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魔女と歩む魔法の世界  作者: 天野夜夢桜
2/18

★目的に歩み始める魔女と人★

異世界に飛ばされた少年レンが帰還するために魔女様と一緒に帰る方法を模索していくお話になります。

エルマと俺が本の山から情報を探し始めて九時間経過、まだ見つからない。

しかもこれだけかけてもまだ半分の数しか調べられていない。

いやまあ、部屋の中にあった本は全部見たのだが、なんとエルマが魔法で作った亜空間の中にまだ千冊くらいの本があってそこが全然見れてないので進捗度が半分だった。

正直もう今日はそこを探す気力も無く、それはエルマも同様だったので今回の捜索はここまでにして夕飯の準備を現在していた。勿論俺も手伝わされていて、その辺に生えている食べれそうなキノコを集めていた。

最初は確かに面倒くさいと思っていたのだが、案外やり続けると中々面白かった。

何せ異世界だから自分の住む世界と違い、どれも見たことがないキノコばかりで面白かったからだ。

虹色みたいな色をしたキノコや氷の結晶みたいな形をしたキノコ。

そして蒼白く光っているキノコとかが生えていた。

まさにファンタジーの世界だと妙にテンションも上がった!


「さて、これだけ採ってくればいいだろう、料理はエルマが作っているしさっさと戻りますか!」


俺は足早にエルマのもとに戻って行った!


レン君が森にキノコを採りに行っている間、私は料理のしたごしらいをしていた。

ふむふむ、この具材ならシチューが作れそうだ。そうと決まればジャガイモの皮むきと人参の皮むきを始めますか。


「ルジェルト!(浮遊せよ!)」


まずはジャガイモと人参を三個ずつ浮かしてこっちに運ぶ、そして……。


「フォルストラ!(破滅せよ!)」


野菜の皮のみ破壊して皮をむく。それから…。


「ザルメディス(斬撃の旋風を!)」


野菜を一度に全部斬る!

この調子で残りの具材もさっさとこしらえちゃいますか。

そろそろキノコを取りに行ったレン君も帰ってくるだろうし。


「ただいま、今キノコ狩りから戻ったぞ!」


ほら帰ってきた。キノコシチューにするからあれも洗って斬らないとね。


「ご苦労様、じゃあそのキノコを頂戴、今から洗って斬撃魔法で斬るから」

「さすが魔女だな、料理を作るときも魔法を使ってるのか!」

「その方が早く調理ができるからね、利用するものは何でも利用する! でしょ♪」

「そうだな! ところで後俺は何をすればいんだ?」

「そうねぇ、料理は私が作るからレン君は机の上でも片づけてちょうだい」

「わかった、片づけておくから料理宜しくな!」

「わかってるわよ、そっちこそちゃんと机を拭くのを忘れないでよね」


ふぅ、まったく私を誰だと思っているのかしら。偉大なる魔法使いのエルマよ、料理だって完璧に仕上げるわ。

それにしても彼は運がいいのか悪いのか分からないわね。キノコ採りに行かせておいてなんだけど、この森のキノコは殆どが毒キノコなのに採ってきたのは全部食べれるキノコ、ホント運が良い人ね。

そんな彼に敬意を評して私も頑張らなくては。

勿論魔法で料理するけど♪


「ホトラル(熱よ)」


ガスコンロでも料理はできるけど魔法で煮込んだほうが早い!

我ながら何でコンロなんか置いているのか分からなくなってきたが考えないことにしよう。

おっと、さすが魔法ね、もう沸騰したわ。

それに具材ごと熱魔法をかけたから既に柔らかくなってるし、そろそろシチューのルーでも入れようかしら。それ! 行きなさい!

ルーが溶け出すのも早いからもう完成したわ!

ここまででわずか八分程度、やっぱり魔法でやると早くていい。

さて、次はお皿に盛りつけて机に運ぼうかしら、勿論浮遊魔法でね♪


「ほら、出来たわよ! エルマ特製シチューよ!」

「へぇ、魔法で作るって聞いたからてっきり雑かと思ってたけどけっこう上手じゃん!」

「貴方の言葉はどことなく棘があるわね、やはり一発お灸を据えた方がいいかしら?」

「俺なりに褒めてんだよ、ではさっそくいただきます!」

「どうぞ召し上がれ」


フフフ、十七歳の可愛くない少年だと思ってたけど、なに可愛い顔出来るじゃない。

私の料理を美味しそうに食べてくれるなんて、ちょっと嬉しいわね。

さて、私も冷めないうちに食べようかしら。


いやぁ、エルマのキノコシチュー結構美味かった! また作ってくれる事を期待しよう。

もっともその時まで俺がここにいればの話だが……。

そういえばこっちで夕飯を食べたという事は日本も夕飯時ってことだ。

つまり俺が夕飯になっても帰ってこないという状況になってるという事か。

これはマズいぞ! このままだと俺は行方不明者扱いになり、警察沙汰、

あるいは死んだ事になり墓を建てられているかもしれない。

早いとこ帰る方法を見つけてこの世界から出なければならない!

さっそくあの本の山の中から情報を探すか!

あぁでも、エルマが亜空間を開いてくれないと探せないなぁ……よし! 頼んでみるか。


「エルマ! 亜空間を開けてほしんだけど」

「今から? 続きは明日にするんじゃなかったの?」

「いやぁ~ よく考えたらさぁ 俺のいた世界では今頃捜索願いを出されてるかもしれなくて早いとこ変える方法見つけて帰らないといけないと思ってな」

「ふ~ん、まぁいいわよ、ただ私はくたくただから一緒に探す気力が今無いわよ? それでもいいのかしら?」

「ああ! 俺一人で探すよ、さぁ開けてくれ!」

「仕方がないわね、オピニオン(扉よ開け)」


おお! 目の前に紫色に光っている扉が出てきた! まぁさっきも見たけど。

それにしてもこの扉不思議だな。何がって扉の裏には何も無いのに扉を開けると部屋がある扉だから。

これが亜空間って言われたら何も言えないが、魔法のなかった世界に住んでいた俺からすれば凄いとしか思えないよ。


「ほら、何ぼぉ~としてるのよ、さっさと中に入って調べて来なさいよ」

「そうだな、じゃあ行ってくる」


さてと、扉をくり抜けいざ情報集め開始だ! と言いたいとこだが、あの魔女の亜空間だぞ!

空間の中は本の瓦礫でいっぱいだ! 普通ここは本の山だろ? と思うが、目の前にあるのは瓦礫と言わざるおえない置き方がされた本がある。

すなわち探す前に整理しなくてはならない状況だ!


「まったく、こんな汚く本を置いておけるエルマの気が知れないなぁ」

「聞こえているぞ! ここに永久に閉じこめられたいか!」

「遠慮しとくよ!」


おっかない魔女様だ、二十五メートルは離れているのに聞こえているんだから。

まぁ、それはそうと整理しますか。

こうして見ると、本のジャンルは色々あるな。

魔導書みたいな物や魔物の図鑑、魔物!?

やっぱりこの世界には魔物がいるのか、そりゃあそうかもな、ファンタジーみたいな世界だしな。

そしてこれは何かの物語の本、それとこれはエルマの日記だろうか。

まぁ読んだらあの性格上ぶっ殺されそうだから読まないが。


小一時間後、やっと整理が終わった! まったく本棚を買え!

まぁいいや、それより早いとこ役立つ本がないか探すか。

そうだなぁまずこれを読んでみるか。

タイトル、異世界の住人……あからさますぎだろ…でも折角だし読むか。


え~となになに~ この世界にはたまに異世界からやってくる人が存在する。

何かの偶然で来る者もいれば、自らの力でやって来る者、はたまた死んでしまった後に転生という形で現れる者もいる。


そしてこれは稀だが、この世界の者が召喚と言う形で異世界の者を呼び出し、異世界の住人がこちらの世界にやって来るという場合もある。


「なるほどね、こう言ったパターンで異世界に飛ぶのか」

「そうすると俺は偶然異世界に来たというパターンだな、そうなると帰るにはどうすれば良いのか…。」

「もっと読み進めてみるか、偶然飛んでしまった場合も詳しく書いてあるし」


偶然異世界に辿り着いた者にもパターンはある、一つは時空の歪みに巻き込まれ身体ごと移動した場合と寝ている間に魂だけ異世界に移動する者、この二パターンだ。

魂だけの場合は本人からすれば夢を見ていた程度に感じるだけで問題は無いが、身体ごと移動した場合は基本的にもう元の世界には戻れない。


「……はいぃぃぃぃい!? 戻れないって、やっぱりエルマの言うとおり帰れないのか……。」


クソぉ! 本を読んで希望が絶望に変わったぜ、畜生!さて、マジでどうするかなぁ、帰れないと書いてあってハイそうですかなんて割り切れないぞ!


「あら、捜し物は見つかったかしら?」

「まぁその様子だと見つかったけど絶望しかなかったという顔ね」

「なんで分かんだよ! そうさ、エルマの言うとおりだった、帰る方法なんて無いんだ!」

「そう、なかったの、じゃあこれからどうするの?」

「そうだな~ もうどうすることも出来ないし、この世界に移住だな……。」

「ふ~ん、まぁ貴方がそれで良いなら良いけど、折角私が見つけた手掛かりは無駄になってしまうわね」

「手掛かり? どんなの?」

「貴方の世界の次元粒子と思われる物が見つかったの、でもここに移住するなら要らないわね」

「エルマ様、その手掛かりを使い元の世界に帰らせて下さい! お願いします!」

「ちょっと! 肩を強く掴まないでよ! 痛いから!」

「ああ悪い、それでその粒子で帰れたりするのか?」

「そうね、その世界の情報が分かればこの私が魔法で貴方を元の世界に帰す事など簡単に出来るわ」

「すげぇ! じゃあ早速その魔法を使ってくれよ! 早く帰らないと行けないから!」

「慌てないの! 今すぐは無理よ! まず粒子の解析をしないといけないわ、そうじゃないと明確にどこの場所か分からないから」

「解析にはどれくらいかかるんだ?」

「そうね、早くて九時間はかかるわ」

「わかった、じゃあ出来るだけ早く解析を頼む!」

「分かってるわ、なるべく急ぐわよ! まったく、指示する側は簡単でいいわね」

「悪かったよ急かして、じゃあお願いな」

「ふぅ~ しょうがない人ね、貴方は外でも行って待ってなさい」

「了解しました!」


いやぁ良かったぁ、エルマが機嫌損ねて調べてくれないかと一瞬ビビったが、やってくれるようで一安心だ。

よかった、よかった。

まぁそれはさておき、俺はお言葉に甘えて外出するか。

なんせもうこの世界からおさらばするかもしれないからな、いい思い出としてこの世界観を目に焼き付けておこう!

それにしても本当にキノコだらけの森だな。

この先には何があるのだろうか……行ってみるか!

俺はそう思うと、森の奥を目指し走った。


何故かしら? この粒子を解析してレン君を元の世界に帰せばまた平穏な静けさが戻るのに……。

心の何処かでそれをよしとしてないとこがある。彼とはまだ一日も過ごしてないのに、何でこんな感情が芽生えるのかしらね。

まぁ思い当たる理由が無くはない。

きっと今まで一人で過ごしてきたとこに行き成り表れた人と一緒に過ごしたからだ。

私は一人でも問題ないと思ってたけど、案外寂しいという感情があったのね……。

彼を帰らせるということは、また一人ぼっちだから……。

だけど私はすごい魔法使い! 感情に支配され、出来ることが出来なくなるのはプライドが許さない!

だから一人になるかもしれないけど、私はこれを解析してレン君を元の世界に帰す!

もっともこれがレン君のいた場所の粒子ならの話だけどね。それじゃあ解析しますか。


「カルセド(解析せよ!)」


この呪文で粒子を解析する、そしてこの粒子が存在する世界とこの世界を繋ぐ魔法陣を展開する!

正直解析はすぐにできるが、空間創りの時間がかかる。

そしてけっこう魔力を使うから疲れるのよね……。

あぁ、そうこう言っているうちに解析が終わったみたいね。


「スペルクロド(時空の創造)」


この粒子をもとに道を作る、八時間はかかるけどね。

後は空間の先の世界が本当にあっているのか本人に確認してもらうだけ。

複雑ね、あれだけ得意げに言って違う世界なら恥ずかしいし、正解ならお別れだし。

まぁそんなこと考える必要はないか。

そういえば今は夜だったわね。

そうなるとこの時間の遠出は少し危険ね、魔物が現れるから。

まずい、もしレン君がここより遠くのとこまで行ってしまったら確実に殺されるわね……。


「仕方がない、様子でも見に行きましょうか」

「ルジェルト!(浮遊せよ!)」


やっぱり飛んで探した方が早いからね。それじゃあ探しに行きますか!


 今少し困った状況だ、全力で走って行ったのはよかったが魔物に囲まれた。

いや確かに魔物の一・二匹くらいなら分かるよ、でもまさか三十匹くらいに囲まれるなんて普通考えないだろぉおおお!

まずいぞ! 俺は普通の人間だ、魔法なんて当然使えないし武器もない!

まさに絶対絶命大ピンチ! 元の世界に帰る前に殺されそうなんですけど!

落ち着け、まずはどうするか考えるのだ! 時間は無いがな!


一・戦ってみる……確実に死ぬな、俺……。


二・強行突破で逃げる! 一歩間違えればそのまま喰われるな。


三・エルマが助けに来るのを信じて待つ! 望み薄ぅうう!


四・大声で助けを呼ぶ!誰が来てくれるんだ、こんな森で。


終わりだ…俺の人生はここで終わるんだ………。


しかし、何もしないで死ぬのはごめんだ!

こうなったら、ゲームで覚えた格闘技で戦うしかない!


「行くぞぉおお! おりゃあああああああ!」

「こんなとこで死んでたまるかぁああ!」


俺は魔物に向かい走り出した! そして狼みたいな魔物の頬を一発殴りつけた!

殴られた魔物は一瞬怯んだが、すぐにお怒りマックスの態度を示してきた!

はい、終わった! 俺死んだ! 怯んで動けない隙に逃げようとしたが、作戦失敗!

もう諦めるか……。うまく即死出来るように首を差し出すか、ではさようなら……。


「諦めるのはまだ早いわよ!」


うん? エルマの声が聞こえた気がするけど、幻聴か。


「フリゼリム!(氷よ、凍てつけ!)」


幻聴じゃない、エルマの声だ! その証拠に周りの魔物達が凍りついている!

それに空中に浮いているドヤ顔したエルマが見えるし!


「エルマ、助かったよ」

「その様子なら案外無事だったようね」

「まぁな! マジで諦めかけたけど」

「そう、じゃあまだ完全に諦めないうちに走って逃げなさい!魔物はまだまだ来るよ!」


エルマがそういった瞬間フラグでもたったのか森の奥から五十匹ぐらい走ってきた! まじかよ…。


「早く急いで!」

「分かった! 全力で逃げるぜ!」


俺はそう言い力の限り走りだした!

それでも魔物も獲物である俺を追うのに必死なのか全力で追ってきた!


「うわぁあああ! ヤバイっ! ヘルプ!」

俺は情けなく逃げながらエルマにヘルプした!

それに応えるようにエルマが魔法を連発した!


「ガルドレア!(大地よ荒れろ!)メテリオン!(来たれ、流星よ!)ラディルメア!(神の雷よ!)」


のああああああ! ヘルプとは言ったが、俺を殺す気か! まぁきっとちゃんと当たらないように攻撃してくれてるとは思うが、これだけ攻撃魔法を放たれてるとあたるかと不安だ。

でも今はそんなこと言ってられない!

早く逃げないと! それにエルマも魔法を連発しているせいか、少し息切れをしているみたいだ。

ここはエルマを信じて、止まることなく走り続けよう!


「エルマ! ありがとう! 感謝するぜ!」


俺はエルマを置いて行って大丈夫かなという不安もあったが、信じた以上逃げることに集中した。


 走り続けること十分、ようやくエルマの家にたどり着いた。俺は急いで中に入った。

ふぅ~ ようやく一息つけるそう思ったのと同時にエルマを置き去りにした罪悪感があった。

置き去りといってもエルマは宙に浮いてたから大丈夫だと思うが、もし魔力が切れてしまい、エルマは抵抗できず殺されてしまうんじゃないかと不安もよぎる。


「あぁ大丈夫かな~ しかも女の子を置き去りにするなんて、最低だな俺……。」

「エルマが死んだら俺のせいだ、一生かけても償えないな」


暫く後悔と不安の念に駆られながらエルマを待った。

五分、十分、三十分、時間が経つごとに不安が大きくなっていった。息苦しい、そんな気持ちになるほどに。だが、もう暫くするとその不安は女の子の一声で杞憂に終わった。


「ただいま、レン君無事だったかい?」

「エルマ…無事だったんだな!」

「はぁ? 当たり前でしょ? 私を誰だと思ってるんだ? 大魔導士エルマよ!」

「いやぁ~ 良かったぁ、戻ってくるのが遅いからてっきり殺されちゃったかと思ったよ」

「このエルマがあんな魔物達に殺されるわけないでしょ! 」

「そうだよな! ふぅ~ これで一安心だ…そういえばどうやって魔物を退治したんだ?」

「極大火炎魔法を放って、森一帯を焼き野原にして倒してきた」

「流石は天下の魔女様だ、強いな!」

「当然! まぁおかげで魔力はすっからかんだけど」

「そうか、なら粒子の解析とかは明日になっちゃうのかな」

「粒子の解析は終わってる、後は私が家を出て行く前に仕掛けておいた時空移動の魔法が完成次第移動できる」

「そうなのか? じゃあそれが出来たら帰れるのか?」

「必ずではないわ、粒子をたどってできた時空の道が貴方のいた場所に繋がってるかは正直行ってみないと分からない」

「なるほど…あれ? 一つ疑問だが、粒子がなくても道は作れたのか?」

「前にも言ったけど、手掛かり無く道を作ったとこで貴方の住んでた世界に繋がってるかは分からない」

「でも粒子を解析しても、実際に行ってみないとどっちにしろ分からないんだろ?なら最初から試してみれば良かった気がするが……。」

「正確に言うと、繋ぐ世界の手掛かりがない状態で道を作ろうとしても色んな世界がたまに繋がっている真っ暗な空間に放り出されるの」

「だから手掛かり無く道を作っても帰れる可能性は低い、でも解析済みの粒子があれば解析で出てきた場所、つまり世界に道を繋げられるの」

「でも流石にその世界に行く前からこんな感じの世界という判別までは出来ない、だから行って確かめる必要がある、分かった?」

「分かった、変なこと聞いて悪かった」

「分かれば宜しい! それじゃあ完成するまで待ってなさい、あと七時間はかかるから」

「了解! 待ってるよ!」


とは言え待ち遠しいな、俺は今すぐにでも帰りたいと思っているのに道を造るのに七時間も費やさないといけないのか・・・だけどやってもらうんだ、文句は言えない。

とりあえず七時間どうするかな~ 何か暇つぶしできる物はないかな。

まぁ エルマの家だし楽しい物なんて置いてる訳ないか。当たり前だがこの世界にテレビゲームなんてないだろおし・・・・・・ん? あれは、トランプみたいなのがある。


「なぁエルマ、あそこにあるのってトランプか?」

「ん? あぁ、あれね、魔法のトランプだけどそれが何か?」

「魔法って何が魔法なんだ? 普通のトランプみたいに見えるが」

「ふぅ、これだから凡人は困るわね」

「おいエルマさん、今バカにしたな!」

「フフフ、そうだと言ったらどうするのかしら?」

「その魔法のトランプで俺と勝負しろ!」

「なるほどね、偉大なる魔女とトランプ勝負がしたいのね。いいわよ、受けて立つわ!」

「でもその前に魔法のトランプについて話すわね、そうじゃないとルールが分からなかったから負けたんだって言い訳されちゃうからね」

「わかった」


エルマの奴、もう勝った気でいやがる! 見てろよぉ、その余裕の澄まし顔を泣きべそかいている子供の顔にしてやる。


「それじゃあ説明するわね! トランプを知っているということは大体どんなカードかは分かってると思うけど、カードはハート、ダイヤ、スペード、クローバーの絵のカードがあるの」

「そしてそれぞれの絵柄のカードは十三枚ずつあり、数字が書いてあるわ」

「あとはジョーカーのカードが一枚あるわね」

「うん、まぁ俺の知っているトランプと同じだな…どこに魔法があるんだ?」

「話は最後まで聞きなさい、凡人さん」

「あん? 何だって?」

「話を聞かない貴方が悪いわ、続きを話すわね」

「このトランプが魔法といったけど、遊ぶゲームによって効果が違うから今回はババ抜きで説明するわね」

「なるほど、エルマ抜きだな、あっはっはっはっは!」

「殺すよ?」

「すいません…。」

「まったく、じゃあ話すわよ、カードにはそれぞれ魔法効果があり、数字をそろえてカードを捨てるときにその効果が発動するわ」

「数字? マークは関係ないのか?」

「えぇ、ババ抜きに関しては、だけどね…。捨てた数字によって効果が違うの。


「エースは相手のカードを真っ黒にして強制高速シャッフルさせる」


「二は相手のカードの中でこちらのカードと同じ数字のものがあればそれを奪ってもうペア捨てることが出来る」

「なるほど、そうするとうまく利用すれば早くカードを手放すことができるし、相手を邪魔することもできるのか。まぁ真っ黒シャッフルはカードの数字を覚えられてたら意味ないが…。」


「そうね、そして三は相手のカードにそろえられるカードがあれば、そのカードが光って見えるようになり、それをとれば捨てることが出来る」

「ちなみに効果はそのターンのみで、相手の番になった時は効果が消えるわ」


「四は暫く相手に電流をくらわせられる」

「ん?今なんていった? 電流だって? 死なないか?」

「死なない程度だけど痛いのはたしかよ」

「まじかよ……。」


「五は相手を錯乱させる、六は相手に激痛と言えるほどの頭痛をあたえる」


「七は状態付与魔法を一回無効にできる防御壁を自分にはれるわ」

「途中から恐ろしくなってきたな、最後の防御壁は便利だが……。」


「八は錯乱、麻痺、頭痛のどれか一つの効果をランダムに相手にあたえる」


「九からクイーンは何もないただのカードよ」

「全部魔法の効果があるわけじゃないんだな、少し安心したぜ」

「そうね、でも次がすごい魔法効果よ」

「どんな効果なんだ?」


「キングのカードは相手の時間を一分間とめられ、その間相手にどんなことをしてもいいの」

「時間をとめられる!? エルマ…時間をとめたらお前…俺にどんな変態プレイをする気だ!」

「誰がするか! それに普通そういうセリフは女性側が言うのでは?」

「お前普通じゃないから」

「破壊魔法を貴方にぶつけてもいいのよ、レ・ン・く・ん?」

「魔法で脅すなんてきたねぇぞ!」

「貴方が私を虐めるからでしょ?」

「よく言うよ、虐められるなんてたましてねぇくせに」

「うるさい! それよりカードの種類の説明は終わったのだからさっさとババ抜き始めるわよ!」

「魔法以外ルール―は多分貴方の世界と同じよ」

「はいはい、じゃあ始めますか!」

「フフフ、軽く叩き伏せてあげるわよレン君!」


こうして俺たちの魔法トランプのババ抜きが始まった……効果が発動した時、俺は生きられるのだろうか?

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