管理者
繋がれた糸のように細くなった青白い線をたどり霊道を開いていく夕凪、その後ろを歩くミハル
「どこまで続くんでしょうね?」
「時の概念が現実世界と違う、歩いているというのは自分たちの認識の中での出来事であり、実際にはそうでもないかもしれない、ここはそんな不思議な空間」
「現実世界から切り取られたような木があったり、草花があったり、水のある場所にはお魚さんも泳いでますね」
「うん、触ることもできるけど触ってしまうと、線を追えなくなるから気を付けて」
ミハルは伸ばしかけた手を引っ込めた
「もう付きそうだから私に掴まって」
その言葉にミハルは目を瞑りし必死にがみ付くと一瞬ふわっとしどこかに飛んだように感じた
ミハルが目をそこは夜の世界が広がる
「ここが里?」
「うん、間違いない」
目の前に小さな平屋があるものの人の気配はない
「ミハルはここの家に隠れていて、何者の気配も感じない、大丈夫だと思う、私は少しこの里を調べてくる」
「まっ・・・」と言いかけたが
「大丈夫、ECP-01はここに置いていく、なにかあったら連絡して」
そう言い残すと夕凪は暗闇の中に消えていった
しかたなくECP-01で明かりを灯し家へと入る
家の中はトイレやお風呂、水も出る生活する上で食料を除き一式揃っているように思えた
不思議なことに畳の部屋の上には埃すら無い、試しに明かりを付けようとしたが流石にそれはやめ
狭い建物なので一通り見るのに時間はかからなかった
部屋の中から外を見ると、長閑な光景が広がる、どう見ても現実世界と変わりない夜空も延々と続いている
「星が綺麗・・・」
ミハルが星を眺めぼーっとしていると背後から音がする
「ただいま」
一瞬緊張したが夕凪の姿を確認しホッとする
夕凪はしゃがみ床を指でなぞる
「埃がない・・・」
「うん、ここには埃も無く、家の中の物もすべてが新品のように綺麗でしたよ」
「なるほど・・・ここに招待され・・・すでに監視されているか」
《今のところ排除の意思はなさそうね》
「ユキさんと弟さんの無事は確認してきた、里もそれなりの広さがあり百人以上はここにいると思う、食料を作っていそうな畑も見えたから自給自足している、後でECP-01を使い・・・」
夕凪は目に見えぬ速さで刀を抜き押し入れの襖を切る、そこには半透明に透けた人間の様な姿をした者が土下座をしていた
「ここの管理者かしら?」
「敵対する意思はございません、どうぞ刀をお納めいただきたく存じます」
夕凪は刀を納める
「お望み少年はいずれお返しいたします、それまでなにとぞ穏便にお願い申し上げます」
「読み取ったわね・・・(ユキさんの方か・・・)」
「作用にございます」
「返してもらえればすぐに帰るけど」
「いいえ、今しばらくお待ちください、村人たちにもあなた方の事は認識させております故、なにとぞ穏便にお過ごしください、いずれ時が来ればお渡し致します」
そういうと管理者と思われる者は姿を消した
「簡単には返してくれなさそうですね」
「うん、ユキさんとケンくんの身柄を確保するまでうかつには動けない」
夕凪はECP-01から4本の棒状の物を取り出し、部屋の4隅に突き刺す
「これでプライバシーは守られるはず」
管理者が居たと思われる場所に手を当て静かになにかを探る
「まだ残ってると期待して」
夕凪はエネルギーの痕跡を探す
「見つけた」
夕凪は青白い霊体エネルギーを引き抜きECP-01に接続しこの里について解析させる
「少し時間がかかりそうですね」
「その間に少しお願いしたい事がある」
「うん、いいよ」
すでに夕凪の姿は無かった
ECP-01解析と改竄を繰り返している
この世界には時という概念は存在していない、ただここに暮らす人々記憶が積み重なり日常を作り出している、現実世界での共通認識がこの里に生活に影響を及ぼしており異端な考え方は排除されているようだ、その為この里のルールから外れることは死を意味しているがその認識は村人には無い、なぜなら記憶が常に書き換えられているからだ
「管理者の都合で人を消すことは簡って事みたいですね」
ミハルは夕凪とこの里の事について話をしていた
「うん、どこにも行けないこの場所での追放は・・・どうやら別の者も飼っているみたい」
夕凪は神社の底に別の気配を感じていた
ミハルは里の映像を記録しに出歩いていた、村人から声を掛けられる、ミハルはここではスズと言う名前で、体の弱い祖母の面倒を見るために都会からやってきたとなっている
ミハルは畑の方を記録しているとケンに出会う、話の流れ的にどうやら畑をさせられる事になりそうだ
それ以降ミハルは畑に通うこととなる




