PHOTO ALBUM 5
光が揺れている
覗き込んだ水底
幾筋にもなる光線の屈折
波は穏やかで
遠くの水面に眼をやれば
悠然と進む白い客船
湖の青さに姿が映えて
見上げた空は澄み渡り
飛行機雲だけが幾つも
放射状に伸びていた
何度も角度を変えて
湖畔の風景を切り取る
180度じゃ全然足りない
何枚も拾い損ねながら
僅かばかりの記憶を抱える
峠を越えれば
淡い薄が波立つ高原
分け入る人の姿は小さく
晴天に抜ける風が冷たい
凍えた身体を溶かすのは
森で見つけた美術館
庭の紅葉は眩しい位で
ここは何処だろう?
印象派の知らない景色
光が留まっている