悲劇の序章
ミハルは朝から気が重い
いや、重いなんて表現では収まらない
親に無理やり買ってもらったスマホ、友達同士で作った書き込み場所は今では私の悪口しか書かれていない
見るのも嫌だ
「ミハル、早く起きなさい。遅刻するわよ」
母親に心配をかけまいと日常を演じるが一歩家を出ると地獄だ
傍目から見ると中の良い友達同士に見えるが実際にはスマホで私の悪口を書き込みして楽しんでいる
◇
「どうじゃ?見えるか?」
つくばいに水を張った場所になにかが見えてくる
雪音「おおー、神様なにか見えてきました、これは一体・・・」
「神の泉とでも名付けようかのう、どこでもなんでも好きな場所が見れるぞ」
雪音「おおー、すごい!すごいぞこれはー!」
テレビでもパソコンでも世界中の見たいところができる万能モニターだ
しばらく遊んでいると
雪音「ん、この制服は夕菜と同じ学校だね、この子はイジメにでもあってるかね、まったく」
スマホの内容からすべてを見ることができた
「まあ人間社会はどこにいってもこういうのを目にする、どこぞの性格の悪い神がいたずらでそういう習性を人に植え付けたのか、はたまた人が神に望んだのか」
「そなた達の呼ぶ霊力と言うのは、神に呼びかける唯一人に与えられた力の元である」
「霊力は貯める側と使う側の主に2つに分類され、貯める側の人間は使うことはできない、使う側の人間は貯めることもできるが霊力が小さすぎて、神を呼ぶとなるとより多くの貯める側の霊力が必要となる」
「貯める側の人間はどこかで霊力を抜かないと貯めすぎると器である体によいことはない」
「貯める側の人間はとにかく群れたがる、使う側の人を求める習性があるのじゃろう」
「こういうイジメなんぞは貯める側の人間にとって悪影響を及ぼす、この娘達にもすでに悪い影響がでておる」
ミハルの足元から黒い気のようなものが見える
雪音「神様、この黒いもやもやしたのは?」
「そうじゃ、この黒い気のようなものが見えるじゃろう、これを欲する者も存在するのじゃよ」
「そういう者たちの養分みたいなものだな、すでに目を付けられているようじゃ」
雪音「夕凪は大丈夫だろうか?」
「気になるのなら教えてあげればよかろう、それが良い結果になるとは限らんぞ」
雪音は夕凪に気を付けろとだけアドバイスをした