壺の内側の付着物
人は強い衝撃を受けると記憶を失う
記憶を失う=魂の片割れを落としてしまう
落とした魂の片割れは元に戻ろうと波長の合う人に付いて行こうとする
人から人へやがて行方不明となってしまう
壺には乾燥した紫の血が壺の内側に付着していた、赤い血が触れると、赤はすべて紫へと変わる
紫の血を生者に入れると死を迎える、奇跡的に運が良ければそのままの魂で蘇るが人にあらず
D先生はすでに亡者の魂に支配され肉体が死を迎え、紫色に変わり魂が維持できた
紫色の血を死体に注入すると魂の無い動かせる体となる、亡者はこの体に受肉できる
亡者たちの受体として使うなら後者である
少女たちの体を乗っ取り受肉した亡者たちは、
黒い霊力の縁によりD先生の意思に逆らえない
D先生の指示で、寝かされている人々の血を次々と抜き
赤い血をD先生へと注ぎ込んでいく
血を抜かれ絶命していく人々、恐怖で悲鳴が地下に響き渡る
犠牲者が出ていることで、警察隊が突入を決意し、入口から窓から一斉に地下へと侵入する
するとD先生は口から紫の血を霧状に吹き巻いた
防護マスクのない警官達は毒を吸ったみたいにその場でもがき苦しみだした
体育館の地下からあふれ出ている黒い霊力は次々と亡者の魂を呼び寄せている
そしてテーブルに括られ、心臓の止まった生徒や教師たちに亡者の魂が群がる
紫の血を浴びた死体に亡者たちが次々と受肉し、起き上がり
床で苦しんでいる警官たちを襲いとどめを刺すべく喉元へ噛みついていく
突入した警官たちが次々と絶命していく
その光景を見ていた警官達の足が止まった
「いったん下がれ」命令が飛び交う
警官達は体育館の外まで下がり、体育館の出入り口、地下の窓に向かって盾を構え陣取る
すでに発砲許可もでており、ショットガンやライフルで武装した警官まで配備されていた
警察官「マスコミの皆さんも下がってください、化学兵器のようなものが使われたので非常に危険です」
警官隊の防護マスクが配られていく
警官隊のあわただしさ、現場の緊迫した状況がテレビを通じて全国に放送されており
人々はテレビにくぎ付けとなっていた
◇
夕凪たちは凄惨な中の状況を見ていた
雪音「神様、これかなりやばいんじゃないですか?」
神様「やばいってなんじゃ?」
雪音「あ、危機的な状況ってことで・・・」
神様「なるほど、現代語か、使い勝手のよい言葉じゃな」
雪音「そこじゃなく・・・」
神様「よいよい、分かっておる、あれは人の身では勝てない、銃程度で戦っても止めをさせず、むしろ仲間を増やすだけじゃろう」
雪音「げ、そんなにやばいんですか?」
神様「相当やばいな!」
神様「肉体事消し飛ばす威力のある武器なら別じゃが」
雪音「街中でそんな高火力な武器は許可が下りないでしょうね」
神様「それに気づいた時には相当の人が化け物になっているだろうな」
神様「1000年前の化け物対現代兵器、人はどれだけ戦えるのか興味はあるな」口元が笑っている
雪音「1000年経っても人としての戦い方にそれほど差がないのだろうか・・・」
神様「1対5、鍛えられた人ならば、1対3位までは縮められるやもしれん」
雪音「現場だけでも250人くらいは必要ってことですか・・・」
夕凪「神様の力でなんとかならないのでしょうか?」
神様「わしのこの絶対なる力ならあの程度、息を吹くだけで消し飛ばすことができるわ」
夕凪「神様!学校を、皆を元の姿に戻してください!」
神様「これこれ、神に安易に物事を頼むでないぞ」
夕凪「・・・ごめんなさい・・・」
神様「それにミハルをいじめていた奴らを含め、すでに死んでおるわい」
神様「神とて死んだものを安易に生き返らせることはできんのじゃ」
神様「まぁ、足元から黒い霊力を出している奴らが生き返させるに値するとも思えないがな」
神様「・・・とは言え、いくら現代兵器とて、今のままでは人間の方が不利じゃろうな」
神様「そこでじゃ、ミハルよ」
ミハル「はい!」
神様「お主5、6年前に不思議な体験をしておらぬか?」
ミハル「はぁ、特には・・・なにも覚えてませんが・・・」
神様「では、これでどうじゃ?」
神様がミハルの頭に手を添える
ミハル「あ、なにか思い出しました、そういえば親戚の家に遊びに行ったときに、山で迷子になり・・・泣いていると、見ず知らずの少し年上のお姉ちゃんと出会い、山で一緒に遊んだ後・・・・? あれ?どうやって家に帰ったか覚えてないです・・・」
神様「場所は覚えておるか?」
ミハル「はい、大体ですが行けると思います」
神様「よし、では会いに行くぞ!」
雪音「その子はいったい何者なんですか?」
神様「黒い霊力を糧とする、人間でいうところの妖怪?悪魔?さしずめ妖魔か、人ではないことはたしかじゃ」
夕凪「だ、大丈夫なのでしょうか?」
神様「なにがじゃ?」
夕凪「私たち、食べられたりしません?」
神様「まぁ、妖魔の中に人肉を好むものも居るが(にやり)、こやつは大丈夫じゃよ、もし人肉を好む奴ならミハルはとっくに食われとる」
夕凪は少し安心する
神様「では行くとするか、雪音はここで留守番をしてるのじゃぞ」
雪音「えー、私も連れて行ってくださいよー、神様お願いします」
神様「ダメじゃ、神棚を守るのがお主の役目じゃ」
雪音「はぁ・・・、夕凪ちゃん、ミハルちゃん、お姉さんは行けないけど気を付けてね、危なくなったら神様を盾にして逃げるんだよ」
神様「これ、なんと罰当たりな!」
夕凪とミハルは神様と雪音は意外と仲が良いんだと思う
神様「では、ミハルよ夕凪と手をつなぎ場所を思い浮かべるがよい」
ミハル「はい、思い浮かびました」
神様「夕凪よ、シロに触れるのじゃ」
夕凪「はい!」
シロに触れると「霊道が現れる」
神様「シロよ案内を頼む、お主たちはぐれる出ないぞ、道を踏み外すと予期せぬ場所へ出てしまうからな」
神様「では出発じゃ!」