晴れ間に吹く
光に手をかざす
空気まで磨き上げていく雨上がり
名残の空気は土の香り
つま先に雫の痕
滑り落ちる緑映し込んで
いつか掌に乗せた景色
咲き誇る薔薇にはさみを入れる
花弁に雫の痕
色褪せぬ香りに頬を寄せ
思うは風の名残
思うは雨の名残
色とりどりの薔薇を花瓶に生ける
摘まむ指に棘の痕
冷めやらぬ熱を胸に秘め
思うは雨の気配
思うは風の気配
光に手をかざす
衣はたいて騒めくつむじ風
吹き上がる空気は花の香り
指先に棘の痕
滑り落ちる紅舞い散らして
いつか掌から攫われた記憶
風に緑の移り香
雨上がりは土の香り
この道を踏みしめて立つ
これはどこに続くのだろう
あの空のように
あの風のように
どこまでも遠く遠く届くだろうか
手を伸ばしても触れられない
遠く遠くへ届くだろうか
連れて行って
言葉にしなかった思いだけでも
光に手をかざす
つま先に雫の痕
滑り落ちる緑映し込んで
いつか掌に乗せた景色
晴れ間に吹く風のように
しまい込んだ言葉を攫って