わなくちゃいけないんだ」
「儂は今年で77になる、お主よりから年上だと思うのじゃがの」
「おお、すげえ、その恰好でじいさんなのかよ、なんかすげえな」
「おいらは自分の年ははっきり覚えてないんだ。名前は篤、よろしくな、じいさん」
「なんとも変わった子供じゃな」
「じゃあ、石を渡したのでこれで帰るね」
「帰るってどこへ?ここから出られる方法があるの?」
夕凪はその言葉に疑問を持ち聞き返した
「んー、そいえばここどこ?、帰る・・・どこに・・・」
夕凪が聞き返したことで篤はパニックになってきていた
篤は声を上げながら部屋を出ていき、病院の入口へと向かっていった
まずい止めなければ、2人は大男に警戒しながら追いかける
篤はロビーの惨状を見てさらにパニックとなり
病院から出ようと出入り口の扉を必死に開けようとしているが動く気配は無い
やはり病院の建物から出ることはできないのだろう
男に切られた無数の人体の中
刀を持った大男はその場に立ち尽くし動こうとはしない
◇
現場に警察官が到着し刀を持って暴れているタメコミに拳銃を構え刀を下ろすよう命令する
だがタメコミにその言葉は聞こえない
タメコミが刀を振りかぶり警察官を襲うそぶりを見せた瞬間、発砲音が複数回響き渡る
タメコミは足と腹部に血を流しながら
「この体は渡さない」
そう言い残し、刀の先端を咥え、上を向き飲み込むようにして刀を喉に押し込んだ
タメコミは口から血を流しながら痙攣し絶命した
◇
夕凪達にはタメコミの姿は見えない、目の前に居るのは浪人風の大男だ
タメコミの命が尽きたころ病院の入口から白い光に侵食されれていく
近くに居た篤は白い光のに飲み込まれ消えていく
"夕凪を元の世界へ戻すには4階に行くしかない"
そう思った夕凪の祖父は夕凪の手を引き4階まで走る
2階から3階へ駆けあがる時に下を見るとすでに1階部分は真っ白く消えていっている
2人は必死に駆け上がる
そして4階の扉を開け夕凪が4階へ入る
後ろを見ると祖父がまだ残っていた
夕凪が早くと叫ぶと、祖父は返事をする
「儂はもうそちらへは行けないようだ、元気でな」
そう言い残し白い光に包まれ消えていった
白い光が消えた後には元の病院の非常階段への入口となっていた
篤から渡された不思議な石はポケットの中で熱くなっており
夕凪はそれを取り出した、透明な石は白く輝いていた