第二十四話 「お気持ち」を強要する葬儀屋を、契約書の文面と弔いの定義で黙らせる男
すみません、そのオプションは不要です。
一生に一度のお別れに、妥協していいのか?
ええ、構いません。 「妥協」という主観的な言葉で不安を煽るのはやめていただけますか。
私は提示された基本プランの内容に納得して署名したはずです。
故人が草葉の陰で泣いている?
ほう、それは興味深い。 あなたは死者と交信する特殊な能力をお持ちなのですか?
もしそうでないなら、私の身内の感情をあなたの憶測で代弁しないでいただきたい。
故人の沽券にかかわる?
なるほど、あなたは故人のメンツのために、私に不要な支出を強いろとおっしゃるのですね。
ですが、この葬儀費用を支払うのは私です。
支払い義務を負わない外野の「お気持ち」のために、私の家計を圧迫する理由はありません。
商売にならない?
おや、ようやく本音が出ましたね。 最初からそう言っていただければ、こちらも検討の余地がありました。
ですが、必要のないオプションを「お気持ち」という曖昧な名目で追加させようとする行為は、
消費者保護の観点から見ても、少々不誠実ではないでしょうか。
あ、もういい?
ご理解いただけて助かります。 では、契約通りの内容で速やかに進めてください。
なお、供花が一つもないシンプルすぎる会場を見て、親戚一同が凍りついた模様。




