月光
二人で離宮を出て、もっと素敵な物を見せたいと思った。俺の秘密の場所。月の光が照らす、野の草花が咲き乱れる場所。君はその中で、月の光に照らされながら柔らかく微笑む。まるで、お姫様みたい。俺は花を摘んで冠を作って、君に差し出す。差し出された冠を被って君は小首を傾げる。俺は君の頬を撫でながら言う。
「こんな花も、ひなに似合う。」
君の頭に載せた冠は、君を飾る。ああ、このまま君と将来を誓えたら良いのに。
「夜様、素敵ですわ。」
素敵なのは君だよ。
「ひながいいんだ。そんな風に笑う、ひながいい。」
「私ですか?」
「ひなと、一緒になれたらいいのに。」
そっと草花を摘んで、君の薬指に巻き付ける。
「残りの人生ずっと、ひなと過ごして愛しあえたらいいのに。」
俺は本能で分かっていた。大切な番は君なのだと。他の誰も君の代わりになどならないと。君は驚いていた。そして涙を溢して、幸せそうに笑ったんだ。君と過ごした時間は短いけれど、俺は君がいいと思った。
「夜様。私、幸せ者ですわ。」
「俺はもっと幸せだよ。ひなを見つけたあの日からずっと。」
君は俺を見つめて。
「私は夜様から貰ってばかり。」
その瞳に涙の膜が張って。そして溢れて。
「私、こんな幸せな日々は初めてでした。全部、初めての事だらけ。」
慌てて涙を拭うけれど、後から後から流れ落ちて。
「私、罪深いのですわ。」
そして、君の哀しい話が始まった。




