表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心霊コレクター  作者: 呼霊丸
夕凪の日常
30/46

人骨銛(後)

後編になります

幼女はその日、母に連れられ駅前に来ていた

母親は駅前でばったり会ったママ友となにやらしゃべりこんでいて動こうとしない


幼女は暇を持て余し周囲を見渡す

すると排水溝の下から水面をなにかが跳ねるような音がする、幼女は母親の手を放し

排水溝をのぞき込む、排水溝には格子状の蓋があり上から中が覗けるよう状態だ

中には水が溜まっていた


幼女がのぞき込んでいると水面を時折パシャパシャと音を立てている

生き物がいる、幼女は好奇心からかもっと近くで見たいと思いあたりを見渡す


母親は排水溝の上で下を眺めている幼女を時折確認していたが話が終わることはない


幼女はボルトの外れた溝蓋の隙間を見つけ誰にも気づかれることなく溝の中に入っていく



夕凪は学校帰り雪音の事務所の扉を開ける

事務所には警察の人たちが訪れており


夕凪は話に入ることなく近くの椅子に座って話し込んでいる

どうやら付近で多発している子供の行方不明についての協力らしい


警察が帰った後、机に置いていた行方不明者の写真を見て

夕凪「この子、ここへ来る途中で見かけましたよ」


雪音は待ってましたと言わんばかりに地図を広げる


夕凪「たしかこの辺りでした、ただ、女性が1人立っていたので近づくのはやめました」


雪音「その付近がなにかあやしいね」


雪音は神様が置いたつくばいをのぞき込み下水を探索していく

下水道に2人の女性の姿を見た雪音は

「この人たちはなにをしているのだろう」

「なにか探し物でもしているのだろうか」

となにやらつぶやいている


雪音は地下のダムを見てすごいすごいと感心して見ていると

いつの間にかハクの見ており水中の気配に反応する

「おぉー、これはすごいな、しばらく見ないと思っていたらこんなところに居るとは」

「夕凪は先に行っててくれ、少し準備をしてくる」

そう言い残し消えていった


夕凪「まだ行くと決めてないのにしょうがないですね」

すると雪音が

「やっぱビンゴだよ」

服の特徴が一緒の姿の子供がまるで人形のようにうつ伏せに倒れているのを見つけた

「今ならまだ間に合いそうだ」


夕凪は市女笠と錫杖を手に取り

「ではちょっと行ってきます」と雪音に告げ消えていった



美和と絵里は恐怖でその場でうずくまっていた

自分たちはこの巨大な化け物に食べられるのだろうか

そんな思いでいた


すると梯子付近で金属が触れ合うようなシャリンシャリンと言う音がする

音の方を見ると薄暗い中、屈んで何かをしている様子の人影が見えた


瞬きほどの一瞬の出来事で見ていた方向と逆側でシャリンシャリンと音がする

美和たちが振り向くと傘を被り杖を持った少女が立っていた

少女はこちらを見ることもなく杖で奥の道を示す

「子供がいる、助けてあげてください」

水中の影は少女が何かをしたのか梯子の方へと向かっていく


美和たちは杖で示された方へと走っていく

途中、なぜか徐々に霧がかってくる、やがて霧が濃くなり足元を見るのがやっとだ

それでも前に向かって歩いていくと

人形のようなものを見つける、服の色でミルだと確信する

「まだ息がある」

すぐさま上に居るミオに絡をとりその場で待機をした


霧の中を見ているとなにやら船のようなものが見えた気がした

ただ霧が濃くてはっきりとはしない

???「さっきはごめんな、地上に連れてったるから少し辛抱してや」

すると声の主から布のような物を被され、それが剥がされた瞬間地上に出ていた

大通りからミオが警察官を連れて走ってきていた

ミルは一命をとりとめた



少し前

ハクは久々の漁に歓喜していた

人骨の銛と人の背骨で作られた舳先を持ち出かけようとしていた


キト「兄さま、そんなもの持ってどこへいくの?」


ハク「見つかったか」


キト「あー、自分だけ楽しもうなんていけず!」


ハクはキトに説明する


キト「じゃあ、あの辺りにいる奴ら集めてくるか」


ハク「キトは南から頼む、俺は反対側の奴らを集めてくる」


キト「はいはーい」


そう言い残し2人は別れた


キトは水路の中をかけめぐる

樹齢1000年以上の神木、その葉の付いた枝を腰に巻きガサガサと音を立てて走っていく

水辺の生物の死骸を核として取りついた黒い霊たちは、本能に影響され逃げ回る


生物の躯達は地下ダムへ出た瞬間、光るものを見つけ思わず反応してしまう

人が水の中へ落ちた


キト「あちゃー、運の悪い子やなー」

躯達が女性に群がろうとしだしたのでキトは黄泉の水を取り出し女性の後方へ撒くと躯達は怯む


キトは周囲を見るとすでにハクは反対側へと来ており、夕凪も来ているのが確認できた

夕凪は人間香を焚くと躯達はそちらへつられていく

とりあえず人間が邪魔なのでキトは地上へ送る

ハクは漁の準備を行う、人の背骨に黄泉の水とサメの血を混ぜたものをかけていく

すると辺りが霧に包まれだした


霧の中から1艘の魚船が表れる、船の上にはミイラとも骸骨とも思われる亡者の姿が確認できる

幽霊船だ


キトとハクは人骨銛を手に幽霊船へと飛び乗る


キト「兄様には負けへんよ」

ハク「久しぶりだ、楽しむとしよう」

キトは夕凪に手を振り、船へと誘った


夕凪も乗船する、言葉も発しない亡者たちに囲まれ少し戸惑うが嫌な感じはしない

キト「さあ、漁の始まりやで!」


幽霊船は躯達に突撃していく、亡者と躯達の戦いは意外と激しさを増していく

亡者は躯を銛で突いていき、躯達は亡者を加えて水中へ引き込み引きちぎっていく


夕凪の市女笠には結界があり躯達に襲われることはない、ただただ漁の激しさに圧倒されている

ハクは一番大きな躯の核を銛で貫きとどめを刺す


やがて躯達はキトとハクに狩りつくされ地下ダムは一時的ではあるが浄化されていた

人が地上で生活している限り地下ダムが静かになることはない


ハクとキトは満足して帰っていった


夕凪は雪音の事務所へと戻る


雪音「おつかれさん!今回は無事に救助できてよかったよ、ミルちゃんも数日大事をとって入院すれば退院できるらしい」


夕凪「そうでしたか、それはよかったです」


雪音「他の行方不明の子達もなんとか探し出して、すべて警察へ情報を流しておいたよ、中には誘拐された子も居たから早く動けて良かったよ」


夕凪「でもこの手の事件は無くなりそうにないですね」


雪音「子供というのは大人には見えない何かが見えてしまうのだろうね、それに誘われて行ってしまわないように親がしっかり手を握ってあげないといけないのだろうね」


夕凪「私は怖くて逆に親の手を握ってましたけどね」


雪音「そんな怖がりだった子が今では霊と向き合うくらいに成長しているのだからセツさんに感謝しないといけないね」


夕凪「はい、師匠には感謝してます」


夕凪は雪音としばらく雑談していた




子供は大人には見えないものが見える


道路上、排水路、水辺の近く、山の中などあらゆる場所で見えざる者は手招きをしている


子供は見えざる者に誘われて急に走り出す危険性を伴っている


決して子供の手を離してはならない

ご覧いただきありがとうございました。


一旦全部書いて長くなった部分を極力短くして書いております。

セリフは少な目になっております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ