班別行動にて、噂を検証しよう。
入場ゲートを抜けると、円形の広場が広がっていた。
元々は噴水があったのだろうが、今は、水も枯れている。
噴水の中心には、裏野ドリームランドのマスコットキャラクターである裏野ラビット、通称、『ウラビーちゃん』の像が天を指すポーズで鎮座していた。
顔面が黒ずんでいて、所々が欠けているのが、どこか狂気を感じてしまう。
これが動き出したら、子供たちは全力で泣くだろうなあ。
「こっちに、園内マップありますよ~」
薺の声に、皆で近づいていくと、テーマパークお決まりの園内案内版があった。
所々読めない部分もあるが、大まかに四つのワールドに分かれているようだ。
所謂、絶叫系やメリーゴーランド等、乗り物系が多く存在するワールド。
直接、海から水を引いており、その特色を生かしたアトラクションや出し物があるワールド。
ギミックなどを生かした緑の迷路や室内型のアトラクションを主としたワールド。
買い物や食事などを楽しんだりする購買中心のワールド。
「ちょっとメモするから待っててくれ」
裏野ドリームランドのマップを調べたが、パンフレットは勿論、園内マップなどは調べることができなかった。現地でも難しいと思っていたのだが、しっかりと見て取れる程度に残っていたのは、僥倖である。
「写真の方が楽よぉ」
お国がスマホを取り出して、しゃーりんとマップをカメラに映した。
「こういう場所では、精密機器が壊れるという決まりがあるんだ」
ポケットから手帳を取り出して、マップを書き写す。
「こういう雰囲気も良いなぁ。資料用に僕も撮影しておこうかな」
キノコがそう言って、デジカメでパシャパシャと写真を取り始める。
これだから、デジタル重視は……後で、何か映ってたら貰おう。
「この兎、可愛くないですね。ショージョー君の方がいけるかもですよ」
「別にぃ、そんなの嬉しくないょ」
薺と生生コンピが、ほのぼの会話している中、サムライは黙して語らず、じっと坂城を見つめている。
「村井さん、俺の顔に何かついてるかな」
「顔には何も」
坂城が顔をむにむに動かすのをサムライは、短い一言で、ばっさりと切った。
人が会話していて、続かないのを見ているのは、ちょっと何だか気まずいです。
「もしもし。ええ、お願いしますわ」
麗子様は、電話で連絡をしていた。さすが、ツー、カーである。
「よし、できた。皆、ちょっと来てくれ」
オカルト部面々へと声をかけると、ぞろぞろ集まってくる。
皆を眺めて、こほんと一つ咳払い。
「裏野ドリームランドについて、予め予習してきた内容は読んだな。これから七つウワサを検証するわけだが、今から2チームに分かれる」
一つ一つのウワサを検証するにしても、時間が足りない。
二つのチームに分かれる。定刻を決めるので、その時間にこのゲート前広場に戻ってくる事。
チームA ニッキー部長 薺 麗子様 生生。
チームB 坂城 お国 キノコ サムライ。
「チームAは、ジェットコースターのウワサについて検証する。そこから、流れで、ドリームキャッスルのウワサへ行く」
「じゃあ、チームBは観覧車のウワサで、近くのメリーゴーランドのウワサとミラーハウスだね」
何かあれば一人で楽しまないで、各員、ちゃんと連絡し合う事。
「じゃあ、チームA出発な!」
「お~!」
「こっちの方がマシ、嫌でも部長居るしぃ、うぅ」
「仕方ないですわね」
「じゃあ、Bも出発しようか」
「生チャンと一緒が良かったわぁ」
「写真一杯取ってくるね!」
「………」
Aチーム、Bチームの二手に分かれて、オカルト部の面々は進んでいく。
そんな中、裏野ドリームランドのフェンス前付近に、一台の車が止まった。
「へぇ、ここが最近噂の裏野ドリームランドだってぇ」
「あぁ、これ閉まってんじゃね。ぶっ壊そうぜ!」
「そ、そういうのはやめた方が……」
「あ、何こいつ、つか誰、こいつ?」
「今回の撮影用に連れてきたんだよ、そういうの得意なんだってさ」
「あぁ、つか、他にも誰か来てね?これ、車あんじゃん!女いたら拉致っちゃう!」
「こういうホラーな場所の肝試しとか男ばっかだろ?俺ら全員ヤローばっかじゃん」
「はぁ、誰か女連れて来いよなぁマジつかえねぇーわクソが」
「最近、こういう動画アップするのは良い広告収入になるんだよ。なっ!」
「ええっ!いや、別にそんなのどうなのか知らな・・・」
「おお!これ空いてるじゃーん!でも、せめぇからぶっ壊そう!」
がしゃんっっと音を立てて、扉は開かれる。
『私有地に付き立ち入り禁止』の看板は折れて、打ち捨てられた。
数にして、5名の招かれざれるお客様。
正規の手順を持たざる者は、どういう報いを受けるのか。
なにわともあれ、彼らは夢の世界へと旅立っていった。