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転生先は男女比が狂った世界でした

新作です。

よろしくお願いします。

「もう、おしまいにしよう……」


 ある日の夜。

 誰もいないとある岬で、一人の少年はそう呟いた。

 この岬で、少年は自殺をするつもりのようだ。


「結局、僕は価値なんてなかったんだ。 家族からも世間からも、顔だけで暴力を受けたり、罵られたりした」


 この少年は、顔がイケメンじゃない。

 かといって、不細工でもないごく普通の少年。

 だが、彼の家族や世間は、彼をイケメンじゃないというだけで、暴力を振るわれたり罵られたりした。

 誰も助けてはくれない事に絶望した少年は、この岬に来たのだ。

 

 死ぬために。

 だが、遺書は用意していない。 意味はないからだ。


「じゃあ、そろそろ飛び込むか……。 この天野(あまの) 優斗(ゆうと)の人生は終わりだ」


 そう呟いた瞬間、少年もとい優斗は、岬の崖から飛び降りた。

 重力に従って落下し、痛みを感じる事もなくその人生を終えるのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「……白い、天井……か」


 少年が意識を取り戻した時は、白い天井が目に飛び込んでいた。

 その上、薬品の匂いがする。


「ここは、病院か?」


 少年は、ここが病院である事を知る。

 そして、ネームプレートを見る。


【天野 優斗】


「何で……? 僕は……生きてるのか……?」


 あの岬から飛び降りた際に痛みを伴わぬ形で意識を途絶えたのだから、生きてるはずはない。

 そう思って、周囲を見回したら、ここが別の世界だと分かる書物が机に置かれていたのだ。

 優斗は、痛みをおしてそれを手に取って読み始める。


「現代風味のファンタジー世界……って事か。 前世の地球にそっくりで色々違う世界……。 魔法なんかもあるんだな」


 優斗は、どうやら現代風文明に魔法や魔法系技術が混ざった地球そっくりの異世界に、前世と同じ名前で転生したようだった。

 だが、次に目にした内容は、かなり歪なものだった。


「男女比が……狂った?」


 そう。

 この世界は、男女の人口比がかなり狂っているという。

 どうも数十年前に、この世界では度重なる戦争、太陽フレア、そして隕石の落下が短期間のスパンで発生したらしい。

 それらによる多数の死亡、染色体の変質、地形の変貌などが発生し、特に【Y染色体】の変質が男女比を狂わせたと言われている。

 比率は男1に対し、女は200らしい。

 とりあえず、世界は国際男性人権連盟を設立し、対策を講じているのだが、どうも芳しくないようだ。


「それに……、この日の国はイケメン至上主義者が蔓延……? ああ、そうか……この包帯まみれは……」


 さらに、今優斗がいる国……【()()(くに)】では、さらなる狂気に覆われていた。

 前世では日本に位置する島国である日の国では、イケメンの男性以外は排除すべきと言う主張を掲げた【イケメン至上主義】の女達が95%を占めていた。


「ここでの僕の事を思い出した……。 そうか、女達から暴力を……。 前世と同じイケメンじゃないからって……」


 そして、優斗はこの世界でもイケメンではないらしく、イケメン至上主義者の女たちに暴力を振るわれ、意識を失っていたのだろう。

 それに気付いてしまった優斗は、ショックで俯いてしまう。


 その時、病室のドアが開き、不意に視線をそこに向けた。


「兄さん?」


 病室のドアから少女が、優斗に『兄さん』と言いながら顔を出してきた。


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