4 疑心暗鬼
「ちょ、ちょっと待て!いい加減な事言ってんじゃねーぞ!」
「…いい加減な事だったら言わねーよ。」
「……そ、そん、な、こ…と…。」
「俺がそんな場面見なけりゃ良かったとも思ったけどよ、黙ってる方が弘斗に悪いって思って…。」
「…………。」
「少し離れたところから写真も撮った。」
「……見せてくれ。」
悟からスマホを渡され確認する。
こ、れは雪奈だ。距離があるが、顔は確認出来る。
そして、一臣も…。
二人とも笑顔だ。
何か事情があって、とか考えにくい。
なんで、どうして、一臣!!
俺の事を応援してくれてたんじゃないのか?
俺が雪奈と付き合う事になったって報告した時、良かったなって言ってくれたじゃねえか!!!
雪奈も!!俺と付き合って幸せだって……言ってたじゃねえかよ!!!!
どうなってんだよ!!!!!
「だ、大丈夫か?いや、大丈夫じゃないのはわかってんだけど……。」
「ああ、全然大丈夫じゃない……。」
「ごめんな?こんな話で……。けど、けどよ!弘斗に黙ってんのは違うって思ったから!アイツらがどういうつもりかなんてわかんねーけど、弘斗の事騙してるって思ったらムカついたんだよ!」
「…ああ、ありがとな。教えてくれて。嫌だっただろ?こんな役目。」
「俺の事は良いんだよ!弘斗は……どうするんだ?」
「……今はまだわかんねえ…ちゃんと二人に確認して話をしないと……。」
「…そうだな。俺は速攻で別れた方が良いと思うけど、付き合い長いんだもんな…。」
「ああ、そうだな…。」
「どうする?俺が出来る事っていったら話聞いたりとかなら、今日遅くなっても大丈夫だぞ?」
「いや、一人で考えたい。でも、ありがとな、心配してくれて。」
「そうか、そうだよな。わかった、俺は帰るわ。」
「ああ、悪かったな、わざわざ。」
「いや、なんかあったら力になるからよ、声掛けろよ?」
「……ありがとう。」
悟は帰って行った。
風呂に入って部屋でボーっとしていたら少し落ち着いてきた。
何かワケがあったのかもしれない。
本当に浮気していたのかもしれない。
悟が嘘を言っているのかもしれない。
これから俺自身で確かめなければいけない。
悟から写真を送ってもらって、二人と話をするか。
その時点でもう幼馴染としての関係も終わりなのかもしれない。
もちろん、彼氏彼女としての関係も。
……怖い。
怖いに決まってるだろ!
十年以上の付き合いだぞ!
もし悟の言っていることが真実なら……。
俺は…………。