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Cool Sky  作者: 剣一
6/19

【第五話〜儚き君の姿〜】

第五話の『儚き君の姿』を投稿します


2人の物語は更に走り出します


ぜひ読んでみて下さい


コンッコンッ

それから数日後、俺の手は空の病室のドアを叩いていた。

「空、俺だ。今日も来たぞ。は…」

「入るな。」

入るぞと続けようとした俺の言葉は空の一言によって遮られた。

「えっ!?」

「お見舞いに来てくれたのに悪いが今日は帰ってくれないか?」

その声は静かに俺が病室に入る事を拒否していた。

「わ、分かった…」

俺は病室に入る事を諦めた。しかし、結局俺はどうしようもなく、空の病室に一番近いソファーに腰を下ろして、1人困っていた。

「どうしたんだろ…いつもの空らしくないな…」

俺はだからといって何もできるる事がなく、静かに面会の終了時間が来るのをを座って待っていた。


うとうとする訳でもなく、ただぼーっとしていても時間はしっかりと過ぎていくもので、気付くと面会の終了の時間だった。

「帰るかな…」

俺が立ち上がろとしたその時、俺の前で立ち止まった人がいた。俺が顔を上げるとそこには空のお母さんが立っていた。

「燈也君…わざわざ来てもらったのにごめんね……」

「あ、こんにちは。いや、おばさんは気にしないで下さい。俺が勝手に来てるだけですから。」

「いや、でも悪いわよ…」

「いや、良いんです…それより…その…空の病気は…」

(俺はしつこいな……)

自覚はしているのだが、どうしても気になっているので俺はおばさんに尋ねてしまった。その瞬間おばさんの表情に陰りがさした気がした。

「その事なんだけど…」

「あまり…良くないんですか?」

「えと…やっぱりこれは空が自分で言うべき事だと思うのよ。」

おばさんはそう答えてくれた。そしてその言葉は暗に俺に対して空はあまり良い状態ではないと俺に教えていた。

その時はまだ"あまり"良くはないだけだと思っていた……


それから数日後に空の病室が変わった。

おばさんに教えてもらった俺はそれでも変わらずに毎日空の所へ通った。

ドアをノックする度に病室の中から帰ってくる返事は

「入ってくるな。」の一言だった。しかし言葉はいつの間にか強くなり

「もう来るな」という一言に変わっていた。

それでも俺は毎日毎日通い続けた。よく考えると空を疲れさせているかもしれないが、止める事はできなかった。


そんな事を続けていたある日。

「いい加減俺もしつこいな…」

俺は自嘲気味に笑い、ドアをノックしようとした。

しかしその瞬間、俺は後ろから聞き慣れた声に呼び止められた。

「あ…燈也君?」

その声の持ち主は空のお母さんだった。

「あっ、おばさん、こんにちは。」

「ちょっと入ってくれる?」

「えっ!?」

おばさんは俺の手を掴むと、俺を強引に空の病室に入れた。

当たり前の事だがその部屋のベッドの上に空が座っていて、ただぼーっと窓の外を眺めていた。しかし、おばさんに引っ張られ入った俺を見ると一瞬驚いた表情になったが、すぐにいつものような顔に戻り、俺を見つめていた。

数週間ぶりに見た空は前会っていた時の空よりさらに酷い様子になっていた。

空の自慢の長い綺麗な黒髪はボサボサになっていた。前会ってた時も健康的だったとは言えないが、でも今はそれ以上に体はガリガリになり、顔はとてもじゃないが血行の良い顔付きだとは言えない状態だった。

「そ、空……」

「燈也……見られてしまったか……」

俺を見つめていた空は笑顔を作り出した。その笑顔はあまりにもぎこちなく、まるで笑顔の作り方を忘れたが、それでも無理して笑おうとしているようだった。

「お母さん、燈也をもう入れるなと言ったじゃないか。」

「空、ごめんね…けど、あなたは燈也君にちゃんと言わなきゃいけない事があるんじゃないの?あなたにとって燈也君はその程度の存在だったの?」

おばさんは一気にそう告げると

「…ごめんね…私ちょっと外行って来るわ…」そう言って病室を出て行った。その時おばさんの目が一瞬見えたのだが、その目は潤んでいるように見えた。

「そ、空久しぶり…」

俺はそう言って、初めて自分の喉がカラカラになっている事に気が付いた。

「久しぶりだな…」

空は絞り出したかのような声で話しかけてきた。

「私も逃げてばかりいられなようだな…なぁ…」

空は自分に言い聞かすように呟いた。

「燈也、少し屋上に行かないか?」

「外に出てもいいのか?」

俺の言葉を空は昔のように鼻で笑って答えた。

「フッ……燈也、私もそこまで重病人ではない。ほら行くぞ。」

そう言うと空はベッドから立ち上がり、ドアへすたすたと歩いて行った。

結局1人で部屋に残る訳にもいかない俺は弱々しくなってしまった空の後ろ姿を見つめながら無言で空について行った。


――どうしたんだ?――


――もう大丈夫なのか?――


――なぁ…空…――


俺は空に対して話したい事がたくさんあるのに話しかけられずにいた。


エレベーターホールでボタンを押す空の指はとてもやせ細っていて、簡単に壊れてしまいそうだった。

エレべーター内では薬の匂いのせいで俺はさらに空がとても弱く、そしてとても儚い存在のように感じてた。




今回も読んで頂きありがとうございます


前書きにも書いた通り2人の物語は今まで以上に動きました

この辺りの内容は前半の山場と言ってもいいくらいだと自分では思っています

その山場を自分なりに上手く書けたらいいと思っています

次話もぜひ読んで下さい








前回の後書きと今回の後書きの温度差激しいなwwww


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