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約束
その日、俺は初めて君と東屋で過ごした。君は優しく、暖かな女性だった。お手製の菓子はとても美味しくて。美味しいって言うと、くすりと笑ってまた焼いてくるって言ってくれた。
「夢みたいだ。」
「夢?」
「君とこうやって話が出来るなんて思わなかったから。」
「私、いつも贈り物をくれるあなたにお会いしたかったのです。」
「喜んでくれる顔を見たかったんだ。」
「どれも嬉しかったです。」
君の小さなバッグには贈り物が詰められていた。包みのリボンも、手紙もきちんと入れられていた。
「私の宝物。」
堪らなくなって、思わず君の手を握る。綺麗なスベスベした手。
「もっと、君に似合うものを探すよ。」
そしたら君は言ったんだ。
「嬉しい。初めて贈り物を貰ったの。」
初めてって?
「本当に嬉しかったの。」
「じゃあ、お礼に君の名前を教えて?」
「雛菊、雛菊と言います。」
可憐な小さな白い花。君は雛菊そのものなのだと思った。
「雛菊…ひな、俺は夜。」
「夜様。」
「ひな、明日もここへ来てくれる?」
「はい、夜様。」
俺達は、毎晩ここで逢う約束をした。そして君との恋物語が始まったんだ。




