表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/14

第2話

最後の1匹の首を切り飛ばし終えると、持っている剣を捨て男達に声をかけた。


「えーと、大丈夫ですか?」


男達は、その声で我に還り1拍間をおいてから頷いた。


「ああ、大丈夫だ。すまない助かった」


「助かったぜ坊主、それにしても、強えーな。あんな短い間にこれだけのゴブリンを仕留めちまうとわな。それに、変わった格好してるし何者だ?」


おっさんに言われて、今の自分の姿を確認してみる。

白の長袖のシャツにベージュのチノ、黒のハイカットといった感じだ。


そりゃ、こっちの世界じゃ、変わった格好になるよな。街か村に着いたら服でも買うか。


そんなことを考えていると、剣を持った男が近づいてきて


「バルト、人のことを聞く前に自分達のことを先に話たらどうだ?」


「ああ、そうだな。悪いな坊主。俺はバルト、冒険者をしている。で、剣を持っているこいつがロメオ、槍を、持っているのがディアスだ」


「ロメオだ。さっきは助かったよ」


「ディアスだ。よろしくな。えっと...」


「椿です。東の方から、旅をしてここまで来たんですが、森の中で迷っていたんですよ」


と言うことにしておく。


「おお、そうだったのか。そりゃ、大変だったな。俺達はこれから街に戻るんだが、一緒に来るか?助けて貰った礼もしたいしな」


「いいんですか?なら、お願いします」


「よし、わかった。なら、俺達の馬車に乗ってくれ、俺達のと言ってもギルドからの借り物だがな」


「その前に、ツバキ君聞いておきたいんだが、ギルドカードは持ってるかい?」


とロメオが尋ねてきた。


「いや、持ってませんけど」


「なら、あのゴブリン達の耳を切り取っておこう。ギルドに持っていけば報酬が出るはずだよ。ゴブリンの討伐の依頼は、常にあるからね。ギルドカードがあれば、自動的に記録されるからそんな必要は、無いんだけどね」


と教えてくれた。


「なら、そうしておきます」


そう言ってゴブリン達の耳を取りに行こうとすると


「ツバキ、これを使え。見たところナイフも袋も持ってないみたいだしな」


とディアスがナイフと袋を渡してくれた。


「あ、はい、ならお借りします」


「いや、それはやるよ。礼の代わりだと思ってくれ」


「ありがとうございます。なら、貰っておきます


そして、全てのゴブリンの耳を切り取り終わると袋にしまい馬車に乗り込んだ。


「では、出発しますよ」


とロメオが言うと馬車が走りだした。

馬車に乗って10分位すると、馬車が止まり


「着いたぞ。ツバキ君、悪いが降りてきてくれないか」


「はい、わかりました」


そう言って馬車から、降りると門のような所でロメオと兵士2人が立っていた。近くに行くと兵士の1人が、


「君が、ツバキだな、話はロメオから聞いているよ。犯罪歴が無いか調べるからこの水晶に手をかざしてくれ」


と言って水晶を差し出してきた。


「わかりました」


水晶に手をかざすと青く光りだした。


「よし、問題無いようだな。もう、手を離していいよ。街に入るのには銀 1枚必要なんだが、これはロメオから貰ったから構わないよ」


水晶から、手を離すと光は消えた。


「問題無いみたいだし、馬車に乗ってくれ、このままギルドに向かうから」


再び馬車に乗り少しするとまた止まった。


「バルト、ツバキ君、ギルドに着いたよ。僕はこのまま馬車を返してくるから中に入っていてくれ」


馬車から降りると、そこには石造りの綺麗な街並が広がっており、目の前には大きな建物があり、剣や盾の描かれた看板が飾られていた。


「ツバキ、中に入いるぞ」


「えっ、あ、はい」


ファンタジーな様子に驚いていると、ディアスが声をかけてきた。

中に入ると、色々な人達がいた。


「ツバキ、どうする?ついでだからギルドに登録はしたらどうだ?


「そうですね。そうしておきます」


「そうか、なら正面にあるカウンターが受付になっているからそこに行くといい」


「わかりました」


カウンターに近づくと猫耳の可愛い受付嬢が声をかけてきた。


「いらっしゃいませ。どういったご用件でしょうか?」


「登録をしたいのですけど」


「かしこまりました。では、この用紙に必要事項を記入して下さい」


渡された用紙に名前や戦闘職などを書いていく。


「これでいいですか?」


「はい、大丈夫です。ギルドカードが出来るまで、しばらく掛かるのでギルドについて説明させていただきますね。まず、ギルド内にはギルドランクがあり、Gから始まってF、E、D、C、B、A、S、SSとランクが上がっていきます。ランクに、よって受けられる依頼が変わってきます。さらに、A、S、SSランクには、いくつかの特権も認められます。次に、パーティーとクランについてです。パーティーは、最大8人まで(奴隷は含まない)となります。クランは、パーティーや個人があつまり、Aランク以上の冒険者がリーダーになることで作ることができます。パーティーやクランを組むことで受けられる依頼のランクが変わることもあります。最後にギルドによって定められた規定を守れない者は、除名になったり賞金をかけられることがあるので注意して下さい。以上で何か不明な点はありませんか?」


「いや、今の所は無いですね」


「わかりました。また、何かあれば何時でも職員に聞いて下さい。あと、これがギルドカードになります。カードには、討伐した魔物の情報等が記録されます。また、再発行には金貨 5枚が必要になります」


「わかりました。気を付けます」


「では、カードに血を垂らして下さい。それで登録が完了します」


と言って針とギルドカードを渡してきた。

カードを受け取り、針で指を刺して血を垂らすとカードが一瞬光った。


「これで登録は完了です。頑張って下さいね」


「はい、あと来る途中でゴブリンを討伐したんですけど


と言って袋を渡す。


「では、確認させていただきます」


と言って奥に持っていき、しばらくして戻って来ると


「ゴブリン15匹の討伐となるので、銅貨 75枚に、なります」


と言って銅貨の入った袋を差し出してきた。


「ありがとうございます」


と笑顔で言うと、少し赤くなって


「い、いえ、仕事ですので...」


と言って奥えと急いで戻ってしまった。


やっぱり、ギルドの職員って忙しいのかな?と思いながらバルト達の所に戻っていった。

既に合流していたロメオが


「ツバキ君の登録も済んだし、食事にしようか。場所は赤龍亭にしよう、あそこは宿も兼ねているから丁度いいしね」


「そうだな。あそこの親父の作る飯は旨いからな。何より、安いし量もあるしな」


ギルドから、出て少し歩いた所に赤龍亭はあった。中に入ると中学生くらいの女の子がいた。


「いらっしゃい。あ、バルトさん達だ、帰ってたんだね。お帰りなさい」


「おう、嬢ちゃん、席空いてるか?」


「うん、大丈夫だよ」


「そうか。あと、こいつは泊まりだから部屋も頼む。じゃあ坊主、先にいってるぜ」


バルト達は、そう言って席を取りに行ってしまった。


「あ、うん、わかった。えっと...」


「椿だ、とりあえず 5日分で頼めるかな?」


「うん、1泊2食付きで銀 1枚だから銀 5枚だよ。あと、私のはミリィ、よろしくねツバキさん」


「よろしく。あと、金貨でもいいかな?」


と言って金貨を出して渡す。


「うん、大丈夫だよ。ちょっと待っててね」


と言い奥にいき部屋の鍵とお釣を持ってきた。


「はい、お釣と部屋の鍵だよ。部屋は、2階の1番奥だから」


「わかった。ありがとう」


鍵を受け取るとバルト達を、探しに行く。


「ツバキ君、こっちだよ」


ロメオが手を挙げて呼んでいた。席につくと酒を片手に持ったバルトが上機嫌に背中をバシバシと叩きながら


「坊主、助けて貰った礼だからなどんどん食ってくれ。かっはっはっ!」


と言って笑いながら酒を飲みほす。


「すまない、バルトは酒が入るとこうなるんだ。ほっておいてどんどん食べてくれ」


「いえ、いいですよ。では、いただきます」


それからしばらくして、


「ツバキ君、また何かあれば何時でも相談してくれ」


「じゃあな、ツバキ」


ロメオとディアスは、酔い潰れて寝ているバルトを2人で支えながら帰って行った。


「俺も、部屋で寝るか」


部屋に入ってベットに横になる。部屋は、机と椅子、ベットが1つ置かれただけの簡単なものだった。


「明日は、服と武具を買いに行くか」


そんなことを考えながら眠りに着いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ