彼女は僕の虜
真夜中。僕は目を覚ました。
直感的に感じた。
今なら、何でも自分の思い通りになると。
何をしようか?
お金?大学?…?
そうだ!彼女だ!桂木彩乃だ!彩乃が僕を愛するようにしよう!
僕は気を失った。
次の日。
登校すると、校門に彩乃がいた。
「倉木くん。好き…」
彩乃はいきなりそうつぶやいた。
僕らは校舎の陰に手をつないでいった。そこで抱きしめ合い、キスをした。
放課後。彼女の家に行った。そこでも抱き合い、キスをした。
落ち着いて、彼女の部屋で、飲み物やお菓子を食べながら話を始めた。
「祐司、私のこと、好き?」
僕は、ギクリとした。
そうなのだ。昨日まであれだけ憧れていた桂木彩乃のことを、今はそれほど想っていないのだ。
なぜなのだろう?
彼女が、いつもの彼女と違うからだ。
僕と抱き合ったりキスしてることじゃない。何かが、いつもの彼女と違うのだ。
「好きだよ」
「うそ!」
彩乃が怒りの表情になった。
「私、わかるんだから…」
「…どうしてそんなに気を回して怒るんだよ」
彩乃は目を潤ませた。
「わからない!わからない、けど、私はあなたに好かれるようにならなきゃならないの!」
彩乃が強引に僕に抱きついてキスをした。