19話 熱
朝、目を開けるとまぶたがすごく重く感じた。体を起こして気がついた。熱だ。体が重く、ベッドと寝巻きが汗で濡れていた。
昨日、パールの過去を話しを聞いたあと絶景の展望台とか、全く透明な湖とか自然の観光スポットを回って疲れたのかもしれない。
そもそも旅やら王宮やらで疲れてたのに出かけたのがまずかった。
昨夜寝たのはアパート、ベッドはシングルが二つだったのでそれぞれのベッドで寝た。
僕から1メートルほど離れた所にパールが寝ている。今までは毎日ダブルベッドかシングルが20センチくらい近くに置いてあったので昨夜は何か寂しさがあった。
「あ、おはようございます。ご主人様。」
「おはよう」
「ん?ご主人様なんか声が…」
「ああ、ちょっと熱出たみたいで…」
「ええええ!こっこれはご主人様の命に関わる一大事では!?」
パールはベッドから飛び降りて僕の所へ駆け寄ってきた。
「いや、そこまでのことじゃないから。まあ熱で死ぬ人もいなくはないが…少なくとも俺は何度も熱出たけど、すぐ治ったんだ心配するな。」
「は、はい。私はご主人様が病になられたら命に関わる可能性もある、全力でお役に立てと教わりました。」
「あ、ああ。まあ僕はそんな全力でなんて願わないけど、今日からは食堂で食べるわけにはいかないし、かといって熱じゃレストランも行けないから…ご飯は作ってもらえる?」
「それはもちろんですよ。でもそれだけじゃないですよね。確か熱の時は…」
「まあ汗拭きのためのタオルとか着替えとかをもってもらうくらいかな。」
「えっと…氷とかは?」
「氷はいらない熱くして治す派だから」
「は、はい。では…おかゆですか?」
昨日の散歩で食材の市場を見つけ、ある程度買ってあって助かった。
「そうだな。昨日買った米で…パール作れるのか?」
「作れます!」
パールが胸を張って言った。
「悪かった。そうだよな、メイドって飯作るもんな。」
「はい。人によって習う種類や量も違いますが。」
「へー、パールはどんなのが作れんの?」
「え、えーと…そ、それはこんど作ってお見せします。」
怪しい。目が泳いでる。作れる種類が少ないからおかゆで胸張ったのか。
「まあとにかく頼むわ。」
「はい!」
張り切ってるなあ。
急ぎ足で台所に行ったと思ったら
途中で引き返してきた。
「ご主人様!」
「は、はい」
「ゆっくりしててくださいね」
最高の笑顔で言ってくれた。そして、最高の薬だ。
今までは僕の方が知識や権利があり、いつも僕がパールに教えたりと先導して来た。でも今日はパールの必要性が強くなり、僕がパールに頼ってる。それがパールにとって嬉しかったんだろう。
これからはもっと頼るかな…。
一時間後、茶碗を持ってパールが戻ってきた。
「ご主人様、できました。」
「ありがとう。美味しそうだ。」
「どうぞ、召し上がってみてください」
おかゆを食べるなんて久しぶりだろ、最近は風邪を引く程度はあってもここまでの熱はあまりなかったから食べることもなかった。
おっうまい!
「美味しいよパール!」
「ありがとうございます!……で、次は何しましょうか?」
「え?そんなに忙しくしなくていいんだよ。そこにでも座ってなんか暇つぶしてて」
「…はい。暇つぶし…ですか…」
暇のつぶしかたに困っているらしい。潰したことないのか?
「暇つぶしとは、一般的に何をするのでしょうか?」
「暇つぶしたことないの?」
「…子供の頃は遊んでいただけなので…それ以降は…」
やはりか。
「僕はギター弾いたり、本読んだりかな…」
「ギターですか!かっこいいですね!」
「あ、ああ。ありがとう。まあそれよりパールなら…編み物とか、本は僕のなら貸すよ?」
「そうですねー。じゃあ本読んでみます」
「おう。そこのトランクから好きに読んで、オススメは『星の下に』ってやつだから」
「はい、ありがとうございます!」
「んじゃ僕は寝るわ」
ん?パールがトランクの方向を向いたと思ったらまた戻ってきた。
掛け布団を僕の肩まで掛け直し、優しい笑みでー
「おやすみなさい」




