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いつかはきっと。だけれど今はまだ⋯

作者: のりお
掲載日:2026/07/29

茹だるような暑さを感じながら空を見上げる。

青く広がるそれを恨めしそうに睨みつけた。

かといって何とかなるわけでもなく、視線を落として力なく地面を見つめる。


蝉の鳴き声を聞きながら通学路を歩く。

汗で白いシャツが肌色に染まる頃、ようやく校門が見えてきた。


ふいに聴こえる、自分を呼ぶ心地よい声。

振り返ると、照りつける太陽以上に眩しい笑顔があった。


小さく手をあげて挨拶を交わし、他愛もない会話をしながら昇降口を目指す。

屋内の涼しさを感じながら靴を履き替え、手を振り合ってそれぞれの教室へ向かった。


窓から照りつける日光が部屋を焼く。

唯一の救いは、時折吹き抜ける熱風だけだ。


眠気を誘う魔法でも使っているのだろうか。

今日もまた、教師は平坦な声で話す。


まるで右から左へと聞いた内容が抜けていくような錯覚に陥る。

一刻も早く授業が終わることを願いながら、窓の外へ視線を向けた。


外からは聞き慣れた通る声。

彼女は眩しい笑顔で跳ねるようにハンドボールをしている。


彼女の姿に釘付けになり、眠気を誘う声は遠のいていった。


心地よい風が通り、陽の光を遮る中庭に二人。

彼女は彩りの良いお弁当を広げている。

方や僕はというと、購買で買ってきた茶色いパン。


彼女はそれを一瞥すると、箸で卵焼きをつまみ、僕の顔の前へ持ってくる。

思わず頬を緩めながら、大きく口を開けた。


彼女はイタズラが成功したような顔をしながら、それを自分の口へ運んだ。


ほんの少し口をへの字にして彼女を見る。

彼女は声をあげて笑いながらも、どこかばつが悪そうな顔をしていた。


あらためて箸で卵焼きをつまみ、彼女は僕の口へ放り込んだ。


それはほんのり甘い卵焼きだった。


ようやく授業が終わり、足取り軽く昇降口へと駆けていく。

彼女は靴箱に背中を預けながらスマホを弄っている。


おもむろに近づいていくと、彼女は顔をあげた。

いつもの笑顔だ。


肩を叩かれながら靴を履き替え、扉をくぐる。

優しい太陽の光を浴びながら、肩を並べて他愛もない会話を交わし歩いていく。


気付けば彼女の家の前にいた。

彼女はそっと手を上げ、僕もそれにならう。


彼女が扉の奥へ消えていくのを見届け、僕はゆっくりと歩き出した。


いつかはきっと。

だけれど今はまだ――

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