本当にあった怖い話し-空港-
混雑した空港であの子は何をしていたのか
あれは私が数年前
イギリスから日本に帰国する際に
飛行場で起こった不思議な出来事
クリスマスシーズンの飛行場は
帰省客で賑わっていた。
もちろん私が並んだチェックインカウンターも
長蛇の列をなしていた
暫くの間人間観察をして暇を潰していた。
私の前には若い男達が団体で並んで
楽しそうに雑談をしている。
私の後ろには16歳位の浅黒くて
健康的な少女が私を見て微笑んでいる。
少女の後ろには、短気そうな男が
チェックインが進まないことに対して
苛立ちを隠せずにいる。
待てど暮らせどチェックインの列は進まない。
私も雑談がしたくなり後ろの少女に英語で話しかけた。
「混みますね、疲れちゃうわよね」
少女は何の返答もしなかったが
暖かい笑みを浮かべてくれた。
その後も私と少女は喋りはしなかったが
目で会話をしていた。
少女の表情は豊かで
言語が通じなくてもこんなにも
意思の疎通が出来るものなのかと
内心驚いていた。
暫くして列が動きだしたので
私は前方を見て進み出した。
また列は止まった。
またかぁという怒りの感情を
後ろの少女と共有したく
後ろを振り返ったが
彼女の姿は見当たらない。
少女のすぐ後ろにいた
短気で怒鳴り出す寸前の男に
聞いた
「さっきまでいた女の子、間に合わなくて
違うカウンターにでも行ったかしらね?」
男はカウンターを遠目で見ながら答えた
「は?女の子?俺の目の前にはずっと君が
立ってたろう?俺にニコニコ笑ってたろ?」
「あなたに笑っていたんじゃないの、あの少女に、、、」