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不思議、つよがり

 あかりちゃんとあたしは、まるで正反対な性格だったのに、なぜかいつもひとりぼっちだった。


 あたしはともかく、どうして社交的なあかりちゃんが? って思ったけど、その理由がだんだんわかってくる。


 とてもかわいらしい顔立ちをした、小柄な女の子。それがあかりちゃんの第一印象。


 だけど、小学生にしては顔色が悪くて、体育はいつも見学。


 あたしはあたらしいお母さんとうまくいかなくて困っていたから、時々ヤケを起こして体育を見学していたから、あかりちゃんから話しかけられたのだった。


「こんにちは。あたし、あかりって言うの。よかったらともだちになってくれないかしら?」


 なぜ? という言葉しか出てこなかった。


 あたしなんかとともだちになりたいなんて。


 変なの。


 そのうちに、あかりちゃんは、よく欠席していることに気がついた。


 先生もなにも言わない。多分病欠なんだろうけど、そういう子とともだちになろうっていう子もなかなかいないから、あたしに声をかけたのかなって、その程度に考えてた。


 顔色が悪くても、笑うとエクボができるからかわいいのに。


 気づけば、あかりちゃんが学校を休んでいることが不思議すぎて、体育の見学をしている彼女に声をかけたくらいだ。


「ねぇ、あかりちゃん。いつも具合が悪いの?」


 デリカシーに欠けたその言葉にも、あかりちゃんは笑って返してくれる。


「そんなんじゃないんだけど。ほら、大人って大袈裟でしょう?」


 それが彼女の強がりだなんて、思うことすらなかって。


川内かわうちさんは、血色いいし、手足長いし、綺麗だからうらやましいな」


 油断している時に限って名字で呼ぶからさぁ。


 はぁ? 


 なんて、すっとぼけた言葉しか返してあげられなかったのよ。


「手足長いっても、単なるデクの棒だよ? 男子にはイジられるし。体が大きくて特したことなんてないや」


 なんて、あたしなりに強がってみせたりもした。


 それから最後に。


「ちかこでいいよ」


 って、付け加えた。


 そう言った後のあかりちゃんの、喜びであふれた顔を、きらきらした瞳を、今でもわすれられずにいる。


 思えば、あかりちゃんの方が孤独だったのかもしれないのに、当時のあたしはなにも考えていなかったんだ。


     つづく



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