【第七話〜空を繋ぐ橋〜】
第七話を投稿します
今回はちょっと変わったお話です
お楽しみ下さい
「ふぅ……」
唇から溜め息とはまた違った空気が漏れた。
ベッドの上から窓の外を眺める。そこには見慣れた、しかし一瞬毎に変わる物が私を見下ろしていた。
アレは昨日も同じように蒼く澄んでいた。
私の頭は瞬時に昨日の事を鮮明に思い出した。今でも思う。何で私はあんな事を言ってしまったのだろう。
昨日はあいつの顔を見た瞬間に私の心の壁は脆くも崩れ落ちていった。
先日、担当医から告げられた一言は私を真っ暗闇に突き落とした。しかし私はその言葉を受け止めた。そして覚悟を決めたつもりだった。
―覚悟を決めた―
だから私はもう二度とあいつやその他の友人達に会うのはやめようと決めた。
もうあいつに会う事はきっとないと思っていた。だから日々私に与えてくれるあいつの優しさを跳ね返していた。
しかしあいつはそんな事全く気にしなかった。何を言おうと変わらずに毎日来てくれた。
私は動揺していた。しかしそれ以上にあいつの毎日来てくれるという行為が徐々に嬉しくなっていた。しかし私は自分自身を隠したままだった。
そんな時だった。
見かねたお母さんがあいつを私の部屋に入れた。
あいつの顔を見た時、私は言わないと決めていた。しかしその決意は簡単に崩れた。
そして、私自身の気持ちが分かった。
しかし怖かった…
もし気持ちを告げて、拒否をされたら…
それでも全てを言わなければいけないと感じた。
私は屋上に行くことにした。多分、看護士の人達にばれたら色々言われるだろう。
それでも、窓の内側からではなく私の目で空を見上げたかった。
私は昔から空を見上げていると、落ち着いた。こんな性格や言葉遣いだから何度もいじめられた事もあった。しかし遠く広がる空はそんな事を気にも止めずに私を見下ろし続けていた。
そして空と同じようにあいつも私の性格や言葉遣いを全く気にしなかった。私よりも弱いくせに何度も自分を犠牲にして私を守ってくれた。
だから多分昨日は私が行く事ができる屋上という最も空に近い場所でなかったら、大切なあいつに対して全てを正直に告げられなかったと思う。
きっと空が、あいつが私を見てくれると思ったからこそ、言葉が出たのだろう。
そして屋上で全てを話した。
私の気持ちを…私の未来を…
きっとあいつは受け止めないと思っていた。
しかし…
しかしあいつはさも当然のように私を、私の気持ちを受けとめてくれた。
その時私の中で何かが弾けた。
未来に対して諦めていた気持ちはなくなった。
もっともっと生きたくなった。あいつの傍にずっといたくなった。
なぜ私の未来はすぐそこで閉じてしまうのだろう。なぜあいつの傍にもっといさせてくれないのだろう。
私は自分自身が恨めしい。
ここまで自分の事を恨んだ事なんてなかった。
でも今は、今は…
あいつの前ではもう少しだけ、もう少しだけ…意地を張ってみようかな…後少しだけ頑張ってみようかな…
私はいつだって強かったんだ。
今まで強く生きてきたんだ。最後まで貫くのもいいじゃないか。むしろ最後まで貫いてやろうじゃないか。
昨日は私の弱い部分あいつにかなり見せてしまったしな…
あんまり弱い部分見せすぎるとあいつが調子に乗るしな…
まぁ、でもたまには頼りにするのも悪くないな…
あいつになら…
私は考えをやめ、再び空を眺めた。
肝心な事言い忘れてたな…
――燈也ありがとう――
今回のお話はどうだったでしょうか?
空目線から見た第六話の話です
ん〜正直むずかった…
それでも結構勢いで書く事ができました
当初の予定ではこの話は書く予定もありませんでしたし…
何か今日は後書きのネタないなぁ…
次か次くらいに新キャラ登場なんでお楽しみにっ!!w