試作機テスト その1
雪音の事務所では夕凪をはじめある試作品について集まっている
ミハル、ミク、シノの3人もだ
3人はそれぞれ怖い思いをしたことから知り合いとなり、共に夕凪のように強くなりたいと願っていた
そしてキトから体力的な訓練も受けていたのだ
「今回集まってもらったのは他でもない新しく開発した対霊魔の試作品テストを行ってもらう」
「なお、われわれの特訓を受けた君たちならばすでに人としての域を超えており、その辺りは自信をもってテストに臨んでもらいたい」
「過去危険な目に会い、その経験のおかげで君たちは強くなれた、しかし生身の人間のままでは限界がある、さらなる高見に上るためには多少の無茶も必要だ、今回のシステムで君たちはさらに上の段階へと進むことができるだろう、大変だろうが頑張ってくれたまえ」
「万が一肉体が死んだとしても魂は有効活用させてもらうのでその点も安心してもらいたい」
3人はその言葉に少し気が引き締まる
「あと、夕凪に関しては・・・まだまだ力の差があるので今回は見学してもらう」
「特別な部屋を用意したのでそちらへ移動するように」
「以上だ」
今回の試作品のテストにはリーザも参加していた
というよりグリスが今回の資金を提供し開発の手助けをした大本なのだ
リーザは夕凪たちを別の部屋へと案内する
リーザたちが部屋を出た後、傍で見ていた雪音は普段と違うキトの姿に思わず声がでる
「あれ~キトさん雰囲気変わりましたね?」
「そうか、いっぺんこういうのやってみたかったんや~」
「そうでしたか、彼女たちは大丈夫ですかね」
「問題ないやろ、そん時はそん時や」
「キトさん1回やらかしてますしね」
「あ、あれは、違うぞ、こうなることを予想して行動してるまでや」
「ほんとかな~」
「現にこうやって協力者が出たことでお金の心配も不要となったわけやし」
雪音とキトは4人のことを忘れしばらく皮肉めいたバトルをしていた
夕凪たちは同じ課の別室へと入る壁一面真っ白な部屋の中には様々な機械や中央には大型のモニターまで設置されている、まるで秘密の作戦本部のようだ、4人共部屋に入るなり驚きの声を上げている
部屋にはリーゼと4人以外は誰も居ない、リーゼから簡単に説明を受ける
「皆さんをサポートさせていただくリーゼですよろしくね」
「リーゼさんよろしくお願いします」
「では大まかなことを説明させていただきます」
「このシステムの名称はA2と言います」
「キト様より肉体を失った魂だけの存在をご提供いただき、それを核としてこれらのコンピューターで解析しております」
「キト様のご尽力により我々の悲願が達成されようとしております、なので我々もあなた方に対して最大限のサポートをさせていただきたいと思っております」
なんだか大ごとになってきているなと4人は思う
「とりあえず、まだA2の声は聞こえてこないと・・・あ、夕凪さんには聞こえてましたね」
「後程キト様が来てから調整させていただきます」
「それと今回テストしていただく当たってこちらの装備をしていただくことになります、エンカウント・コマンダー・プロテクション、通称ECP-01です、あとこちらが衣装です」
ECP-01は背中に背負うタイプで白く手足を動かかすのに邪魔にならないような楕円の形をしている
衣装は迷彩柄の和装だ、時代劇に出てくるたび娘のような服だが、特に足周りは邪魔にならないよう機能的な服となっており恐らく普通の服ではないのだろうと予想できる
3人は早速服を着替えECP-01を背中に装着した
「なんか可愛くてかっこいい服ですね」
3人共、気に入っているようだ、そういう点に関しても一見すると無邪気な少女達である
ECP-01を装着することでこの部屋の大型モニターには3人の状態が映し出されていた
準備をしている間にキトと雪音も部屋に入ってきた
「さてこの機械には核となる人の魂が必要だが、普通の人間では扱うことはできない、まずA2との会話が不可能だからな、なのでますお前たち3人に霊波を調整させてもらう」
「A2準備をしてくれたまえ」
キトの声に反応しA2はECP-01を起動させる
「しばらく苦しいが同調するまで我慢してほしい」
3人はお互いの顔を見て覚悟を決める
「では開始せよ!」
するとミハル、ミク、シノの頭の中にシーンと言う信号音の様な音が響き渡る
「あ、あたまが割れそうです・・・」
「うぅぅう・・・」
「・・・・・」
3人とも苦しそうだ
リーゼは大型モニターに映し出されている3人の状態を確認している
70%....80%....85%....
モニターのシンクロ率の数値が上昇している
3分くらい経過するとやがて、その頭の中に響き渡っていた音もやがて静かになってくる
「あ、なにか音が聞こえてきました、誰かの声?」
3人は次第に脳へ直接語り掛けてくるような声を感じる
リーゼはモニターを見ながら3人の霊波がA2の霊波と同じような波長になっていくのを眺めていた
「霊波の同調率が98%...99%を超えました、成功です」
「うまくいったようだな」リーゼの言葉にキトは満足そうだ
「今回の霊波の調整は簡単に言うと身近な存在の者が亡くなった時になんとなく感じる虫の知らせという言葉があるが、そういった人のまだ理解できていない領域の霊波をA2を介して共有出来るようになる」
「この機械を装着している間は頭の中で考えたことがそのまま皆に伝わるので注意するように」
「それと3人が目で見た世界もA2に共有される、だがA2の見える世界に関しては残念ながら直接見ることはできない、なのでECP-01に搭載された小型のディスプレイに表示される、目に見えない存在を相手にする場合A2を介してそのディスプレイに表示される仕組みだ」
ECP-01が稼働してアームが飛び出て眼前に透明なガラスの様なディスプレイが表示される
今は何も表示されないが見えざる者が現れた場合にはそれが表示されるのであろう
「基本的な説明は以上だが、言葉より体験した方が早いかもしれんな、他にもいろいろな機能はあるのだが・・・、それはそのうち分かるだろう」
「なにか聞きたいことはあるか?なければ早速テストに入りたいのだが」
「心の準備はどうじゃ?大丈夫かな?」
「いきなり本番で不安じゃないと思えば嘘になるかな~」
「なんか緊張してきた」
「背中の重さも合わせて気分も重くなってきた・・・」
「わっはははは、心の声が聞こえるのは愉快じゃな、なーに心配することはない、リーゼとA2がサポートしているので大丈夫じゃよ」
「・・・はい」
「良い返事じゃな、ではそろそろ説明を始めるとしようか」
「はい」
「今回機械のテストを行う場所はすでに決めておる、日中でも日の当たらない薄暗い樹海である」
そういうとキトは大型モニターに移された地図を表示する
「今回、テストの相手はすでに見つけてる、この森に徘徊する霊、そやつの魂を回収するのが今回のミッションだ、回収についてはECP-01が行う、所詮は霊、特に実害を受けるような危険はないので安心するがよい」
3人は初めてのミッションともありやはり緊張している様子がうかがえる
「すでにターゲットを補足しております」リーゼがナビゲーターのようだ
「では、はじめるぞ、ミッションスタートじゃ!」
キトは合図とともに霊道をだし、3人は指示に従い霊道へと入っていく
真っ白な何もない道を過ぎるといきなり森の中に移り変わる、どういう原理になっているのかは未だに理解ができない時間や距離といった概念が自分たちの居る世界と違うことで3人は納得していた




