9 なんもはいてない
なんの期待もせずに読むのがルールの小説、略して「なんきた小説」です 。
青から風がふいて気持ちいい。
「ふー…すー……ふー…すー……」
さっき走ったことが、今、息をととのえると称して、少女がまったりしていることの原因になっている。つまりちょっと休憩中。
少女はとろけるように脱力する。
ほっぺもペタリとテーブルにくっつけて、さらに力が抜ける。ただ、太陽はすこし暑い、顔にすごく当たるし、たぶん髪はもっと熱い。
どこかの街で熱せられている犬小屋から、わずかに出た犬の鼻も太陽に当たっている。少女は思う。このままでは乾いてしまう。
優しい不良が通ったら、きっと、見かけによらず、日傘をさしてくれたりするのだろう。見かけによる場合は、無色透明な安い傘をさしていくだろう。
フェアリーの心を持っていない不良はただの不良だ。フェアリーの心を持っている不良はただ者じゃない。
すばらしい。
8割いるし、飛べるし「お母さん、今日も飛んでいるよ。たくさん。夕方に多いね」夕日に染まり飛ぶ勇姿。
「ふーーすーーふーー………」
やはり顔が熱い。
少女は脳みそがところてんになり、「わあ、おいしそう」とか、いろんなことを思っている。
「むくり」と起き上がり、汗ではなの下に張りついた髪の毛を払い、皿をまたぎ、そのまま反対側にたおれるようにして、カバンの中へと手をのばす。
「わしゃ」という感触。
カバンの中から「ぬるり」と麦わら帽子を取りだす。
再び、さっきまでのだらりと倒れた姿になり、少女のその横顔に、麦わら帽子なりのふわりとした重力が乗っかる。
風がはらりとスカートを揺らしていて、左手はだらりと力無くも、重りとして、帽子のはしをしっかりとおさえている。
白い雲の浮くトースターを、上目づかいで見つめる。
トースターの中で空が動いているのがわかる。
太陽の光のせいで、みんな明るすぎて、ただの青と緑の風景なのに光っていて、目を細めなければちょっとまぶしくなる。
花もそう。草も。空も。麦わら帽子も。みんな。あと雲も、みんな「ぱっ」と光っている。
例えば風の中にほこりや葉っぱなどが混ざっていれば、目視として確認し、風も光っていると言えるのかもしれない。
それが、全体的に白いもやにさえ見えている。
現実感がいまいちな、失敗作の夢のよう。
風が素肌にふれると気持ちいいから、顔の表情なんてかえることもなく、足だけこちょこちょ動かしてくつを脱ぐ。「ぽとりぽとり」くつは落ち、開放感も風もきもちいい。




