2 彼氏と彼女
告白の当日はテンパっててよく覚えていないが、落ち着いてからお互いの家族にも話した。
ずっと好きだったんだ。
軽率なことはしたくないし、雪奈の両親にも認めてもらいたい。
そう雪奈に話して、お互いの両親公認となった。
そして、一臣にも報告した。
「おう、良かったな!けど予想はしてたぜ?上手くいくのはわかってたよ!」
「え?そ、そうなのか?」
「お前ら二人を見ててわからないようなら、幼馴染失格だっての。」
「えへへ、ヒロくんが私の彼氏になりました!」
「あー、わかった、わかった、おめでとさん。」
こんな感じで一臣も祝ってくれた。
幼馴染から彼氏彼女になるとどうなるか、想像した事が無かった。
今までと何が違うか、と聞かれたらあまり変化はないのかもしれない。
登下校が一緒は変わらない。
ただ、昼は友達と学食で食べていたが、今は雪奈が弁当を作ってきてくれる。
雪奈とはクラスが違うが、一緒に昼食を摂るようになった。
そして休日はかなりの頻度でデートに出掛ける事になった。
「夢だったんだ!ヒロくんとデートするの!」
「なんで?今までだってたまに出かけたりしてただろ?」
「全然違うよ!だ、だって、彼氏とのデートだもん!」
「そ、そういうもんかな…。」
「そうなの!ね、ねえ!手、繋がない?」
「え?あ、い、いいけど…。」
雪奈と手を繋ぐのは子供の時以来か。
緊張するな…。手汗大丈夫かな?
そして辺りも暗くなって来たので、雪奈を家に送る。
雪奈の家は両親共に激務で二人とも夜遅くなるまで帰ってこない。
だから、必ず俺が責任をもって家まで送らなきゃいけない。
「あ、ねえ、ちょっと上がってく?」
「え、いいのか?」
「うん、もうちょっと一緒に居たいな…。」
「わ、わかった。」
「あ、コーヒーでいい?すぐ淹れるから座って待ってて。」
「お、おう、サンキュ。」
リビングのソファで座って待つ。
「お待たせ!はい、どうぞ!」
「あ、ありがとな。」
「うん。ねえ、ヒロくんは私と付き合ってて楽しい?」
「え?当たり前だろ?楽しいし、幸せだよ、マジで。」
「ホント?よかったぁ、私だけ浮かれてるんじゃないかって…。」
「そんなことない!ホントにそう思ってる!」
「…うん、ごめんね?なんかホントに付き合ってるんだって、分ってるんだけど、偶に不安になるの。」
不安になる?付き合ってる実感が欲しいって事か?
実感って…。例えばキスとか?い、いいのかな?
いや、彼氏として彼女を不安にさせちゃダメだろ!
ちゃんと好きだって伝えないと!行動でも示すんだ!
「雪奈、俺、ホントに雪奈の事好きだ。」
言いながら雪奈を抱き寄せる。
「あっ。ヒロくん…。」
「雪奈…。」
初めてのキスをした。
「ヒロくん、私も…。私も大好き…。」
気持ちを込めて雪奈を抱きしめた。
しばらく抱き合っていたが、ヤバい、キスで終われなくなりそうだ。
ダメだ、まだ付き合って一ヶ月、雪奈は大事な彼女だ。
いずれはそういう事もするかもしれないが、今はまだ早い気がする。
雪奈の両親とも約束した。
ちゃんと付き合うって。
信頼を裏切るわけにはいかない。
「ゆ、雪奈。そろそろ俺、帰るよ。」
「え?あ、うん。そうだね、わかった。」
「じゃあ、また明日。」
「うん、また明日。」
「あ、俺が出たらちゃんと鍵掛けろよ?いつも雪奈、自分が家にいるときは鍵掛けないだろ?」
「うん。どうせお父さんかお母さんがそろそろ帰ってくるからね。」
「だとしても、何があるかわからないんだから、ちゃんと鍵掛けろって。」
「うん、わかった。彼氏の言う事は聞いてあげる!」
「ははっ、そうしてくれ。」
「あっ!そのかわり、さっきのもう一回…。」
「え?あ、わ、わかった。」
もう一度、雪奈とキスをして別れた。
やっぱりいくら幼馴染でも、彼氏彼女の関係になると、全然違うな。
こんなにも雪奈の事を愛おしく感じるなんて思わなかった。
俺は、幸せだ。