Aチーム ドリームキャッスルのウワサ
この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
いざ、行かん。
などと、意気揚々に駆け出したのは良いが、ドリームキャッスルへと向かう直進の道は、瓦礫によって塞がれていて通ることができなかった。本来は、トンネル状に作られている通路であったようだが、上部の建物が老朽化によって崩れたようだ。
「ここは通れそうにないな」
見事に隙間一つもない。であれば、左側の道を進んで、右周りに迂回していくしかないようである。
「ニッキー部長!もう少しゆっくりと行きましょう!」
「そうですわ。余り焦るとろくなことありませんわ」
「そうだょ!っていうかもう帰ろうょ!」
部員たちのクールダウン要請に、少しばかり息を落ち着けて、頷き返す。
帰るのは却下ね。
「仕方ないな。次のドリームキャッスルについての情報を見ながら、ぼちぼち行くか」
裏野ドリームキャッスル。
裏野ドリームランドは、とある海外の国をモチーフにしたテーマパークであり、その城もまた、実物をモデルに作られている。
外観はやや赤みがかった色合いをした石造りのお城である。
三階建て程度の高さで、チェスの駒のルークのような形の塔が突き出ているのが、印象的らしい。
お城の周囲は、外敵の侵入を拒むように堅牢な石塀に囲まれており、外側からはその内部の状況を伺い知ることはできない。城壁の隅には塔が建っており、所謂、見張り台というものも存在していた。
一体、何と戦う気なのかと聞きたくなるくらいには、忠実に再現したらしく、実に機能的であるらしい。
「でもそういうお城の展示とかは、当時のままが多いですよね」
「実際に使えると聞いたことはありますわね」
「そういぅ無駄は嫌いじゃないょ」
確かに、お城の見学などに行ったときとか、そのままの作りというものにこだわりを感じた覚えがある。
当時もそういうコンセプトはあったのかもしれないな。
さて、話を戻そう。
ドリームランドでの交遊した事がある身内やら親族による情報だが、ドリームキャッスル内部は資料館になっていたらしい。海外の国の歴史を学ぶことができたり、それに縁のおみやげ物が売っていたようだ。
展示の見物には、しっかりとルールがある。
入り口からは、一方通行であるため、どんどん進まないといけないらしい。
基本的には上へ上へと昇っていく作りになっているが、小部屋がいくつか存在し、資料や展示物などが置かれているようだ。
触れるのは厳禁。ケースなどに入ってたり、絵などは壁にかかっていて、子供などが手を触れないようにしてあったとか。
館内は、音声案内が流れていて、資料を眺めながら歴史を学ぶことができたり、シアタールームなどがあって、映像なども流していたとか。
最終的には、お城の屋上にも出ることができる。屋上の展望スペースは、それなりに人気があったとか。しかし、子供たちにとっては楽しいと感じるような見世物ではなくて、余り人気はなかったとか。
まあ、大人にとっては、わりと良い場所のような気はするけれど、子供にとっては遊んだり燥いだりした方が楽しいものだからな。
「何か面白くなさそうだょ」
「えー、ちょっと良いなって思ったけどなぁ」
「そういう歴史を見るのも良いものですわ」
内部の意匠や装飾品などの数々は煌びやかであり、一見の価値はあるようだけれども、大体は一度見れば良いかな。というレベルである。
それが実際にドリームキャッスルを行ったことのある身内・親類の感想などや評判であるが、ここ最近流れているウワサは一風変わったものであった。
ドリームキャッスルには【隠された地下】があって、しかも【拷問部屋】になっているらしい。
「ご、拷問部屋」
「地下ですか?」
「嫌な予感しかしないょ!」
初めに上へと昇るルートを通らされるので、地下へと進む道はないように思えるが、一度、屋上に到着してから、帰る道は下り道。
上へ上へと昇り、屋上を通ってから、下へ下へと道を下る。そうして、坂のように下っていく通路を抜けると、お城ではない別の建物に通じている。
そこは、教会。
お城の主はとある有名な宗教家のものであったらしく、その教会の建物もお城セットで作られていたらしい。
「その通路ってなんだか怪しいですねぇ」
「そこに拷問部屋がありますの?」
「やっぱり嫌な予感しかしないょ!」
このお城の主に関しての情報やその歴史に関して言えば、誰かを殺した、死んだ、だのという曰くはない。むしろ、お城の主は、宗教の布教を世界に為したという話であり、所謂、聖人認定さえ受けていたりするらしい。
とすれば、歴史的な背景で、ウワサには結びつく要素ない。
何か別の事柄がウワサに繋がっている可能性もあるにはあるが、情報が足りなかった。
「まあ、百聞は一見に如かずだしな」
単なるウワサか、真実かどうかは、見てからのお楽しみである。
左の道から迂回していけば、徐々にそのお城が見えてくる。
ドリームキャッスル。果たして、何があるのだろうか。
ゆらゆら、ゆらゆら。どさり。
ゆらゆら、ゆらゆら、どさり。
「――――――――――――ッ!!!!」
しゃりん。しゃりん。ぎぎい。
ドンッ。ドンッ。ドンッ。
「―――――――ッ!!!――――――――――ッッ!!!!」
ブンッ!ブンッ!ブンッ!
ぐちゃり。ぐちゃり。ぐちゃり。
「―――」
ぎぎぃい。ばたん。