【第十六話〜秘密の予定〜】
十六話を登校します
今回は久々に学校でのお話です
良ければ読んでいって下さい
「燈也〜」
聞き慣れた声が俺を呼び止めた。後ろを振り向くと、そこには内藤がいた。
「なんだ…陽一かよ…」
「なんだって…燈也、対応ひでぇー」
「んで、用事は何?」
「あっ、そうそう。涼華が食堂で呼んでたよ。」
「分かった、行こうぜ。あ、途中で購買寄るからな〜」
「あぃよー」
「で、津出は何の用なんだ?」
「知る訳ないじゃん!!」
内藤はわざわざその場で立ち止まると、胸を張って答えた。
「えばって言うんじゃねぇ!」
俺はそう言いながら、内藤の胸を軽く小突いた。
「いってー殴るな、燈也ー」
やられた内藤は俺の背中を平手で叩いた。
「てめぇー」
「燈也からやってきたんじゃーん。」
俺達はこんな風にふざけていた上、途中の購買で昼食のパンを買っていたので、食堂に着くまでに結構時間がかかってしまった。そして、その食堂には大変ご立腹の津出が座って待っていた。
近づいて分かったが津出の隣の席には灯糸と深澄も座って待っていた。
「わりぃ。」
「涼華、ごめん。遅れた。」
「あんた達遅いっ!
まぁ、いいわ。ちょっと話があるのよ。良いわよね?」
津出は目の前のオムライスをつつきながら言ってきた。
「おぅ。」
「いただきます。」
俺の隣に座った内藤は早速パンの袋を開けて食べ始めた。
灯糸と深澄も話を止め、津出の話に耳を傾けていた。
「まだまだ先の話になるんだけどね、出来たら空の病室でクリスマスにパーティーをやらない?
空の病状で無理ならしょうがないけど、みんなでいた方が空も楽しんでくれるだろうし。
あ、内藤、残り食べて。」
津出はそう言うと、内藤の方へ半分以上も残ったオムライスを差し出した。その瞬間、内藤は空腹の肉食獣に肉を与えたかのような早さでオムライスを食べ始めた。
(いつの間にパン食い終えてんだよ…)
「かなり先だな…急にどうした?」
俺はそう言うと、袋を開けてパンを一口かじった。
「いや早めに言っとかないと予定入っちゃうかもしれないでしょ?
って言うか入れられたらこっちも言いにくくなるしね。
…美咲と詩依はいい?」
「もちろんだぁぁぁ!!」
「当たり前じゃんっ、りょーかっ」
それまで静かに話を聞いていた灯糸と深澄は笑顔で答えた。
俺はその時、ふと鶫ちゃんの笑顔が頭に浮かんだ。
「なぁ…津出…」
「何?」
「空と俺の知り合いの子で鶫ちゃんって子も一緒でいいか?」
「もちろんOKに決まってるじゃない。」
その答を聞いてから俺は鶫ちゃんの事をみんなに軽く話した。
俺が話し終えて少ししてから、昼休み終了を告げるチャイムが鳴った。
津出は立ち上がると俺達にビッと人差し指を向けて
「って事で空と鶫ちゃんのプレゼントは用意しときなさいよ!特にそこの馬鹿男子2人組!分かった?」と言った。
「あぃよ〜」
「陽一と一緒にすんな!」
「あんたらは似たり寄ったりよ。」
津出はハァとため息をついてから歩き始めた。
「ばぁ〜か、ばぁ〜か。クスクス」
「ばぁぁぁかぁぁぁ」
深澄と灯糸もそう言ってスタスタ歩き出した。
「燈也…結局、お前も馬鹿なんだよ…」
陽一もそう言って俺の肩をポンと叩いて歩いて行った。
「てめぇら……待てやー!」
誰一人として俺の言葉を聞こうとしない四人を俺は追いかけた。
内藤に追い付いた時、とりあえず頭を一度こずいといた。
すぐに津出達の溜め息が聞こえた。
「そうだ…津出、クリスマスの事空と鶫ちゃんには俺から言っておいて良いんだよな?」
「あっそうそう忘れてたわ。その事は内緒にしときなさいよっ!」
「え?あ、うん。分かった。」
「ドッキリの方が喜んでくれるはずだしねっ!」
「あぃよ〜」
少ししてから五時間目の授業が始まった。
教師が黒板に書く言葉をノートに綴りながら俺は別の事を考えていた。
(何あげようか…)
俺の頭では色々な品々が浮かんでは消えていった。
―空が一番喜ぶプレゼント―
―空が笑顔になるプレゼント―
―空が幸せを感じるプレゼント―
俺は空に何をプレゼントしよう……
今回もお読みいただきありがとうございます
今回は全く空が登場してきませんがこういう話もたまになら自分的にもありかなと思いました
たくさんの人物を動かすのは難しいですがもっともっと積極的に登場させていきたいですねぇ…まぁこれ以上登場させる予定は"今のところ"はありませんが…w
これからも宜しくお願いします