リリアの手料理
「ふんふふ~ん♪」
キッチンにて、鼻歌を歌いながらリリアは手際よく料理をしている。
その様子を見ながら、彩也香はアリスに聞いてみた。
「リリアちゃんって12歳だよね。 あの子、料理も得意って言ってたけど……」
「あの時にも言ったように、あの子は天才なの。 それは勉学だけでなく料理も同様なの。 私も母様も料理はするんだけど、あの子の料理の腕前は伝説クラスなの」
「マジか……」
「あの子、嫁力高いんじゃ……?」
アリスの答えを聞いた優斗と彩也香は、驚きながらお互いに顔を見合わせていた。
リリアは天才だと聞いていたが、料理の腕前も伝説クラスで、自分と母親を凌ぐと認めるアリスに、彩也香は嫁力も高いのではと呟くしかない。
(本当に手際がいい。 アリスが伝説クラスだと言わしめるだけあるな、リリアの料理の腕前は……)
火の調整、食材や調味料の使い方など、的確に手際よくこなしているリリアの後姿を見て、優斗も心の中でそう呟いた。
(そんなリリアの手料理、美味しいだろうな……。 早く食べてみたい)
同時に、優斗はそんなリリアの手料理を食べてみたくなったようだ。
キッチンからいい匂いが漂ってくるたびにそう思ってしまう。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「にーさま、サヤねーさま、出来たのです!」
そして、小一時間ほどでテーブルの上には彩り豊かな料理が並んだ。
香ばしい香りが部屋中に広がり、優斗と彩也香の食欲を刺激する。
「うわー! すごいね、リリアちゃん! 美味しそうだよ!!」
美味しそうな料理を目の前にして、彩也香が目を輝かせた。
優斗もまた、目の前の料理に驚きを隠せない。
「すごい……、これらを本当にリリアが……」
「はいなのです! にーさま、どうぞ召し上がれなのです!」
リリアは胸を張って答えた。
優斗は恐る恐る料理を口に運んだ。
一口食べると、その美味しさに目を見開いた。
「う、うまい! 本当にうまい……!!」
「ほ、本当に美味しいよ、これ……!」
優斗は思わず感嘆の声を上げた。
メインディッシュの肉料理は、ソースの味が絶妙で肉はとろけるように柔らかい。
添えられた野菜も、素材の味が最大限に引き出されている。
スープも深いコクがありながら、優しい味わいだった。
アリスの言うように、12歳にして伝説クラスの腕前で作った手料理に優斗と彩也香は舌鼓をうつ。
「どうですか、にーさま? 美味しいですか?」
リリアが、心配そうに優斗の顔を覗き込む。
優斗は、満面の笑みで頷いた。
「ああ、最高だ! こんなに美味しい料理が食べれるなんて幸せだよ。リリア、本当にありがとうな」
優斗の心からの感謝の言葉に、リリアは顔を赤らめ、はにかんだように微笑んだ。
「えへへ、にーさまが喜んでくれて、嬉しいのです♪ 頑張って作った甲斐があったのです♪」
リリアの純粋でまっすぐな愛情と、その手から生み出される温かい料理に、優斗の心はかなり癒されていた。
日の国で受けた心の傷が、リリアの純粋な優しさによって少しずつ癒されていくのを感じた。
この子の思いに報いるためにも、自分は強くならなければならない。
優斗は、そう強く心に誓った。
「ううっ、只でさえ伝説クラスなのに……、これ以上レベルアップしないで……」
「アリス、どんまい!」
一方で、リリアの腕前が上がってることに絶望しながら食べているアリスを彩也香が慰めていたのだが、それに関しては優斗とリリアは見ていなかった……。
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