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ショノウ  作者: 雪豹
6/7

短剣

何か横から黒い大きな物体が俺に近づいてーー


その後の記憶はあやふやだがそこで目が覚めた。記憶を失ってからずっとよくわからない夢を見る。


それもいつも何か危険を予知させるような夢なのだ。


「一体何なのだろう…」


ベッドの壁に体を起こして上半身だけたてる。そして頭を抑えながら考えているとアナが入ってきた。


「おはようショノウ君! ご飯食べよう〜!」


いつも元気がいいアナ。せっかく魔族として生活できるようになったのだから夢のことは気にせずアナと一緒にまずは朝ごはんを食べようと決めた。


布団から起き上がりそくさくとアナの後を追いかける。



大きな廊下を数回曲がり食堂へつく。実際には貸切食堂のようなもので身分の高いものしか入ることの許されない食堂なので殆ど人がいない。


2人がこの食堂へやってきた時は誰ひとりいなかった。


机には何故か2つお盆が置いてありその食器の中からは湯気がたっている。


「これは誰がーー?」


「これはね〜メイドさんが私たちの来る時間を見越して置いてくれたんだよ〜」


フフンといい気分で説明するアナは食器を持ち上げる。


「いただきま〜す!」


「いただきます」



見た目とともにご飯はとびきり美味しかった。


そんな満足な朝ごはんを終え少し食堂の椅子でダラダラし始める。


そんな時、昨日ガルティアーナがした約束をふと思い出したのだ。


「あ! 忘れるところだった。ガルティアーナと約束があったんだった!」


「えぇ! それは大変だよ。急がなきゃ!」


食器は机の上に置いておいて急いで扉を出る。そしてまた廊下を数回曲がり可視化できないベールを通り抜ける。


(何回見てもすごいなぁ)


ベールにまた感動する俺は今度仕組みをアナに聞いてみようと思った。


コツンコツン…


よく響く二人の足音がガルティアーナの部屋の床を鳴らす。


「ガルティアーナ〜?」


人の気配が全く感じられず王の名前を呼んでみる。しかし、物音一つとして帰ってこない。


「ガルティアーナどこに行ったのかな?」


「朝はいたわよ」


う〜んと考え込む2人。


ガルティアーナは確かに明日ここへ来いと言ったが時間は指定しなかった…なんて思い始めていた。


すると俺の肩を叩く感触がして反射的に後ろを振り向くとそこには紫がいた。


「ハハハハハ! そなたたちがあまりにも面白くてな。少しからかってやってたわ! ハハハハハ!」


陽気に笑う魔王は今日も楽しそうだ。


「おはよう、ガルティアーナ」


「おはようございます」


同時に挨拶をする2人にガルティアーナも


「おはようおはよう! 今日もいい朝だな。ハハハハハ!」


と一々笑ってくる。


キリがなさそうなので前置きもなく質問する。


「昨日ここへ呼んだのはどういう理由で?」


「あ〜そうそう。これを渡したかったのだよ」


緋色の皮になにか包まれているのを見せるガルティアーナ。


「これは…?」


「見てみよ」


バッと皮を広げるガルティアーナ。


そこには2振りの漆黒の短剣があったーー


「これはショノウの持っていたヤヌスガエラを少しいじって作ったのだよ」


「でもあれは木じゃないですか」


目の前の黒く光る短剣がヤヌスガエラだとは信じ難い。


「もちろん木だよ。木ではこんな刀身は作れないから持つところだけ使わせてもらったのだよ」


「この刀身には私の魔術とオブシディアンという簡単に言えば超硬い鉱石を使わせてもらった。そのお陰で今は滅茶苦茶ヘロヘロなんだがな…あはははは」


笑い声に元気が無くなってきたガルティアーナ。


「この短剣は…僕のですか?」


「勿論だ」


「カッコイイ…ありがとうガルティアーナ! 大切に使うよ」


手を伸ばして短剣を掴もうとする俺の手をガルティアーナは阻む。


「これを使う前に約束してくれ」


「また約束?」


「最後の約束だ。これは絶対守って欲しい」


「わかった。守るよ」


「この短剣を使う時は使わざらなければならない状況、もしくはーー」


「もしくは?」


「大切な人を守る時だけだ」


目が優しく語りかけるようなガルティアーナがこちらを見た。


「わかった。必ず約束する」


「ありがとう。私の魔術も9割ほど織り込んだこの短剣は非常に強力だ。迂闊には使って欲しくないものだからな」


そっと緋色と黒の混ざった鞘を渡すガルティアーナ。


「これに入れている限り何があっても大丈夫だ」


「ありがとう」


ありがたく受け取るショノウは腰に付けて2振りの短剣を入れる。


「そなたたちを呼んだのはショノウに短剣を渡すだけではないのだぞ。アナも呼んでいるのだからな」


「は、はい!」


急に自分の名前が呼ばれて返事をするアナ。


「というのは?」


「そなたたちにはダンジョンに挑戦してもらう。アナは2回目かもしれんがショノウを助けてやってくれ」


「わかったわ」


「ダンジョン…?」


素直に肯定するアナと頭の中にハテナマークが次々と出てくるショノウ。


「ダンジョンというのは迷宮のことでーーうん。詳しいことはアナに教えてもらえ。では達者でな!」


説明が面倒くさくなったのか急に逃げたガルティアーナ。


「ちょっと!」


焦るアナはオドオドしている。


「ダンジョンって何?」


アナに問いかけると赤い顔を向けてこちらを見る。


「ダンジョンというのは簡単に言えば迷宮のことでそこにモンスターがいるの。それが多分100階まで続くんだ。そのダンジョンがここラスガリラにあるからそれに挑戦しろってことなんだと思う」


「なるほど〜。ところでアナは2回目なの?」


「そうよ。でもダンジョンの構成は日々変わっているらしいから今がどうなってるのかわかんないや」


「だいたいわかった気がする! とにかく其処に行こうよ!」


「もの分かりよくていい子ね。早速行きましょうか!」


パタパタと走ってダンジョンがあるらしき場所へ向かうーー



そしてダンジョンの入口へ着くとガルティアーナが立っていた。


「アナ、説明ありがとうな。急にトイレに行きたくなってな…」


「魔族はトイレなんて必要としません!」


ムクっと頬を膨らませてガルティアーナに猛反発するアナ。だいぶ怒っているようだ。


「とにかく説明してくれたのだからいいのだいいのだ。あは」


感情がこもっていないかけ言葉にさらにアナは怒りそうになるが俺が手を握ってアナを止める。


アナはこちらの顔を見て微笑み怒りが収まったように感じた。


「よし! それではここに挑戦してもらう前にショノウが魔族となった契約をしてもらおう。もしここで死んでも復活できるようにな」


「復活できるの?」


「ショノウはまだ人族だから出来ないけどな。ラスガリラ内にあるダンジョンだから魔族が死んでも復活できるのだよ。ただし魔族のみだけどな」


何か便利な機能があるらしいので頷いておく。


「じゃあ始めようか。目を瞑れ」


指示通り目を瞑るーー


そして急に視界が真っ暗になったかと思えば元に戻る。


「目を開けてよいぞ」


何やら不可解な現象が起きたと思い目を開ける。


何か特に変わったこともないとキョロキョロとあたりを見渡すと


「両腕をみてみよ」


反射的に両腕を見るとーー


右腕には見るもおぞましい角が生え憎悪に満ちた表情のする悪魔が


左腕には翼の生え女性の顔の悪魔が


「これは何ですか?」


「それが魔族としての契約なのだがな。それは言わばショノウを守ってくれる刺青だ」


何から守ってくれるのかよく分からなかったがやっと魔族として契約できることが出来たのだ。


「ガルティアーナありがとう!」


感謝の念を押しておく。


「どういたしまして」


ニッコリ微笑むガルティアーナは急かすようにダンジョンの入口へ手を行けとばかりに振る。


「あ、そうそう言い忘れておったが今回は時間を急がせるために10階層にしておいたからな」


元々何階層まであるか知る由もないショノウは動じずさらっと聞き流していたが、アナは動揺している。


「さあいけ行け!」


2人を押すガルティアーナ。


そして2人はダンジョンへ転移したのだったーー

まだ強ええ感出せずすみません。。。

ダンジョンではアナについての説明をするつもりです!

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