青き血の一族
紫の血の霧が付着し、外から中の様子が見えない
内部は50人くらいは居る
D先生は1000年前の無念の意思が受け継がれている
頭の中にあるのはとにかく領地を取り戻す、その執念しかない
◇
神様、夕凪、ミハルはとある田舎の山道を進む
この山道は昔は神様へとお参りへ行く人で賑わっていた街道である
街道では黒い霊力を漏らしている人は妖魔に狙われ、霊道へと引きずり込まれ糧となる
現在、使われなくなった街道はいつしか古道となり人々が通ることも無く
街道を根城としていた妖魔は霧散していく
しかし、この古道を根城としていた妖魔は他とは違った
ミハル「たしかあの辺りだったと思います。」
神様「うん、あそこじゃな」と指さす
そこには霊道があった
中に入る森の中だが開けていた、綺麗に整えられた小道の両脇には花が咲いていた
奥には小川が流れ、畑や田んぼらしきものがあり、石垣の積まれた上には水車の付いた小さな家があった
階段を登ると、小さな庭があり玄関がある
玄関の木の扉を開けると、和装の姿をした少女が綺麗に正座をしていた
セツ「神様ようこそおいでくださいました」
セツが顔を上げる
神様「セツよ、元気でなによりじゃ、今日は、ほれ、懐かしい友達を連れてきてやったぞ」
ミハルの顔を見ると大喜びしていた
セツ「大きくなったね、元気そうでなによりです」
セツの見た目はミハル達と同じくらいの年恰好をしている
セツ「神様、お供の方々、どうぞこちらへ」
畳の広間に案内される、掃き出しから見える景色は庭を含めてなんとも居心地がよく心が落ち着く
セツはお茶を持ってきて「どうぞおくつろぎください」
夕凪「とても綺麗なお庭ですね、ここからの景色はなんだか心が安らぐ気がします」
ミハルは昔を懐かしむ
セツ「人の真似事をしているだけです、昔の人は生まれてから死ぬまで人はこの窓の景色を見続けていたのです、現代のような移動手段がない人々は家の窓から見える景色が癒しであり、娯楽であり、人生と共に歩んでいました」
夕凪とミハルはセツの話を聞いていた
神様「ところで、ハクとキトは居ないようじゃが?」
ミハルはその名前に憶えがなかった、セツの他にも誰か居たことに驚いている
セツ「ミハルが来たときにはあの2人は居なかったから・・・」
セツ「神様がお呼びとあればすぐに帰ってくると思います。」
神様「では呼んできてくれるか、それから話をしよう」
セツ「はい、呼んで参ります」
そうすると庭へ行き、使い魔達を呼び伝言を託す
2人は数分もかからず現れた
ハク「神様、お呼びでしょうか」顔をあげる
ハク「!」
キト「「神様、お呼びでしょうか」顔をあげる
キト「あれ~、ムギ姉ちゃん?」
ハクは年は15-6歳くらい、夕凪たちより少し年上で
キトは11-12歳くらいの少し年下な感じだ
ハク「キトも驚いたか、あれはまるでムギではないか、いや、人である以上別人だろうが、生まれ変わり?・・・、もしや神様のいたずらか・・・」
ハクはなにやらブツブツ言っている
キトはミハルに近づき「どこからどうみてもムギ姉ちゃんにそっくりやな~」
キト「私はキトです、よろしくです!」
挨拶をされたミハルも返す
ミハル「ミハルです、キトちゃんよろしくね」
キト「私の方が年上なんやけどな~」
ミハル「あ、ごめんなさいキトさん!」
キト「うそうそ、ごめんな~、ミハルちゃんだけは"ちゃん"付けて呼んでいいよ~」
キト「神様!、もう1人の子は・・・もしかしてミハルちゃんのお友達?」
神様「そうじゃ、ミハルの親友じゃ、仲良するのじゃぞ」
夕凪「ゆうなです、キトさんよろしくです」
キト「わーい、人間のお友達ができたの1000年ぶりやわ~、見た目がこんなんやから子供しかよって来やへんから」
夕凪「キトさんって西の方の言葉が上手ですね」
ハク「キトは古い町や場所が好きでな、よく西の方に遊びに行っている」
ハク「申し遅れました、ハクです、以後お見知りおきを」
キト「あれ~、夕凪が持ってるやつ~」
セツ「そうですね、私たち1族の宝物と同じ石ですね、あなたも神様に選ばれた、と言ったところなのでしょうか」
神様はなにも答えない
夕凪「そうなんですか」
セツ「黒い霊力を吸収すると、石も黒く光ります、私たちはそれによって魂を体に維持させております」
セツ、ハク、キトの3人は黒く光る石を見せる
セツ「私はここの場所を守っており、ハク、キトは外の世界で黒い霊力を集め旅をしております」
神様「ここはこ奴らにとって特別な場所でな、もう1人アサと云う名の姉妹がいるのじゃが、」
神様「お前たち、夕凪たちに血を見せてやってくれるか」
ハク「はっ」と言った後、ハクは腕をまくり爪で1筋の傷を付ける
すると青い血が薄っすらと現れる
セツ「この血は私たち1族が神様より授かりました、しかし1000年前に私たちの姉妹が人間にさらわれ実験され、取り返したのですが、この場所で今も眠ったままです」
神様「その時に実験で来たのが紫の血じゃ、そして、その紫の血の者が現れたのじゃ」
神様「たしか1000年前の呼び名は違魂人であったか」
ハク「なんと・・・あの時すべて回収したと思っていたのですが、まさか見逃していたとは・・・」
神様「1000年前の戦の前に、術師が魂の片割れと紫の血を壺に封じ込めていたようじゃな」
セツ「たしか名は時貞でしたか」
ハク「そうだ、今回は絶対に逃がさない」
キト「絶対に許さない・・・」
神様「お主ら、夕凪とミハルに力を貸してやってはくれないか?」
ハク「ムギの生まれ変わりの者なら、喜んで、お手伝いしましょう」
ハク「しかし、これだけは申しておきます、紫色の血の者はすでに死んでおります、亡者の魂を剥がし、紫の血を抜き、綺麗な遺体を人に返すまでとなります」
夕凪とミハルは反応に困る
神様「お主たちに人間の代表のように決定をさせるのは酷じゃからな、こ奴らに任せるがよい」
夕凪とミハル「はい」
神様「さてとりあえず雪音の所へ戻ろうか、今の状況が気になる」
セツ「私はここに残っております、必要とあればここにある霊物を持参致します」
神様「まぁ、必要ないと思うが、万が一の時はお願いするやもしれん。頼んだぞ」
セツ「はい」
セツ「夕凪ちゃん、ミハルちゃん、また遊びに来てね」
夕凪とミハル「はい、是非また来たいです」
神様、夕凪、ミハル、ハク、キトは雪音の元へと移動する
読み返した時に少し長く感じたので諸所短くしてみました。
御覧いただきありがとうございます。