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イノセントの夢

作者: ヒドロキノン

 私はずっと嘘が苦手だったらしい。

 私はそれを全くもって知らなかった。

むしろ、私はいつも嘘をついている気さえがしていたのだ。例えば、家族のお菓子を食べておいて、「誰が食べたのか」という家族会議で手を挙げなかった。

 しかし、私の嘘はバレていたし、

それどころか私以外の人間はもっと嘘つきであった。

本当は好みでない手料理を笑顔を浮かべて完食し、本当は苦しい毎日を幸せだと嘯いて過ごすのだ。

そして私は、本当の嘘つきになれない、特異な側の人間だったのだ。

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