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第16話 入学試験の始まり


 帝都を出発してから一週間、俺達は中立連合国フィリーアルト クリミナル学園に到着した。


 貴族の子息を送り届ける為に、次々と馬車が学園の門を通り抜ける中、俺は一人感傷に浸っていた。



(原作でレイドはこの日、主人公のアーサーに一度目の敗北を喫する)



 まあ、才能にかまけた敗北ってやつだ。

 純粋に戦えば聖剣に敵う相手なんていないしな。


 だが、俺は負けるわけにはいかない。


 アーサーは俺を倒したことをきっかけにして、キャロルとのルートを拡大して行く。


 そんな事は絶対に許さない。

 俺のキャロルは絶対に寝取らせやしない。

 

「皆さん、ここまでありがとうございました!」


 と、ここでアリスとはお別れだ。


 馬車を降りて頭を下げるアリスを見て、少し寂しいがお別れの言葉はちゃんと言わなければいけない。


「アリス、お互いに頑張ろうな」

「はい! 今度は、入学した後にお会いしましょう!」


 アリスは元気良く手を振って走っていった。

 だが去り際に後ろを向いたせいで、尻尾が下がっているのが丸わかりだ。


 うーん、アリスも可愛いよな。

 旅の途中で犬耳をもふもふさせて貰ったが、あれは癖になる柔らかさだった。

 またもふもふさせてほしいものだ。


「それではお二人とも、ご健闘を祈ります」


 さて、そしてウィンリーとはここで一旦お別れだ。流石に試験会場に他人が入るわけにはいかないからな。


「じゃあ行こうか」

「はい。レイド様」


 キャロルと共に学園の中に入った。

 周囲にはすでに受験生が沢山いて、俺達は注目を浴び、人がモーゼの十戒の様に割れた。


「おい、あれ……」

「帝国のクズ王子だ……」

「隣のはえらい美人だな……」

「ああ、綺麗だ……」

「どうせクズ王子が侍らせてる女だろ……」

「可哀想になぁ……」

「でもなんか笑顔だぞ?」

「きっと試験だけがクズ王子の束縛から外れられるんだよ……」

「なるほど。二人きりの時は酷い扱いを受けてるから、こんな時くらいしか自由になれないのか」


 外野がこそこそと好き勝手言っている。

 ほとんど他国の人間なんだが、俺のクズっぷりは世界に広まってるんだな。

 にしてもお前らよく見ろよ、これが支配されてる奴がする笑顔か?

 滅茶苦茶良い笑顔だろ。可愛い。俺の嫁。まじ天使。


 とまあ、受付を済ませて用意された会場に向かい、まずは筆記試験を受けた。


 筆記試験は簡単なもので、国語、数学、歴史の三教科で300問。試験時間は3時間とたっぷりあった。

 しかし、俺は半分くらいの時間で終わって暇になったので


 そもそも問題が簡単過ぎるんだよな。

 数学なんてほとんどが掛け算と割り算だ。


 この筆記試験はまともな教育が受けられない平民が受験することを前提に作られているとは言え、小学四年生くらいの問題で俺が躓くはずもなく。


 手応え的にはほぼ満点で、俺は筆記試験を終えた。







「次は実技試験だな」

「そうですね。気が抜けないです」

「まあ、キャロルなら大丈夫さ」

「ふふ。レイドさんに応援していただけるととても力になります」

「頑張れ、キャロル!」

「はい!」


 クリミナル学園の入学試験は「筆記」と「実技」の二種類がある。

 実技は受験生同士の一対一の決闘方式で行われる。


 貴族は入学が確定しているとは言え、入学後のクラス分けや順位付けはこの試験の内容で決められる。 

 

 つまり例え貴族であっても、順位で上位に行けるとは限らないのだ。

 

 だから貴族、特に王族は国の威信に賭けて全力で試験に臨むんだ。


「ではこれより、実技試験を開始する。名前を呼ばれた者は舞台に上がる様に!」


 クリミナル学園の教員が試験官を務める。


 受験生は数が多いので、いくつかの会場に分けた様だが、ここはちゃんとした舞台がある闘技場だった。


「キャロル・フィル・マーレイド!」

「はい!」


 キャロルの名前が呼ばれ、大きく返事をして舞台に上がって行く。

 まあ、キャロルが負けるほどの相手はそうそういないだろうから、多分安心だ。


 さて、相手は一体…………。


「アイネ 前へ!」

「はい」


 出て来たのは赤髪の凛とした表情をした女の子だ。平民ながら、その美貌に受験生は男女問わず、ほうっと息を吐いた。


「っ、マジか」


 しかさ、俺は別の意味で驚愕していた。


 何を隠そう、キャロルの決闘の相手である彼女は主人公アーサーの幼馴染だったのだ。

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