コクハク
1 バドミントン部
パシンッ。やった勝った。
こんな風に、今日も絶好調の私。今は、放課後の部活でバドミントンをやっている最中だった。
「すごいね!あかね。」
「また勝てたじゃん!」
スマッシュが決まると同級生の二人、さやとまゆめはいつもかけよって、ほめてくれる。
「ありがとう。二人もがんばってね。」
今日も、5年2組 山坂あかねの最高のスマッシュが決まったのだった。
2 小高せんぱい
部活終了後、私はさやと帰っていた。
二人で楽しく話しながら、昨日のこと、部活のこと、いろんな話をしていた。
その時・・・
「今日も部活つかれたなー。」
「でも、小高のシュートは最高だったよなー。」
と、サッカー部の男子たちが話しながら、私たちの前を通り過ぎようとした。
「きゃああ。」
思わずよろけた一人の男子が私にぶつかった。
「あっ。大丈夫・・・?ごめんね、けがはない?」
と、心配しながら、ランドセルから落ちた教科書をひろいあげた。
「小高せんぱい・・・。」
「えっ。あかね、知ってる人だったの?なら、話せばよかったのに。」
と、くやしそうにさやは言う。
「ううん。会えただけでもいいの。」
小高せんぱいは、ようち園からのおさななじみ。小さいころから、やさしくて運動しんけいも良かった。今までは、そうとしか思ってなかった。
だけど・・・私は今、小高せんぱいの事が気になっていた。なんでか分からないんだけど・・・。
でも、この感情をおさえることはできなかった。
3 ライバル
「じゃあ、また明日。」
「うん。バイバイ。」
このマンションでさやと方向がちがくなる。
私が帰り道をいそいでいると、
「あっ。あかねちゃん。」
「っ。愛媛せんぱい。」
「あかねちゃん。私ね、好きな人が出来たの。」
と、愛媛せんぱいは打ちあけた。
「へー。そうなんですね。それって、教えられたり・・・。」
「うんうん。全然いいよ。私、小高くんの事-、好きになったみたいなの。」
え・・・。小高せんぱいって・・・。
でも、私は言い出す事が出来ず・・・。
「うん、がんばって下さい。」
と、私は言った。
「ただいま。」
はぁ、でも、愛媛せんぱいはかわいいし、小高せんぱいとお似合いだよね。
私と付き合うより、きっと小高せんぱいもうれしいはず。
そうこう考えているうち、私は深いねむりについた。
4 コクハク
次の日・・・
今日も、部活はあった。
バドミントンラケットは昨日より、重く感じた。
どうしてかというと、たいせん相手が愛媛せんぱいだったから。
もともと、せんぱいとたいせんするのはドキドキするけど、昨日の話を聞いたからか、なんかもうはちきれそうなくらい、ドキドキしていた。
それだからか、今日はスマッシュがうまく出来なかった。
部活後・・・
「あっ―――。あかねちゃぁーん。」
「あ。愛媛せんぱい・・・どうしたんですか?」
なんだか、いやなよかんがした。
「ふふっ。あのね私、コクハクしようと思うの。」
「えっ。」
私は思わず、声を出した。
「小高くんを屋上によび出そうって思って。どうかな。」
「うん・・・。いいと思い・・・ます。」
私はもう、そんな言葉しか、かけてあげられなかった。
二人はお似合いなのに・・・。そう自分に言い聞かせる。でも、やっぱり悲しい気持ちはいっぱいだった。
「なんだよ。愛媛、話って。」
「あのね・・・私・・・。」
まどから、二人が見える。
何、話しているのかな・・・。
どうしても、気になってしまう。
きっと、もう付き合ってるんだろうなー。と、まどをながめながら、私はそう思った。
「あの・・・。私、小高くんのこと好き、でもねっ。」
「うっうん。」
はぁ・・・。二人はどうしているかなー。そう考えながら、まどを見ると―――。
え。
二人はどこ。なんでいないの。
すると―――。
「あかねっ。」
「・・・。小高せ・・・。」
「俺、あかねの事が好き。」
「えっ。愛媛せんぱいとー。」
と、私は聞き返した。
「あのね、それが―――。『あの・・・。私、小高くんのこと好き、でもねっあかねちゃんのこと、小高くん好きでしょ。それに、あの子も好きだと思うの。私はいいからさ―――。ねっ。』って、愛媛に言われて飛んで来たんだ。」
・・・。私は、びっくりしすぎて声が固まった。
「えっ。せんぱい・・・。私が小高せんぱいのこと好きって分かってたんだー。うん、私もせんぱいのこと好き。」
5 それから・・・
「あっ。小高せんぱいからラインだ!」
明日、デートに行こう・・・え!?うそ!?
いいよ!どこ行く?送信っと!!
あ!きた!うーん・・・あかねの好きな所でいいよ。
って・・・え~!どうしよ~♡
・・・こんな感じでデートに行ったり、付き合ってから毎日が楽しくなった。
あ、お礼を言わないと・・・。
―――愛媛せんぱい ありがとう―――