【第八話〜思い、想い〜】
八話を投稿します
今回は新キャラが出てきます
ただ、本格的な活躍はまだ少し先になってしまいます
俺は今日もいつものように空の病室にいた。
最近分かった事が2つあるのだが、まず1つ目に空のお母さんは俺達を2人きりにしようとしてくれるのか空の病室にはだいたいは午前に行き、午後はできる限り俺だけにしていてくれている。
そして、2つ目は空は友人達に病気の事まだを話していない事だ。
無表情でいつもクール、何事もはっきり言う空にも親友と呼べる存在はいる。もちろん俺もそいつらとは仲良くしている。
それなのにそいつらにでさえ、空は報告するのを拒否していた。もちろん俺がそいつらに言うことも禁止されていた。
俺はその事がずっと気になっていたのだ。
「なぁ…空…何であいつらに言っちゃ駄目なんだ?」
空は1つ大きなため息を付くと、俺と目は合わせずに窓の外を眺めながら話し出した。
「正直言うとな…燈也にもこの私の姿は見ていてほしくない。ただの私のわがままだが、私の友人達にも、もちろん燈也にもこんな姿を見せたくないのだ。」
俺は何も言う事ができなかった。
「ただの自己満足で、みんなにも心配させて迷惑をかけているのも分かっているのだがな…」
空が額の髪を少し払った。
「強い私でいたいんだよ…」
空がそう呟いた横顔はどこかものさびしげだった。
「なぁ…空…」
俺はさらに続けた。
「そんなに強くなくたっていいんじゃないのか?空は空だろ?無理してみんなが持つイメージの空でいようとしなくてもいいだろ…」
空は俯いて俺の話を聞いていた。
「空が別に弱くたって、強くたって空は空だ。俺が、あいつらが知ってる空だよ…冷河空を演じないでいいんだよ?」
俺はそこで言葉を止めた。結局、俺が何を言っても最終的に決めるのは空なのだ。
俺の目線の先で真っ白な空の細い指先が少し震えていた。
「悪いが、そろそろ時間だ…何かあったら電話でもしてくれ。」
「ありがとう…」
俺を見つめた空の目が光って見えたのは俺の見間違いかもしれない。
その夜、空から電話があった。
「もしもし」
「私だ……」
空の声はとても暗いものだった。
「空、どうしたっ?何かあったのか!?」
俺の慌てた声に驚いたのか空は少し戸惑ったがすぐに話し出した。
「すまん、今日燈也が言ってた事を私なり考えたんだ。それでやはり私の親友であるあいつらにはしっかり本当の私を見ておいてほしいと思ったんだ。だからあいつらだけに来てもらうように言ってくれるか?」
「分かったよ…空が決めたなら俺はそれを手伝ってやるよ。」
「フッ…馬鹿たれ…」
「馬鹿で結構。津出、灯糸、深澄でいいんだよな?つか内藤はどうする?」
「そいつらだ。内藤はどちらでも良いぞ。」
「内藤が可哀想じゃねーか。」
「あいつは打たれ強いから大丈夫だ。」
「ブッ、それ理由になってないって」
「フフ…そうだったか?」
空はやっと調子を戻してきたみたいだった。
「空…」
「ん?なんだ?」
「さっきの空の言葉だけどな、『見ておいてもらう』じゃない『これからも見続けてもらう』んだからな?」
「フム…そうだな…君とはこれからもずっと一緒にいて、見続けてもらわなければな…夜遅くにすまなかった。」
「気にすんなって。じゃあ、おやすみ」
「燈也、愛しているぞ。おやすみ。」
「そっ、空っ!」
ツーツーツー
俺の声に答えてくれたのは空の声ではなく、無機質な携帯の電子音だった。
いきなり愛しているとか言われた俺の頭は熱が出たように火照り始めた。
未だに空の突拍子な行動には慣れない。
正直、これから一生慣れない気がするのは俺だけだろうか。
その後俺は携帯を開き、津出と灯糸そして深澄にメールを送った。
内藤は送らないでもどうせ暇人だし、津出がほぼ強制的に連れて行くから当日話せば大丈夫だろう。
遅くなったがここで空の親友達の説明をしておこうと思う。
[津出 涼華]
空と一番と言ってもいいくらいの仲良しで内藤の彼女。
顔は正直とても美人だが、口がめちゃくちゃ悪い。しかし、一応根は良い奴だ。
津出は空と同じくらい戦闘能力が高い。
[灯糸 美咲]
熱血バカだからかなり暑苦しい。だからこそか一番友達に気をかける。(だがやっぱり気のかけ方も暑苦しい。)
運動神経は抜群だから帰宅部なのに何かと助っ人として呼ばれる。
[深澄 詩依]
本当に高校生かと思うほど幼い姿で子供っぽい格好をすれば案外小学生でも通るかもしれない。姿と同じように思考や行動もかなり子供っぽい。
しかし、いつの間にか人の弱みなどを握っていたりする辺り単なる幼児ではない奴だ。
[内藤 陽一]
さっきも言ったが、津出の彼氏。どのようにして津出を落としたのかは知らないが、多分こいつが持つ優しさだと思う。
もっぱらいじられキャラで俺達から結構厳しくいじられてる。
俺にも男友達は普通にいるが、それでも内藤とは一番気が合う。
空の親友達(他のクラスメートも)は空が入院してから俺にすぐに空の病状など色々な事を聞いてきた。
俺は俺も詳しく知らされていない事を答えといた。そして、その後に津出や灯糸、深澄、内藤にこっそりと空が今の自分自身の状況を知られたくないと言っている事を告げた。そしたら空の性格が分かっているのかそいつらもそれ以上俺に聞いてくる事はなかった。
俺が津出と深澄からすぐに返信が着た。俺は明日空のお見舞いに行けるかどうか聞いた。
もちろん2人共一緒に行くとの事だった。2人の返信から数分後に灯糸からも返信が着た。同じ事を灯糸に確認すると灯糸ももちろん行くとの事だった。
俺は勉強を済ますとさっさとベッドに横になった。
『燈也…』
俺の夢の中で空が微笑んみながら立っていた。
「空!!」
俺が伸ばした手の先に空はいなかった。
まず自分の中では11月に投稿したかったのですが12月になってしまいごめんなさい
今回も読んでいただきありがとうございます
今回の話は空、燈也の親友の友人達の名前が出てきます
次話からしっかり出てくるので楽しみに待っていて下さい