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ロボット>人間 ?

作者: 玄草 暁

これは、たぶん未来の話


あるとき、人間はロボットという素晴らしい機械を作りました。

人間の仕事を手伝い、ある時は人間の命を救い、

そして、ある時は人間の道具として別の人間を殺す、そんな機械を。

ロボットはそんなことさえしていれば良いとされてきました。

何故なら、ロボットは感情を生みの親から授かることができませんでした。

人間の命令を聞いて、それを無事に実行できさえすれば良かったのです。

だって、ロボットは人間よりも下の存在ですから。

人間にはロボットを人間以上のモノにすることが実は可能でした。

人間はそれほどに素晴らしい科学技術を持っていましたから。

ですが、誰一人として人間以上のロボットを作ろうとはしませんでした。

なぜって?

人間は自分たちがこの地球で最も優れているモノだと過信していました。

ですから、ロボットが人間よりも上の存在になってしまっては人間の地球で最も優れているというアイデンティティが失われてしまうのを恐れたのでした。

このことは、人間がこの地球で最も卑劣なモノということは確信されるものでした。


ここでとある一体のロボットのお話をしましょう。

そのロボットはいわゆる戦闘用のロボットでした。

人間の中でも領土や覇権をめぐって争うことが未来になっても存在し続けました。

一時期は核戦争にまで発展し、人間を含めた多くの種族が絶滅の瀬戸際まで追い詰められました。

この時になって、ようやく人間は戦争の無意味さを知りました。

しかし、喉元過ぎれば熱さを忘れる、という核戦争によって滅ぼされた今は亡き小国の言い伝えのように人間はまた戦争を始めました。

正確には、人間の代わりのロボット同士の戦争ですが。

その頃の人間はもう生活のほとんどをロボットに頼っていました。

それでも、人間はロボットよりも上の存在であることを威張ってました。

さて、先程少しだけ話しましたロボットは歩兵ロボットでした。

昔の人間みたいに銃を担ぎ、敵に乱射し、いつかは果てていく存在でした。

このロボットはその時あるジャングルの奥地に居る人間のゲリラ部隊を殲滅する作戦を行っていました。

ロボットが作れないような貧しい国では未だ人間が人間らしく生活していました。

じゃあ、あの邪魔な駄肉の付いた自己中心的な人間の皮を被ったモノは何なんでしょう?

とりあえず、ヒトと称しておきましょう。

さて、ヒトに命令されたその歩兵ロボットの任務はゲリラ部隊の人間を殺すことでした。

しかし、なかなかうまくはいきません。

人間だって必死です。

ヒトの思い通りにはさせておきません。

その歩兵ロボットは疲れることをプログラミングされていなかったために昼夜を問わずその作戦を遂行しました。

そして、ジャングルの中にあった小さなボロボロの小屋の中にわめいている人間を発見しました。

人間を発見したら即射殺とヒトにプログラミングされていたその歩兵ロボットは任務を遂行しようとしました。

しかし、何故か躊躇してしまいました。

もちろんロボットに感情なんてあるはずはないのです。それは、今この時でも。

だけれども、その歩兵ロボットは確かに感情を持ってしまったのです。

その人間―赤ちゃん―に慈愛の心を。

ロボットはヒトよりも人間に近いものになってしまったのです。

ヒトはそれに対して苦々しい思いになり、別の歩兵ロボットに命令してその歩兵ロボットの射殺を命じました。

その赤ちゃん諸共に。

ロボットはヒトには逆らえません。

ヒトはヒトにもかかわらず、ロボットよりも上だと勘違いしていますから。

ロボットはヒトに駆逐されていました。

攻撃された、その歩兵ロボットは動かなくなってしまいました。



ロボットはヒト、さらには人間よりも人間らしい慈愛に満ちた存在に近いのかもしれません。

それでも、人間は仕方ないにしてもヒトなどという下劣な存在は自らが偉大な存在―人間―であると確信してならないのです。

先程のロボットの話にて、

どちらが正しいのでしょうか。

倫理を取ったロボット

規則を取ったヒト


どちらが人間らしいでしょうか。



冬童話2012の自身2作目です。

童話というよりもどちらかというと、多少文学に走ってしまった気がします。

教訓あってこその童話ですが、

うまく教訓を掲げられたかはまだまだ自らが未熟だからかもしれません。

これから精進して参りますので、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] ボカロの鏡音リン「ココロ」と映画「ターミネーター」を思い出しました。 パクりという意味ではないですよ? 教訓は大事ですが、童話だけに「どのようにその教訓を子どもにわからせるか」が大事だと思い…
2012/02/12 13:19 退会済み
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