3 なんも考えてない
なんの期待もせずに読むのがルールの小説、略して「なんきた小説」です 。
テーブルに倒れ込みコップをながめる、うつろな少女のほほにも、空は容赦なく太陽光を落としている。
白い小さな雲が、少女を助けるように太陽の前に立ちふさがり、世界は影に包まれる。
周りがみんな、日陰のにおいになる。
空を見上げる少女は何を考えているのか。実は何も考えていない。「雲だ」と考えている。
やがて目を閉じて、草原を走り抜けてきた風の心地よさや、運ばれてきた草花の香りなどを感じていた。
風が少女の髪で遊んでいて、顔を叩くほど暴れさせている。
少女も流れる風をなでるかのように両手を広げている。何を考えているのかわからないが、微笑んでいる。
急に、すばらしい発明をしたかのような謎の表情をして、にんまり笑い、入っていくのかと思ういきおいでカバンの中を探索し、さっきとは別の、二つ目の水筒を取り出した。
ずしりとした重みの水筒は、「ちゃぷん」と揺れる感触で、その中身を想像させ、少女の小さな欲望をあおる。
再びカバンの中に顔をつっこみ、出てきた少女は、コップを包んでいたフワフワのタオルをにぎりしめ、3秒真顔。タオルをギュッとして同じ顔の4秒目からは困っている顔に見える。
緑のなまいきな花のために、コップを使ってしまったからだろう。
コップの周りの水滴は粒を大きくしていて、風もそれを乾かすにはいたらず、白いテーブルに水がたれている。
少女はかくごを決めて、緑のかわいそうな花をつまみ上げ、にぎりしめたコップをいきおい良くふって、中の水を宙に投げすてる。
風のせいで一部がもどってくるも、それはそれで気持ちよく、とりあえず、コップの中がカラになったことに「うん」と満足する。
水筒はにぶく光る銀色で、中は冷えていて、砂糖を入れた甘い紅茶が入っている。
それをコップにゆっくり入れた。




