亡者の魂
25年前、蝙蝠の死骸で蘇生術を試した人物が居た
中途半端な術は失敗に終わる、受肉できないのである、しかし亡者の魂は呼ばれており
受肉できなかった亡者の魂は体育館の地下で黒い霊力を糧にひっそりと留まっていた
亡者の魂は普通の死体では受肉することはない、死体に取り付いても動かすことはできない
なにかが足りない・・・
夕凪たちは階段を登っていた
夕凪はシロに案内され人の居ない3階の生物室へと案内される
生物室にはさらに奥部屋がありその部屋には生物の標本などが並べられており
今の状況でここへ訪れる者はいない
部屋には霊道が出来ていた、シロが入っていく
夕凪は石を掴み、ミハルに目を瞑るように言う
シロの見えないミハルは不思議に思うが
ミハルは目を瞑り、手を引っ張られて少し歩くと
夕凪「もう目を開けていいよ」と言われ
目を開けると景色が変わっていた
そこには事務室的な場所で、目の前には眼鏡を掛けた、大人っぽい女性が立って居た
大人っぽい女性「夕凪ちゃん危なかったね、危機一髪って感じかな」
大人っぽい女性「ミハルちゃんだね、初めまして雪音と言います、大変だったね」
ミハルは訳が分からないが一応返事をした「は、はい」
雪音「ここは学校からかなり離れた場所だから安心していいんだよ」
雪音「それにしてもとんでも無い化け物が現れてしまったね」
夕凪「怖かったです、いったいあれはなんですか?」
雪音「神さま曰く、1000年前の化け物の魂が憑依したらしい」
雪音「あれは夕凪では太刀打ちできないらしいからここへ逃がせと神様のお告げが!」
ミハル「神さま・・・?」
雪音「そう!神様が君の事を助けてくれたんだよ、そこの神棚に居るからお礼を言った方がよいよ」
ミハルは神棚に向かい、手を合わせ「神さま、ありがとうございます」と心で念じた
??「感心な小娘じゃ!」耳元で声がした
後ろを振り返るとさっきまで居なかった、少女の姿をした何かが姿を現した
夕凪「こ、この方が神様です」
ミハルは驚いている
神様を見るには特別な力はいらない、それは神様の都合でどうにでもなるからだ
神様「さて、この状況じゃが」
水の張られたつくばいに学校が写し出されている
その光景に夕凪とミハルは驚いた。
雪音「神様が世界の様子が見れるようにってここに置いてくれてね」
雪音「たまたまイジメにあっているミハルちゃんを見つけてから心配でずっと見ていたんだけどね」
ミハル「ありがとうございます」
夕凪「神様、すごいです!」
神様「当然じゃよ、神じゃからな!」神様は少し嬉しそうだ
しかし、写し出された学校は悲惨な光景だった
救急隊だけでなく警察も来ていたが運動場で待機していた
次々と生徒が避難させられている、警察も応援を呼んだのか次々とパトカーも到着している
学校は大騒ぎになっていた
生徒たちが避難した後、警察官がD先生を捕まえようと突撃したが
強靭な力ですべて投げ飛ばされ警察官は地面で呻いていた
若い警察官が銃を構える、「うごくな!うごくと撃つぞ!」
D先生は無視している
若い警察官が足に発砲する、銃弾が足を貫通するが痛みの感じないD先生には効いていない
D先生は襲ってくる気配はない、外の警官隊を眺め体育館を見る
銃弾が命中しても効果がない、上の指示で、無理に取り押さえようとせずに応援が来るまで監視とのこと
D先生は警察官に囲まれながら体育館に歩いていき、体育館の地下へと入って行った
入口の扉が閉められる、細長い窓から中を覗くとケガをした人たちが30人くらい縛られている
人質だ、警官隊はそう思い無理に突入せずに体育館を取り囲み指示を待っていた
騒ぎが大きくなるに連れマスコミも来て学校は騒然となっていた
◇
落雷のエネルギーにより黒い霊力の力が増幅され
近くに居た黒い霊力の縁を持つ者8人に影響を及ぼした
もっとも強い影響を受けたのがD先生だった
D先生の肉体は増幅された黒い霊力と亡者の魂が強く結びつく
すぐに乗っ取られ、見た目はD先生だが中身は別物だ
7人の生徒は雷の衝撃で気絶した際に黒い霊力の繋がりにより
亡者たちの魂が入り込んでいた、気絶した少女たちは夢の中だが永遠に夢の中へと旅立つ事となる
亡者の魂は黒い霊力に引き寄せられ群れていく、
黒い霊力による繋がりは亡者の魂となった者たちには切ることができない
黒い霊力に集まる、群れるは抗えない習性のようなものである
学校には黒い霊力の者たちが沢山おり受肉用の人間はすぐに集る
地下室に戻ってきたD先生は
儀式を行う
自分の手首を切り、血を壺に注いでいく
壺に注がれた血は紫色に変色していく
そして変色した壺の血を飲んでいく
人としての赤い血が無くなると
完全に人ではなくなった体に受肉し、現世の地面に足を付く
次に寝ている生徒7人の血を抜き
やがて心臓が止まり、少女たちの魂は体から追い出される
黒い霊力に繋がりのある少女たちの魂はいずれ亡者の魂となるだろう
紫色の血を体内へ注ぎ込む、
少しすると7人とも息を吹き返す
中身はまったくの別物だ
D先生は壺を噛み砕き体内へと収めた